87 / 103
87、異世界の母
しおりを挟む『──やっとあいつと離れたわね』
そういえば、最近ずっと一緒に居ますからね。
『サトシ、あなたいったい何してるの‥‥‥』
やっぱり怒ってます?
『怒ってるわよ。ちゃんと言う事を聞きなさい』
女神様、トシゾウはそんなに悪い奴じゃありません。
ちょっと我儘になってただけだと思うんです‥‥‥。
『あなたは、あいつの事を何も分かってない!』
それはそうかもしれませんが‥‥‥。
『もう少ししたら、あいつと合流するんでしょ? その時さっさと実行しなさい』
実行とは?
『分かってるでしょ? 殺すのよ』
‥‥‥嫌です。
『どうしてよ?! あんなデブに生きる資格はないわ!』
‥‥‥女神様、ごめんなさい。
『謝っても許さないわよ。やりなさい』
無理です。
俺にはトシゾウを殺す事は出来ません。
『ああ、もう! このままじゃあ、危険を冒してまで、あなたを召喚した意味がまるでないじゃない!』
‥‥‥召喚?
『‥‥‥そうよ』
女神様がこの世界に、俺を召喚したんですか?!
『何よ今更‥‥‥なんとなく気付いてなかったの? あいつを消すために、私があなたをこの世界に召喚したのよ』
全然気付いてませんでした‥‥‥そうだったんですね。
なんか、色々回りくどい事してますね‥‥‥。
『あいつにバレないように、最善を尽くした結果よ。後はサトシがあいつを殺せば、全て上手くいくのよ』
俺はその為だけに、この世界に存在してたと‥‥‥。
『その通りよ、物分かりがいいわね。『賢さ』が機能しないあなたに、ずっとガッカリしてたの。最後くらい私を喜ばせてよ』
‥‥‥俺は失敗作なのかな?
『悔しいけど、あいつの召喚したウメやユウカと違って、私の力では完璧な存在を造る事は無理だったみたいね‥‥‥』
子供が非行に走る時って、こんな気持ちなんでしょうね。
『‥‥‥わけわかんない事言ってないで、頼んだわよ。もうすぐあいつが来るわ』
女神様一つ質問良いです?
『‥‥‥何よ。あんまり時間がないわよ』
それ、断ったらどうなります?
『なんとなく分かってるんじゃないの? この世界から消えてもらうしかないわね』
また死んじゃいますか‥‥‥。
『あなたは私に召喚された不安定な存在。私には攻撃出来ないし、私が召喚を解除したら消えてなくなるわ。ウメやユウカが、あいつに逆らえないのと同じ理由ね』
‥‥‥なるほど。
『わかったでしょ? お願いだから、ちゃんと言う事を聞いて!』
‥‥‥善処します。
『‥‥‥じゃあ後は頼んだわよ。期待してるわ────』
目を開けると夕暮れの空が広がっていた。
──悪い目覚めってやつだな。
数時間ほど寝てたようで、暖かかった草原が嘘のように肌寒い。
「‥‥‥女神様、無茶言うよな」
立ち上がり山の斜面から下を見下ろすと、トシゾウがフラフラながらも、歩く事なくこちらに走って来るのが目に入った。
俺の姿が向こうからも見えたのだろう、拳を握りしめてこちらに向かって片手を大きく突き上げるトシゾウ。
なんかカッコ良いが足はフニャフニャだ。
今にも倒れそう。
「トシゾウさん頑張れ! あと少しだ!」
気付いたら、俺は大きな声でトシゾウを応援していた。
5
あなたにおすすめの小説
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる