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ゼオン連結システムを巡る旅を俺達は始めた。道すがら見つけた暗黒教団の幹部や下っ端をひたすら屠り、持っているアーティファクトの類いを漁っていった。
しかし倒せば倒すほどゴールが遠くなるような錯覚に陥る。いくら探してもゼオン連結システムには掠りもしなかった。
それから一年半経った。
今俺達は暗黒教団のノースメリカン大陸最後の幹部の拠点にやってきた。
ゴンゾというのが幹部の名前らしい。
このハイエステスの町に奴は陣取っている。ここにゼオン連結システムが無ければ全ては徒労に終わるのだ。
町の門で立ち尽くしているとエクスが話し掛けてきた。
「最後の敵ね。紫音。これで暗黒教団も瓦解したも同然よ。今まで良くやったわ。しかしゼオン連結システムが見つからなければ…最高幹部への道は閉ざされるわ。でも倒してきた幹部達に尋問した時…皆ゼオン連結システムはノースメリカンの何処かにあると口にしていたわ。そしてここが最後の幹部がいる拠点。ここに必ずある筈よ。恐れずに進みなさい。」
「ありがとう。エクス。そうだな。ここに必ずある筈だ。今までの証拠が示している。気を張って向かうとしよう。」
「ここまで長かったね。紫音。ボク達の剣閃でこれまで切り開いてきた。ここに来てもやることは一緒さ。二人で突撃して道を切り開こう。これが最後の闘いになるかもしれないんだ。真の勇気を見せるときだ。」
「ああ。アンジェリカ。例え最高幹部に手が届かないとしてもこれで暗黒教団は壊滅だ。これまでの長い闘いも終わる。俺の二本の剣で切り結び道を開こう。行くぞ!」
意を決して町の門をくぐった。ハイエステスの町は普通の住民は居ないようだ。暗黒教団の最後の拠点として幹部のゴンゾを始めとして雑魚が大量に居るに違いない。
エクスに話し掛ける。
「エクス。敵の数のモニタリングとゴンゾの居場所を特定してくれ。」
「了解したわ。紫音。只今サーチ中よ。…目抜通りに敵が殺到。その数百人以上。ゴンゾは町の一番奥の屋敷に反応があるわ。これから切った張ったするしか無さそうね。」
「了解。全部悉く撃破して見せよう。アンジェリカ!最初からフルスロットルで行くぞ。奥義を準備しろ!そして目抜通りに突っ込むぞ。」
「はいはーい。了解了解!起きろ!朧村正!敵を食い破れ!」
俺もエクスカリバーを奥義の待機状態まで持っていく。
エクスカリバー!究極霊閃モード突入!オーバーロード!アルティメットスパーク待機状態!」
エクスカリバーから虹色の閃光が迸り、オーラが剣を覆った。
目抜通りに入った。そこには見渡す限り黒装束の仮面を着けた男達が大量に居た。
暗黒教団の最後の生き残り達と言うわけだ。全員短剣の様な物を構えると一斉に投げてきた。
アルティメットスパークの待機状態のエクスカリバーにはそんなものは通用しないが、極光魔神閃のモードに入っていなかったアンジェリカに短剣が殺到した。
剣舞を舞いなんとかいなそうとするものの捌ききれずに何十もの短剣が体に突き刺さった。
「ガバッ。ご…ごめん。紫音。立ってられない。もう無理だ。」
卒倒するアンジェリカ。
「くそ!起きろ!アンジェリカ。こんなところで死ぬなんて許さないぞ。立て!立つんだ!アンジェリカ!」
俺はそう叫ぶとエクスカリバーの鞘をアンジェリカに投げつけた。アンジェリカの背中の上に乗っかった。放っておけば蘇生するだろう。
「てめえら!良くもアンジェリカをやったな!ここで死ね。行くぞ!エクスカリバー!アルティメットスパーク!フルロード!」
虹色の剣閃が黒装束の男達を穿った。半数以上が肉片も残さずに消滅。
残り二十人といった所だ。対象との距離は百メートルほど開いている。俺は連続で縮地して詰め寄った。
いきなり百メートル向こうから此方に現れた紫音に対して黒装束の男達は動揺して固まってしまった。それが命取りだった。
俺は流れるように剣技を叩き込んでいく。正宗も使い手数を増やす。
袈裟斬り、雷閃、切り上げ、回転閃刃、直突、無双三連、無双一閃…
ひとしきり技を出しきると目の前には血の池が広がっていた。
二十人いた黒装束の男は物言わぬ肉塊になった。
アンジェリカが向こうから駆けつけてくる。
「おいおい。もう体は大丈夫なのか?アンジェリカ。さっき大量の短剣を浴びていただろう?まだ寝ていろよ。」
