ものひろいの能力もらったけど魔法と恋愛に夢中です。

紫雲くろの

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中等部編

第40話 計画と悪夢

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屋敷内ー寝室

謎の黒龍によるナシェの誘拐と自分自身の実力不足に対するショックから
俺は死んだ様に眠っていた。

その様子をモニカ悲しい表情で見つめ、寄り添っていた。
時折、悲しい夢を見ていると思われるコウの瞳から涙が溢れる。

モニカはその涙をハンカチで優しく拭き取り呟く。
「コウさん、また泣いていますね・・・」

ロモはあの時のコウの様子を思い出し悲しい顔をする。
「あんな状態のコウは初めて見たにゃ・・・よっぽどショックだったんだにゃ。」

「そうなんですね。」

リンがタブレット端末を操作してアカネとの連絡をとる。
アカネの姿が表示され真剣な表情でつぶやく。
「会長、コウさんが!」

「えぇ。一部始終は見させてもらったけれど、私の力不足も原因ね。」

「会長はその、冷静ですけど・・・心配じゃ無いんですか?」

少しアカネは心配そうな顔をする。
「心配よ、でも私の元夫はそんなにヤワじゃないわ。それにナシェちゃんを救うことが先決よ。」

「流石、元夫婦ですね。」

「えぇ、リン達はどうするのかしら?」

「はい、コウさんの看病とナシェさんの救出それと黒龍の撃破ですよね。」

「それと黒龍の裏にいる黒幕の撃破もね。」

リンはそれを聞いて驚く。
「えーっ、黒幕がいるんですか?」

「恐らくね。」

「そもそも黒龍の撃破が無理にゃ」
「傷付かないってことかしら?」

「はい、戦闘があった森林には黒龍の鱗の破片すら落ちていませんでした」

「それに麻痺薬も効かなかったにゃ。」

「恐らく転生者の能力でしょうね。」

「そんなの無理ですよ・・・」

「勝機はあるわ。爆発に対して吹き飛んだってことは無敵ではないし、それに未来改変の能力ならね。」

「奪取者から奪ったスキルですか?」

「えぇ、あれは未来の結果を上書きするスキルだから『黒龍を殺す』と宣言すれば相手の防御を突破できるはずよ。」

「なるほど、でも黒龍は空間転移の魔法を使ってましたよ。」

「それも対策はあるわ。」

タブレット端末が光り近くの床に紫色の小石が落ちる。

「何ですかこれ?」

「これは魔力石と言ってね、周辺の魔力を吸収する石よ。」

リンは納得するとしばらくして察したように呟く。
「そんなものが・・・もしかして近くだと魔法が使えなくなるんですか?」

「えぇ、それを未来改変の能力で飛ばせばいけるはずよ。」

「流石だにゃ。」

「ありがとうね」

モニカが悲しそうな顔で呟く。
「で、でもナシェちゃんの場所がわからないんじゃ・・・」

「未来改変の能力の範囲外ってことは結構絞られてくるわ。知己」

タブレット端末の画面が切り替わり地図が表示される。
「未来改変の能力ってここまで範囲があるんですか?」

「えぇ、そして1時間のうちに衛星の熱源センサーで高温を捉えた箇所はこの4つね。」

「高温!?そこでナシェさんが魔法を使ったってことですか?」

「えぇ、恐らくね。」

リンは真剣な顔をしだす。
「なら!急いで行かないと!」

「待ちなさい、外を見て。」

「えっ!?もう夜なんですか?」

「調査は私が引き続きやっておくから、今日は休みなさい。」

「はい・・・。」
「にゃ・・・。」

アカネがジト目でうっとりとしていたモニカの方を見る。
「ところでモニカさん、なんでコウの口元に唇を近づけようとしているのかしら?」

モニカが平静を装いながらコウから離れる。
「え、えっ?な、何ででしょうね・・・」

