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善は急げ
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ご主人様が眠りについた夜。藤さんは僕に手と足を付けて、応援していますよ、とだけ言って部屋に戻っていった。藤さんを巻き込まないようにしたかったから、途中までついてきてもらうのはやめた。
僕は机の隠し扉からお金の入った袋を取り出した。
「ほんとにあった…」
大急ぎで服を着て、大きい布で身体を隠しながら、窓から飛び降りた。予備の足も手も十分に機能してくれている。僕は可能な限り走った。ご主人様が簡単に追って来られないように。
「はぁ、はぁ、…ふう…。」
本当に、逃げられてしまった。しかも簡単に。あたりはまだ暗く、ご主人様が追ってくる気配もない。休まず歩き続ければ、きっとご主人様は僕を見つけられずに終わるだろう。
『本当にいいの?せっかく愛してもらえたのに?』
「仕方ないもん…僕だって人だもん、ちゃんと人として生きたかったなぁ…」
ご主人様の屋敷から勝手に持ち出したぬいぐるみ。一番仲がいい子だ。少し僕を心配してくれたが、僕が決めたことだから咎めないでいてくれた。
『夜明け、ご主人様は君を探し始めるよ。僕にはわかる。この道、もう少しでお店が見えてくるから、そこに隠れさせてもらいな。』
しばらく歩くと本当に小さな店が出てきて、僕は驚いた。ぬいぐるみは得意げだった。夜明けまでもう少し。お店に入って、僕は言った。
「あ、あの…僕追いかけられててっ…!隠れさせてもらえませんか…?」
「え?ええと…いいけど君、どこの子かな?ご主人様にいじめられた?」
僕が奴隷だということは身なりで分かるだろう。藤さんが古い服を渡してきたからだ。もちろん、ご主人様の所の子だとバレないようにするために。
「えっ、えっと、この子がご主人様は危ないから隠れないとって、それで、その…」
「……なるほど、そういうことか…。それじゃあうちの裏でゆっくりしているといい。」
「あ…ありがとうございます…!」
僕は布に包まって、店の裏に隠れた。夜中だから僕も眠い。うつらうつらしているうちに、僕は眠り始めた。
✱✱✱✱✱✱
『祐希くん起きて。あの店員、ご主人様が来たら受け渡して謝礼貰おうとしてる。』
「んぇぁ…?そうなの…?」
『寝ぼけないで!ほらもうご主人様くるよ!隠れて…!』
今はどれくらいの時間帯だろう。耳を澄ますと店の人とご主人様が会話する声が聞こえる。その会話もすぐ終わり、コツコツとこちらに向かってくる足音。
「ほら、ここに…あれ?いない。」
「いませんね。では他を当たります。では。」
「ちょっ!まって…!」
足音が遠ざかる。間一髪、屋根のはりに登ってよかった。僕は安全を確認して、はりから降りて裏口からこっそり、出ていった。
僕は机の隠し扉からお金の入った袋を取り出した。
「ほんとにあった…」
大急ぎで服を着て、大きい布で身体を隠しながら、窓から飛び降りた。予備の足も手も十分に機能してくれている。僕は可能な限り走った。ご主人様が簡単に追って来られないように。
「はぁ、はぁ、…ふう…。」
本当に、逃げられてしまった。しかも簡単に。あたりはまだ暗く、ご主人様が追ってくる気配もない。休まず歩き続ければ、きっとご主人様は僕を見つけられずに終わるだろう。
『本当にいいの?せっかく愛してもらえたのに?』
「仕方ないもん…僕だって人だもん、ちゃんと人として生きたかったなぁ…」
ご主人様の屋敷から勝手に持ち出したぬいぐるみ。一番仲がいい子だ。少し僕を心配してくれたが、僕が決めたことだから咎めないでいてくれた。
『夜明け、ご主人様は君を探し始めるよ。僕にはわかる。この道、もう少しでお店が見えてくるから、そこに隠れさせてもらいな。』
しばらく歩くと本当に小さな店が出てきて、僕は驚いた。ぬいぐるみは得意げだった。夜明けまでもう少し。お店に入って、僕は言った。
「あ、あの…僕追いかけられててっ…!隠れさせてもらえませんか…?」
「え?ええと…いいけど君、どこの子かな?ご主人様にいじめられた?」
僕が奴隷だということは身なりで分かるだろう。藤さんが古い服を渡してきたからだ。もちろん、ご主人様の所の子だとバレないようにするために。
「えっ、えっと、この子がご主人様は危ないから隠れないとって、それで、その…」
「……なるほど、そういうことか…。それじゃあうちの裏でゆっくりしているといい。」
「あ…ありがとうございます…!」
僕は布に包まって、店の裏に隠れた。夜中だから僕も眠い。うつらうつらしているうちに、僕は眠り始めた。
✱✱✱✱✱✱
『祐希くん起きて。あの店員、ご主人様が来たら受け渡して謝礼貰おうとしてる。』
「んぇぁ…?そうなの…?」
『寝ぼけないで!ほらもうご主人様くるよ!隠れて…!』
今はどれくらいの時間帯だろう。耳を澄ますと店の人とご主人様が会話する声が聞こえる。その会話もすぐ終わり、コツコツとこちらに向かってくる足音。
「ほら、ここに…あれ?いない。」
「いませんね。では他を当たります。では。」
「ちょっ!まって…!」
足音が遠ざかる。間一髪、屋根のはりに登ってよかった。僕は安全を確認して、はりから降りて裏口からこっそり、出ていった。
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