「そうは言っていられない。はい!エクスカリバーの鞘。ありがとう。死ぬところだったよ。さあこのままゴンゾに殴り込みを掛けよう。雑魚は片付いたんだろう?」
「ああ。確かに雑魚は片付いた…が、ゴンゾは手強いかもしれないぞ。覚悟して行こう。」
「はいはーい!任せて。朧村正で切り裂いちゃうよ!」
俺達はハイエステスの町の奥の屋敷に入った。扉は施錠されていたので正宗で破壊した。正宗は未だに全容が把握出来ないものの頑丈な刀として運用が出来るので役に立つ。
扉の向こうには何重にも張り巡らされた機銃の陣地があった。一階だけではなく二階のバルコニーからも狙いを定められている。一発でもかすればただでは済まないだろう。
そして一階の奥にはでっぷりとした男が居た。あいつが最後の幹部…ゴンゾだろう。
「ウヒヒヒ…お前達が暗黒教団で噂になっている聖剣使いか!如何に武装していてもこの機銃の山を超える事は出来まい。さあ肉片になるまで躍り狂うと良い!ファィア!」
そうゴンゾが叫ぶと機銃が一斉にこっちを向き発射体勢に入った。ここから奥までは十メートルはある…いちかばちかだ。一息でゴンゾを倒せば機銃掃射は止まる…と、俺が踏み込む前にアンジェリカが機銃の前に躍り出た。必死に剣舞を舞う。
銃弾の雨がアンジェリカを襲った。肉が潰れる音が木霊する。このままだとアンジェリカは俺の身代わりになって死ぬ。
そんなの許せない。俺の復讐だ。俺が死ぬのは構わないがアンジェリカが死ぬのは嫌だ。
このままだと鞘が有っても彼女は死ぬだろう。そう直感が告げていた。
俺は縮地で機銃の陣地を飛び越えてゴンゾの目の前に躍り出た。そして単なる袈裟斬り…しかし神の宿る一撃を叩き込んだ。神武一閃!対象者の周囲ごと弾き飛ばす一閃だ。
「グハァ…ヒッヒェエ!なんで俺の目の前にやってこれるんだ。あれだけの機銃があるのに…もう一人の女は馬鹿正直に撃たれてるじゃないか…ア…ガア!体が切られたところから螺子くれる!俺はここで死ぬのか…ああ我が暗黒神よお助けください。ウギャア…グアアアアアアア!」
ゴンゾは切り裂かれた腹から謎の空間に吸い込まれて死亡した。
が、機銃掃射は止まらない。未だにアンジェリカは弾を浴び続けて壊れた人形の様に躍り狂っていた。
俺は周囲全ての機銃に狙いを着けて一斉に切り結んでいった。数は二十は下らない。縮地をしながら二刀で切り刻んでいく。
十秒程で動いている機銃は全てエクスカリバーと正宗で破壊した。
アンジェリカは朧村正を杖にその場に立ち尽くしている。ピューピューと全身から血が噴き出している。
俺は確かめるのが怖かった。ここまでボロ切れの様にやられるアンジェリカは初めてだ。近寄って声を掛ける。
「アンジェリカ…まだ生きているか?頼む!返事をしてくれ。アンジェリカ!死ぬんじゃない!」
「…ハハッ。ボクの囮が効いたみたいで何よりだ。紫音。鞘をくれ。大丈夫。一応まだ生きてる。」
力無く答えるアンジェリカ。俺はすぐにエクスカリバーの鞘を渡した。
急速にアンジェリカの全身の傷が癒えていく。
「ふぅ…まったく死ぬかと思ったよ。でもボクがやらなきゃ今頃二人とも蜂の巣でゴンゾに高笑いで天国に送られていたね。フフ…辛い役回りさ。さあここが最後の拠点だ。ゼオン連結システムを探そう。」
「馬鹿野郎!もう二度とこんな無茶な真似はするんじゃない。アンジェリカ!お前が死んだら…俺は俺は…ううっ!」
「大丈夫。ボクは簡単には死なないだろう?泣くなよ。紫音。これからもボクは死なない。君が見捨てない限りはね。さあこの拠点を探そう。」
「分かった。お前を俺が信じるよ。この拠点を探すか。」
俺達はゴンゾが居た屋敷の部屋という部屋を全て洗うように探していった。金目の物があったのでそれは失敬したが、お目当てのゼオン連結システムは見つからなかった。
やはりここも駄目かと肩を落とす俺。エクスカリバーの憑依を解除したエクスが声を掛けてきた。
「紫音。さっき探した一番奥の部屋の更に奥から膨大な魔力反応が感知されたわ。ダメ元で行ってみましょう。」
「それは妙だな。分かった。行ってみよう。」
再び一番奥の部屋に向かう。魔力反応が感知された壁をまさぐってみると押すと凹む壁があった。
グゴゴゴと音を立てて壁がスライドした。
地下室に繋がっている様だ。
きな臭いな…一体何が隠されているんだ?
