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第三章
第十六話 女王の冠はあるべき戴へと導かれる
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「わたしは王族であり、あなたの姉であるエル・ローサだと公にするわ、そしてセーデルの悪事とおじい様、クアドラの栄誉をたたえ国民に知ってほしい、でも」
エレナは立ち上がり、ララに近寄る。
「一月後の戴冠式にはララ、あなたがこの国の女王になるのよ」
「・・・どうしてっ」
「わたしは戦士、そうおじい様に育てられてきた、その本質は今更変えようがないし、もしかしたらこれは本当のわたしの本質なのかもしれない、その点ララ、あなたはセーデルのもとにいながらにして魂を失わなかった、精神力がとてもつよい、いいつくせないほどに。わたしには悪癖があるようなの、周りからよく無謀だと言われるわ、後先を考えず行動するってね、だからもしもわたしとあなたが逆の立場なら、わたしは幼くしてセーデルに殺されていたと考えられる、だってわたしは待てないもの、自由になる前に飛び出して行ってしまう、」
ララは少しばかり消沈しているように見えた、でもどこかでそんな答えが返ってくる気がしていた。
それでも敬愛する姉に女王になってほしかった、その気持ちに偽りはない。
「お姉さま、わたし、女王になってこの国を率いる事が出来るでしょうか」
「ええ、保証するわ、あなたはあのセーデルを操っていたほどの策士なのよ、これからの国にそれはとても重要になってくるわ、あなたは自分が思っているよりも賢く聡明、そして素晴らしい度胸がある、だからわたしはあなたを支える立場になる、それが最良だと思うから・・・そうね、今世界は混乱している、だからこそ国と国の絆が必要だわ、わたしは王族であり、国賓級の使者になりうる」
「え、では国を留守にするのですか・・・」
寂しそうなララの顔にエレナはそっと顔を近づける。
「大丈夫よ、わたしの国はこのグラディス国、そしてわたしには唯一無二の家族がここにいる、わたしが帰る場所はここだけ、ララあなたのもとに必ず帰ってくる、」
ララは思う。この姉であるエレナにはこの国は小さすぎるのだと、彼女はもっと広い世界を見て知るべきことが沢山あり、それはエレナにとっても世界にとってお有益な事なんだと。
「そう・・そうね、わたしもお姉さまがお帰りになるまで女王になるのは自分しかいないと思っており、覚悟しておりました。ただひたすらに孤独で怖かった、この国の女王になり一人孤独になることが・・・でも今はエルお姉さまがいる、わたくしにはお姉さまの存在がいるというだけでどれだけ気持ちが楽になるか・・・。お姉さま、わたしは決めました、あなたの進言に従い女王になりましょう、」
「そう言ってくれてありがとう、あなたが私の妹で次期女王であることが誇らしいと」
エレナはララは互いの手を合わせる、そして二人の誓いを口にする。
「わたしはあなたの、あなたはわたしの心の様るべとなる、それは未来永劫変わらないことを誓うわ」
ふたりは笑いあった、時間を超えても家族であることは変わっておらず、そこに安らぎを見出す、王族という人によっては願ってもない位を、どれほど大変で閉塞的な権威であるかを知るものにとってはそれを受け継ぐにはそれ相応の覚悟がいる、しかも一度なってしまえば戻ることも覆すこともできない大きな責任となってのしかかってくる。
だが、人には役割というもんがある、エレナは逃げたわけでも押し付けたわけでもなく、その立場にふさわしくないと自分なりに判断した。
その分ララ王女の負担を共に背負う覚悟はできている。
「わたしたち、少しもハーブ茶に口をつけてないわ」
くすくすとララ王女は笑う、つられてエレナも笑顔になる。
「冷たくなってしまったけど、いただくわ、お菓子も・・うん、とても美味しい!ね、少しだけ公務を離れておしゃべりをしない?」
「ええ!賛成、わたくし聞いてみたかったことがあるの、あの殿方の中のどなたがお姉さまにとって好みなのか」
ララはこの手の話が好きなようで目がらんらんとしており、答えるまでは逃がしてくれそうもない。別に隠すつもりもないが、今まで戦いに宿命に身を置いており、そういう意識を持って異性を見たことがなかった。
「好み、そ・・ね・ララはいるの?」
「え、わたくし・・アロは顔が好みよ、ベネットがとても冷酷で嫌味だっていってたけど、ベネットは違う意味でお姉さま一筋ね、話し出すときりがないの、でもアシュベル様もリュカもとても有能でそれでいてとても女性から人気があるのよ、侍女たちがもう騒ぎ出しちゃって、わたくしが注意するの」
ベネット・・・鬼の居ぬ間になんてことを、くすりとエレナは笑う。
いつも一緒にいるからか、彼らの剣技や魔法、そして精神力など戦士としての一面にしか向けてこなかった目線を異性という立場に移すのは難しい、そしてそれほど彼らが(アシュベルは別として)城で噂になるほど人気があることも知らなかった。
「恋愛、できるのね、この現世では。結婚もいずれするのね・・・なんだかとても不思議な気分」
「ええ、だから愛する人ができたら必ず最初にわたくしに教えて下さらないとだめよ、まぁ、カリーナだったら許すけど、城にいる間は一番はわたくしよっ」
たわいもない話、だが最重要案件が決まったのだ。
ララ王女が国を継ぎ女王となる。
