豪運少女と不運少女

紫雲くろの

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第1章

私の豪運はモフモフを届ける。

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私は和倉レノ16歳。世間で言うところのピチピチの可愛いJKである。

笑ったそこの君、後で私の取って置きの三発目ラストブリットをあげよう。

私の生まれ持っての豪運を乗せた拳は、神をもうならせる豪腕である。

って酷くないですか?作者さん・・・・この設定何とかしません!?
べ、別に・・・小さい胸とか・・・可愛く無いとか気にして無いんで・・・。

おい、聞けっ!アニメ見ながらキーボード打ってるお前だよ!

ドゴッ!!




変な夢から覚めた私は今、程よい日差しと心地よい風が吹く草原にいる。
そして異世界には高品質クッションがあるらしく、近くにあったそれに頭を乗せていた。

「んーこれは中々」

サバトラ模様の整った毛並みは雪に埋もれる様な感触を示しつつも、優しく跳ね返してくる。
さながら人を駄目にするクッションと言ったところだ。
たまに、うごめいたり「やめるにゃー」とか聞こえるけど気のせいだろう。

「おい、人間あんまり調子に乗るんじゃ無いにゃ」

「って本当に喋った。まぁいいか」

私は気にせずに近くでうねうねしている尻尾を掴む。

「にゃ!?そ、そこだけはダメにゃ・・・」

「何でぇ?」
掴んだ尻尾の根元から先まで手を優しくスライドさせる。

「にゃぁあああっ!」
高品質クッションはこそばされた様に息を荒げる。

「面白い。」

「いい加減に・・・・!」

私が楽しんでいると頭にあったクッションが消えて目の前に猫の獣人が現れた。
クッションが消えたので少し地面に頭をぶつけてしまった・・・痛い。

猫の獣人はよく見ると綺麗な顔をしていて華奢きゃしゃだった。おそらく私よりも年下だろう。
どこかで見た様な顔だった・・・思い出せない。

「誰?」

「お前が頭を乗せてた奴にゃ!」

「高品質クッション!?」

「そんな変な名前じゃ無いにゃ!」

「ふーん」

「興味なさそうだけど名乗っておくにゃ。私はロモ=クーショにゃ」

「ロモクッション?ブランド物?」

「クーショにゃ。でお前は?」

「私は和倉レノ、ピチピチの可愛いJKです。」

「ピチピチ?JK?なんかの暗号かにゃ?」

「うん!世界一可愛い少女の事ね。」

獣人は微妙な顔をする。
「そうには見えないけど・・・とりあえずレノって呼んでいいかにゃ?」

「うん、私はクッションって呼ぶから。」

「素直にロモって呼べにゃ。」

「オッケー」

獣人は私に手を差し伸べて来た。
何か欲しそうな目でこちらを見ている。
生憎、普段近所の猫にあげる為の餌(チャOチュール)は持っていない。

「ん?餌なら持ってないけど・・・転生したばかりだし。」

「ロモはそこら辺の猫じゃ無いにゃ!お前転生者かにゃ?」

クッションはゆっくりと此方に顔を近づけてくる。
近い近い・・・。
16年守り続けて来た乙女の純白をあげる訳にはいかないので丁重にお断りする。

「わ、私・・・そう言うのはちょっと・・・」

何かを察したのかクッションが赤くなる。

「そう言うの?にゃっ・・・ち、違うにゃ!!人間の転生者を初めて見たからにゃ」

「本当かなぁ・・・」

クッションは呆れ顔で呟く。
「そもそもお前見たいなガキに興味ないにゃ。」

年下の獣人にバカにされた様な気がした私は負けじと返答する。
我ながら情けないと思ったが、ここで引いたら後悔する様な気がした。
「は?こっちは16歳なんですけど!」

その言葉を聞いてクッションは口に手を当てて笑い出す。
「ププッ!こっちはお前の3倍以上生きてるにゃ」

「へー」
怒りに任せて適当に返事をしてしまった。
今なんて言った?あの獣人・・・私の3倍生きてる!?
計算すると48歳以上って事か・・・。物持ち良すぎるな、あのクッション!!

「は!?ババァじゃん!!」

その言葉を聞きクッションの毛が逆立つ。
「にゃー!!ババァって失礼なガキにゃ!」

「物持ち良すぎません?獣人は年取らないの??」

「なんか物扱いされてる感じがするけど・・・私は不老不死にゃ。」

平然と理解不能な事をクッションは呟く。
「あーはいはい。って・・・えー!」

クッションは仁王立ちをしながら威張った。
「ふふっ、驚き平伏ひれふすがいいにゃ!」

「つ、つまり死ぬまでモフモフ出来るって事!?」

「そこかにゃ・・・。まぁ転生して来たんなら力になるにゃ。」

「あ、ありがとう。」

「にゃ。」

私は再び差し出された獣人の手を使って起き上り近隣の村へと歩き出した。

あ、クッションの背中が私の頭の形に少し凹んでる・・・・。
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