地下室に進む俺達。そこに待っていたのは…
暗黒教団の神の偶像が部屋の真ん中に置かれていた。そして右には捧げ物と思われる純金製の果実。これも頂いていこう。
左には奇妙な装置が置いてあった。タブレット端末の様な機械だ。エクスに聞いてみる。
「エクス、これか魔力反応が半端無いっていう物は?どうみても俺の世界の通信装置だぞ。」
「ええ、間違いないわね。試しに操作してみたら良いんじゃないかしら。」
おいおい…本当に大丈夫かよ。俺は触るのを躊躇っていた。が、アンジェリカがその装置を手に取った。
「紫音が触らないならボクに譲ってよ。どれどれポチッとな!わーノースメリカン大陸の地図が出た。えーと、ワープ先選択はどうしますか?だって。」
「アンジェリカ!危険だから勝手に弄っちゃ駄目だぞ。俺に渡すんだ。」
「ちぇー。つまんないの。了解了解!はい。紫音。」
アンジェリカから端末を手渡される。スマホの要領で操作をしてみることにした。まずはシステム画面だ。この機械の名前は………ゼオンデバイス。
気分が高揚する。ああ…これこそが俺の追い求めていたゼオン連結システムに違いない。であればやることは一つ。地球に戻り、黒仮面の男を討つ。
デバイスを操作し続ける。移動画面は現在ノースメリカン大陸に限定されている。それを解除し、移動対象を別の惑星に変更する。惑星は名前で検索する様なので「地球」と入力する。
…出てきた。後は実際に転移できるか試すだけだ。地球に登録されている転移場所は三ヶ所。イギリス、アメリカ、日本の各都市。日本の場合は東京の赤坂だった。
黒仮面の男は日本に居る可能性が高い。俺は赤坂を選び、エクスとアンジェリカに告げた。
「二人とも聞いてくれ。この機械こそが俺達が探し求めていたゼオン連結システムだった。これを使って地球の日本と言う国に転移する。そこで最後の闘いが待っている。俺の宿敵…黒仮面の男だ。覚悟はいいか?もう二度とイスワルドには帰ってこれないかもしれないぞ。」
「私は最初から覚悟出来ているわ。地球にいる最高幹部を一人でも倒すことが出来れば暗黒教団は完全に崩壊するでしょう。それで私がアイリス様に託された仕事も終わる。私にとっても地球が終点よ。」
「今まで色んな場所を冒険してきたけど、最後は別の惑星とはね。ボクはこれからも旅を続けるつもりだからまだまだ終点じゃないよ。でも全力を尽くして黒仮面の男と闘おう。約束する。ボクは紫音の剣だからね。」
「すまんな。皆ありがとう。俺の復讐の旅なんかに着いてきてくれて本当に感謝するよ。さあ行くとしよう。いざ我が故郷の地球に戻ろう!黒仮面の男を討つ時だ!」
俺はゼオン連結システムで地球の赤坂を選ぶと転移ボタンを押した。周囲に透き通った緑色のドームが広がり俺達を包んでいく。そして一気にドームが閉じると俺達は歪んだ時空の狭間に居た。
そして何分経ったのだろう?いや…何時間か?正確には分からない程の時間が経過すると俺達は目的地…東京の赤坂のマンションの一室に転移し終えた。
ここには黒仮面の男が居る…間違いない。鼓動が高鳴る。決戦の時は近い。
しかし倒せば倒すほどゴールが遠くなるような錯覚に陥る。いくら探してもゼオン連結システムには掠りもしなかった。
それから一年半経った。
今俺達は暗黒教団のノースメリカン大陸最後の幹部の拠点にやってきた。
ゴンゾというのが幹部の名前らしい。
このハイエステスの町に奴は陣取っている。ここにゼオン連結システムが無ければ全ては徒労に終わるのだ。
町の門で立ち尽くしているとエクスが話し掛けてきた。