そしてこの後、セーデルの王、王妃殺しが公にされ、クアドラの命をかけ王族を護ろうとした行いは民衆にたたえられた。
すでに死んでいるセーデルだが、やはり事件がうやむやでは心にしこりがのこる。
エレナは立ち上がり、ララに近寄る。
「一月後の戴冠式にはララ、あなたがこの国の女王になるのよ」
「・・・どうしてっ」
「わたしは戦士、そうおじい様に育てられてきた、その本質は今更変えようがないし、もしかしたらこれは本当のわたしの本質なのかもしれない、その点ララ、あなたはセーデルのもとにいながらにして魂を失わなかった、精神力がとてもつよい、いいつくせないほどに。わたしには悪癖があるようなの、周りからよく無謀だと言われるわ、後先を考えず行動するってね、だからもしもわたしとあなたが逆の立場なら、わたしは幼くしてセーデルに殺されていたと考えられる、だってわたしは待てないもの、自由になる前に飛び出して行ってしまう、」
ララは少しばかり消沈しているように見えた、でもどこかでそんな答えが返ってくる気がしていた。
それでも敬愛する姉に女王になってほしかった、その気持ちに偽りはない。
「お姉さま、わたし、女王になってこの国を率いる事が出来るでしょうか」
「ええ、保証するわ、あなたはあのセーデルを操っていたほどの策士なのよ、これからの国にそれはとても重要になってくるわ、あなたは自分が思っているよりも賢く聡明、そして素晴らしい度胸がある、だからわたしはあなたを支える立場になる、それが最良だと思うから・・・そうね、今世界は混乱している、だからこそ国と国の絆が必要だわ、わたしは王族であり、国賓級の使者になりうる」
「え、では国を留守にするのですか・・・」
寂しそうなララの顔にエレナはそっと顔を近づける。
「大丈夫よ、わたしの国はこのグラディス国、そしてわたしには唯一無二の家族がここにいる、わたしが帰る場所はここだけ、ララあなたのもとに必ず帰ってくる、」
ララは思う。この姉であるエレナにはこの国は小さすぎるのだと、彼女はもっと広い世界を見て知るべきことが沢山あり、それはエレナにとっても世界にとってお有益な事なんだと。
「そう・・そうね、わたしもお姉さまがお帰りになるまで女王になるのは自分しかいないと思っており、覚悟しておりました。ただひたすらに孤独で怖かった、この国の女王になり一人孤独になることが・・・でも今はエルお姉さまがいる、わたくしにはお姉さまの存在がいるというだけでどれだけ気持ちが楽になるか・・・。お姉さま、わたしは決めました、あなたの進言に従い女王になりましょう、」
「そう言ってくれてありがとう、あなたが私の妹で次期女王であることが誇らしいと」
エレナはララは互いの手を合わせる、そして二人の誓いを口にする。
「わたしはあなたの、あなたはわたしの心の様るべとなる、それは未来永劫変わらないことを誓うわ」
ふたりは笑いあった、時間を超えても家族であることは変わっておらず、そこに安らぎを見出す、王族という人によっては願ってもない位を、どれほど大変で閉塞的な権威であるかを知るものにとってはそれを受け継ぐにはそれ相応の覚悟がいる、しかも一度なってしまえば戻ることも覆すこともできない大きな責任となってのしかかってくる。
だが、人には役割というもんがある、エレナは逃げたわけでも押し付けたわけでもなく、その立場にふさわしくないと自分なりに判断した。
その分ララ王女の負担を共に背負う覚悟はできている。
「わたしたち、少しもハーブ茶に口をつけてないわ」
くすくすとララ王女は笑う、つられてエレナも笑顔になる。
「冷たくなってしまったけど、いただくわ、お菓子も・・うん、とても美味しい!ね、少しだけ公務を離れておしゃべりをしない?」
「ええ!賛成、わたくし聞いてみたかったことがあるの、あの殿方の中のどなたがお姉さまにとって好みなのか」
ララはこの手の話が好きなようで目がらんらんとしており、答えるまでは逃がしてくれそうもない。別に隠すつもりもないが、今まで戦いに宿命に身を置いており、そういう意識を持って異性を見たことがなかった。
「好み、そ・・ね・ララはいるの?」
「え、わたくし・・アロは顔が好みよ、ベネットがとても冷酷で嫌味だっていってたけど、ベネットは違う意味でお姉さま一筋ね、話し出すときりがないの、でもアシュベル様もリュカもとても有能でそれでいてとても女性から人気があるのよ、侍女たちがもう騒ぎ出しちゃって、わたくしが注意するの」
ベネット・・・鬼の居ぬ間になんてことを、くすりとエレナは笑う。
いつも一緒にいるからか、彼らの剣技や魔法、そして精神力など戦士としての一面にしか向けてこなかった目線を異性という立場に移すのは難しい、そしてそれほど彼らが(アシュベルは別として)城で噂になるほど人気があることも知らなかった。
「恋愛、できるのね、この現世では。結婚もいずれするのね・・・なんだかとても不思議な気分」
「ええ、だから愛する人ができたら必ず最初にわたくしに教えて下さらないとだめよ、まぁ、カリーナだったら許すけど、城にいる間は一番はわたくしよっ」
たわいもない話、だが最重要案件が決まったのだ。
ララ王女が国を継ぎ女王となる。
そしてこの後、セーデルの王、王妃殺しが公にされ、クアドラの命をかけ王族を護ろうとした行いは民衆にたたえられた。
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