リンがそれを見て呟く。
「モニカさんダメですよ!私が今日は見るんですから。」
「何言ってるにゃ!私にゃ。」

次の瞬間タブレット端末で話していたはずのアカネが寝室に入ってくる。
「いい度胸ね。いいわ。」

その様子に3人は驚く。
「なっ!」
「どういうことにゃ!?」
「わわわ・・・」

アカネが手をかざすとそこから金属の粉のようなものが舞い上がる。
「ナノマシンよ。」

その様子にロモが微妙な顔をして呟く。
「分身体とかせこいにゃ。」

「さぁ3人とも勝負よ。」

「な、何をするんですか?」

アカネは一枚の金貨を取り出し見せる。
「ふふっ、ただのコイントスよ。」

「当てればいいんですね、負けませんから。」

五分後、一枚の金貨は今だに床に落とされていた。


リンとモニカが勝負の勝敗に痺れを切らしていた。
「まだ終わらないんですか?」
「で、です。」

ロモとアカネの動体視力により勝負は延長し続けていた。
「なかなかやるわね。」
「お前こそにゃ」

「もう二人で見ればいいんじゃないですか?」

「それもそうね。」
「にゃ。」

・・・

黒い霧が立ち込める荒れた地面に俺は立っていた。
それは前世でよく見た悪夢だった。
まさか異世界でも見るとは思わなかった。

「またか・・・くそっ!」

目の前には俺の見慣れた友人たちそして死んだ姉の姿があった。

「じゃぁな」
「さようなら」

一人、また一人黒い霧に消える。
死んだ姉も微笑みながら黒い霧に消えて行く。

「コウ、さようなら。」

そしてナシェの姿もあった。
彼女は泣きながら別れを告げる。

「コウくん、ありがとうね・・・」

「行くな!ナシェ!」

手を伸ばすもだんだんと姿が遠のいて行く。

「また・・・救えなかったのか・・・」


過去の回想が頭をめぐりだす。

初めてこの夢見たのは大好きだった姉が死ぬ3年前・・・俺が高校生の頃だ。
あまりにも頻発に見るこの夢が現実的で、起きた後にも残り続ける悲しみが不気味だった。
近いうちに姉が死ぬ・・・そう予感した俺は大好きなゲームをやめて勉強などの努力を続けてきた。

この安全が保障された現代社会で死に近い原因といえば経済的な原因だ。
そして当時俺の家は貧しく、その可能性は大いに考えられた。

そしてそれ以外の要因・・・運命的な原因だ。
それは次の瞬間かもしれないし50年後かもしれない、24時間一人の人間を守るには荷が重すぎる。

それで当時の俺はアニメで見た人工知能を作って守ってもらおうと考えたわけだ。
馬鹿らしい?あぁ俺もそう思うよ。
だが俺は食事、睡眠やらを犠牲に文字通り必死に考え実行した。

そしてその時が来た時、俺はPCの前で叫んだ。
「で、できた!うしっ!これで守れる・・・・!!」

「ん?電話か?こんなときに誰だ・・・。」

・・・

その後、姉は運命的な原因で死んだ。

なんて事はない・・・どこでも起こる飲酒運転の車との事故だ。
加害者は無事でしたという呆気ない展開に、俺は悲しみを通り越して無気力になってしまった。
普通の人間なら敵討ちを考えそうなものだが不思議とそういった感情は起きなかった。

俺は天井を見ながら、人工知能に話しかける。
「知己、努力しても無駄だったよ。」

「そうでしょうか、コウ様は経済的な原因は回避されているように思えるのですが?」

「確かにな・・・」

「それに、プログラミングをしている時のあなたは楽しそうですよ」

その言葉を聞いた俺は少し気分が楽になった。
歯を食いしばり、手を握り締めてある事を決意する。

「そうか・・・まだ努力しろって事だな・・・・」

その後、俺は完全予測システムの基礎アイデアを完成させた。
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