「最後の敵ね。紫音。これで暗黒教団も瓦解したも同然よ。今まで良くやったわ。しかしゼオン連結システムが見つからなければ…最高幹部への道は閉ざされるわ。でも倒してきた幹部達に尋問した時…皆ゼオン連結システムはノースメリカンの何処かにあると口にしていたわ。そしてここが最後の幹部がいる拠点。ここに必ずある筈よ。恐れずに進みなさい。」
「ありがとう。エクス。そうだな。ここに必ずある筈だ。今までの証拠が示している。気を張って向かうとしよう。」
「ここまで長かったね。紫音。ボク達の剣閃でこれまで切り開いてきた。ここに来てもやることは一緒さ。二人で突撃して道を切り開こう。これが最後の闘いになるかもしれないんだ。真の勇気を見せるときだ。」
「ああ。アンジェリカ。例え最高幹部に手が届かないとしてもこれで暗黒教団は壊滅だ。これまでの長い闘いも終わる。俺の二本の剣で切り結び道を開こう。行くぞ!」
意を決して町の門をくぐった。ハイエステスの町は普通の住民は居ないようだ。暗黒教団の最後の拠点として幹部のゴンゾを始めとして雑魚が大量に居るに違いない。
エクスに話し掛ける。
「エクス。敵の数のモニタリングとゴンゾの居場所を特定してくれ。」
「了解したわ。紫音。只今サーチ中よ。…目抜通りに敵が殺到。その数百人以上。ゴンゾは町の一番奥の屋敷に反応があるわ。これから切った張ったするしか無さそうね。」
「了解。全部悉く撃破して見せよう。アンジェリカ!最初からフルスロットルで行くぞ。奥義を準備しろ!そして目抜通りに突っ込むぞ。」
「はいはーい。了解了解!起きろ!朧村正!敵を食い破れ!」
俺もエクスカリバーを奥義の待機状態まで持っていく。
エクスカリバー!究極霊閃モード突入!オーバーロード!アルティメットスパーク待機状態!」
エクスカリバーから虹色の閃光が迸り、オーラが剣を覆った。
目抜通りに入った。そこには見渡す限り黒装束の仮面を着けた男達が大量に居た。
暗黒教団の最後の生き残り達と言うわけだ。全員短剣の様な物を構えると一斉に投げてきた。
アルティメットスパークの待機状態のエクスカリバーにはそんなものは通用しないが、極光魔神閃のモードに入っていなかったアンジェリカに短剣が殺到した。
剣舞を舞いなんとかいなそうとするものの捌ききれずに何十もの短剣が体に突き刺さった。
「ガバッ。ご…ごめん。紫音。立ってられない。もう無理だ。」
卒倒するアンジェリカ。
「くそ!起きろ!アンジェリカ。こんなところで死ぬなんて許さないぞ。立て!立つんだ!アンジェリカ!」
俺はそう叫ぶとエクスカリバーの鞘をアンジェリカに投げつけた。アンジェリカの背中の上に乗っかった。放っておけば蘇生するだろう。
「てめえら!良くもアンジェリカをやったな!ここで死ね。行くぞ!エクスカリバー!アルティメットスパーク!フルロード!」
虹色の剣閃が黒装束の男達を穿った。半数以上が肉片も残さずに消滅。
残り二十人といった所だ。対象との距離は百メートルほど開いている。俺は連続で縮地して詰め寄った。
いきなり百メートル向こうから此方に現れた紫音に対して黒装束の男達は動揺して固まってしまった。それが命取りだった。
俺は流れるように剣技を叩き込んでいく。正宗も使い手数を増やす。
袈裟斬り、雷閃、切り上げ、回転閃刃、直突、無双三連、無双一閃…
ひとしきり技を出しきると目の前には血の池が広がっていた。
二十人いた黒装束の男は物言わぬ肉塊になった。
アンジェリカが向こうから駆けつけてくる。
「おいおい。もう体は大丈夫なのか?アンジェリカ。さっき大量の短剣を浴びていただろう?まだ寝ていろよ。」
「そうは言っていられない。はい!エクスカリバーの鞘。ありがとう。死ぬところだったよ。さあこのままゴンゾに殴り込みを掛けよう。雑魚は片付いたんだろう?」
「ああ。確かに雑魚は片付いた…が、ゴンゾは手強いかもしれないぞ。覚悟して行こう。」
「はいはーい!任せて。朧村正で切り裂いちゃうよ!」
俺達はハイエステスの町の奥の屋敷に入った。扉は施錠されていたので正宗で破壊した。正宗は未だに全容が把握出来ないものの頑丈な刀として運用が出来るので役に立つ。
扉の向こうには何重にも張り巡らされた機銃の陣地があった。一階だけではなく二階のバルコニーからも狙いを定められている。一発でもかすればただでは済まないだろう。
そして一階の奥にはでっぷりとした男が居た。あいつが最後の幹部…ゴンゾだろう。
「ウヒヒヒ…お前達が暗黒教団で噂になっている聖剣使いか!如何に武装していてもこの機銃の山を超える事は出来まい。さあ肉片になるまで躍り狂うと良い!ファィア!」
そうゴンゾが叫ぶと機銃が一斉にこっちを向き発射体勢に入った。ここから奥までは十メートルはある…いちかばちかだ。一息でゴンゾを倒せば機銃掃射は止まる…と、俺が踏み込む前にアンジェリカが機銃の前に躍り出た。必死に剣舞を舞う。
銃弾の雨がアンジェリカを襲った。肉が潰れる音が木霊する。このままだとアンジェリカは俺の身代わりになって死ぬ。
そんなの許せない。俺の復讐だ。俺が死ぬのは構わないがアンジェリカが死ぬのは嫌だ。
このままだと鞘が有っても彼女は死ぬだろう。そう直感が告げていた。
俺は縮地で機銃の陣地を飛び越えてゴンゾの目の前に躍り出た。そして単なる袈裟斬り…しかし神の宿る一撃を叩き込んだ。神武一閃!対象者の周囲ごと弾き飛ばす一閃だ。
「グハァ…ヒッヒェエ!なんで俺の目の前にやってこれるんだ。あれだけの機銃があるのに…もう一人の女は馬鹿正直に撃たれてるじゃないか…ア…ガア!体が切られたところから螺子くれる!俺はここで死ぬのか…ああ我が暗黒神よお助けください。ウギャア…グアアアアアアア!」
ゴンゾは切り裂かれた腹から謎の空間に吸い込まれて死亡した。
が、機銃掃射は止まらない。未だにアンジェリカは弾を浴び続けて壊れた人形の様に躍り狂っていた。
俺は周囲全ての機銃に狙いを着けて一斉に切り結んでいった。数は二十は下らない。縮地をしながら二刀で切り刻んでいく。
十秒程で動いている機銃は全てエクスカリバーと正宗で破壊した。
アンジェリカは朧村正を杖にその場に立ち尽くしている。ピューピューと全身から血が噴き出している。
俺は確かめるのが怖かった。ここまでボロ切れの様にやられるアンジェリカは初めてだ。近寄って声を掛ける。
「アンジェリカ…まだ生きているか?頼む!返事をしてくれ。アンジェリカ!死ぬんじゃない!」
「…ハハッ。ボクの囮が効いたみたいで何よりだ。紫音。鞘をくれ。大丈夫。一応まだ生きてる。」
力無く答えるアンジェリカ。俺はすぐにエクスカリバーの鞘を渡した。
急速にアンジェリカの全身の傷が癒えていく。
「ふぅ…まったく死ぬかと思ったよ。でもボクがやらなきゃ今頃二人とも蜂の巣でゴンゾに高笑いで天国に送られていたね。フフ…辛い役回りさ。さあここが最後の拠点だ。ゼオン連結システムを探そう。」
「馬鹿野郎!もう二度とこんな無茶な真似はするんじゃない。アンジェリカ!お前が死んだら…俺は俺は…ううっ!」
「大丈夫。ボクは簡単には死なないだろう?泣くなよ。紫音。これからもボクは死なない。君が見捨てない限りはね。さあこの拠点を探そう。」
「分かった。お前を俺が信じるよ。この拠点を探すか。」
俺達はゴンゾが居た屋敷の部屋という部屋を全て洗うように探していった。金目の物があったのでそれは失敬したが、お目当てのゼオン連結システムは見つからなかった。
やはりここも駄目かと肩を落とす俺。エクスカリバーの憑依を解除したエクスが声を掛けてきた。
「紫音。さっき探した一番奥の部屋の更に奥から膨大な魔力反応が感知されたわ。ダメ元で行ってみましょう。」
「それは妙だな。分かった。行ってみよう。」
再び一番奥の部屋に向かう。魔力反応が感知された壁をまさぐってみると押すと凹む壁があった。
グゴゴゴと音を立てて壁がスライドした。
地下室に繋がっている様だ。
きな臭いな…一体何が隠されているんだ?
地下室に進む俺達。そこに待っていたのは…
暗黒教団の神の偶像が部屋の真ん中に置かれていた。そして右には捧げ物と思われる純金製の果実。これも頂いていこう。
左には奇妙な装置が置いてあった。タブレット端末の様な機械だ。エクスに聞いてみる。
「エクス、これか魔力反応が半端無いっていう物は?どうみても俺の世界の通信装置だぞ。」
「ええ、間違いないわね。試しに操作してみたら良いんじゃないかしら。」
おいおい…本当に大丈夫かよ。俺は触るのを躊躇っていた。が、アンジェリカがその装置を手に取った。
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「アンジェリカ!危険だから勝手に弄っちゃ駄目だぞ。俺に渡すんだ。」
「ちぇー。つまんないの。了解了解!はい。紫音。」
アンジェリカから端末を手渡される。スマホの要領で操作をしてみることにした。まずはシステム画面だ。この機械の名前は………ゼオンデバイス。
気分が高揚する。ああ…これこそが俺の追い求めていたゼオン連結システムに違いない。であればやることは一つ。地球に戻り、黒仮面の男を討つ。
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…出てきた。後は実際に転移できるか試すだけだ。地球に登録されている転移場所は三ヶ所。イギリス、アメリカ、日本の各都市。日本の場合は東京の赤坂だった。
黒仮面の男は日本に居る可能性が高い。俺は赤坂を選び、エクスとアンジェリカに告げた。
「二人とも聞いてくれ。この機械こそが俺達が探し求めていたゼオン連結システムだった。これを使って地球の日本と言う国に転移する。そこで最後の闘いが待っている。俺の宿敵…黒仮面の男だ。覚悟はいいか?もう二度とイスワルドには帰ってこれないかもしれないぞ。」
「私は最初から覚悟出来ているわ。地球にいる最高幹部を一人でも倒すことが出来れば暗黒教団は完全に崩壊するでしょう。それで私がアイリス様に託された仕事も終わる。私にとっても地球が終点よ。」
「今まで色んな場所を冒険してきたけど、最後は別の惑星とはね。ボクはこれからも旅を続けるつもりだからまだまだ終点じゃないよ。でも全力を尽くして黒仮面の男と闘おう。約束する。ボクは紫音の剣だからね。」
「すまんな。皆ありがとう。俺の復讐の旅なんかに着いてきてくれて本当に感謝するよ。さあ行くとしよう。いざ我が故郷の地球に戻ろう!黒仮面の男を討つ時だ!」
俺はゼオン連結システムで地球の赤坂を選ぶと転移ボタンを押した。周囲に透き通った緑色のドームが広がり俺達を包んでいく。そして一気にドームが閉じると俺達は歪んだ時空の狭間に居た。
そして何分経ったのだろう?いや…何時間か?正確には分からない程の時間が経過すると俺達は目的地…東京の赤坂のマンションの一室に転移し終えた。
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