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5話:スズナリ様(3)
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頬には冷たい感触を感じ、重い瞼を開くとそこはユメを見る前の光景だった。
「……アッ……」
少し動かそうとすると身体が軋む。その瞬間身体全身に激痛が走り声を発することすらできない。
激痛を感じるのと共に、視界のあらゆる物に赤い光が降り注がれて視界が赤い染まっていく。
視界には、先程まで戦っていたフジヒコが居らずどういう状況になっているかも分からない。
「アケ……」
アケミさんはコウスケに視線を向けると、彼は頷いた。コウスケに担がれた俺は痛みで抵抗することができない。
「助け……コ……け……」
「あぁ、今楽にしてやるよ」
コウスケはそう言うと、アケミが開けたスズナリ様がいる牢の中に俺と共に入り、スズナリ様の傍に置く。
背を向けて去っていくコウスケに手を伸ばしたくても動かない。
身体のコントロールはすべて自身の手中にはないのだ。
そして、コウスケが牢から出るとアケミさんは鍵を閉めた。
スズナリ様は隣に置かれた俺から溢れ出る赤い光に誘われて、触手ではなく、手だったものを伸ばしてくる。
怖い。
しかし、その声すら喉の奥につっかえて出てこない。
スズナリ様の手が俺の顔に触れると、赤い光はスズナリ様に伝っていき、俺の全身に描かれている赤い模様は黒い模様に変化していく様が視界の端に映る腕から感じ取れた。
激痛は治まるが、身体が心と分離にしているような、まるで強い眠気に襲われているのに、身体だけは動きそうなそんな感覚だけが残り、思考はふわふわしている。
──あぁ。
意識を手放せば、目の前に赤い鳥居があり、鳥居以外は見渡す限り浅瀬の湖の中で座り込んでいた。
白い花婿衣装を身にまとい、両手で大きなお椀を持ち上げている。
──それに口をつけてはいけない!
脳に警告音が鳴り響き、身体に訴えかけるが、身体はお椀に口をつけて、中に注がれている美酒を体内に取り込んでいく。
──やめてくれ!
そう思うと同時に両手はお椀を落とす。
「スズナリ様!」
身体は真っ直ぐ見据えているが、意識だけが後ろを向くと、そこには喜ばしそうに慕ってくる幼馴染たちの姿がそこにある。
──コウスケ、ユイ姉、リン、タクヤ……!
気が付いてくれと、助けてくれと訴えかけても身体は口ひとつ動かさない。
美酒を飲み干してから無気力になったアキラの身体を一人乗りの船に乗せた幼馴染たちは、鳥居の先に広がる暗闇の海へと船を押す。
──俺は……。
──。
前を向くと、木で造られた柵の奥にフジヒコがいた。
「スズナリ様、いってきますね」
おーい、と、遠くから呼ぶコウスケの声が聞こえる。
「ふーちゃん、どこー?」
コウスケに続いてリンの弱々しい声も聞こえてくる。
「今、いくよー」
元気に答えるフジヒコはこっちを向いた。
「行ってくるね、スズナリ様──ううん、アキラくん」
フジヒコは出ていく。
「お待たせ。スズナリ様に挨拶してたんだ」
「スズナリ様への挨拶は大事だもんね~」
「じゃ行きましょ。無事に大人になった幼馴染5人で夏祭り!一人も欠けることがなくて良かったわ」
扉の閉まらない内にフジヒコは赤い鈴を持って、4人と鈴の音を鳴らした。
「スズナリ様に幸あらんことを」
五つの鈴は房のようにまとまって、互いに異なる音を鳴らす。
鈴の音が集まる場所はスズナリ様が傍にいてくれるから。
「……アッ……」
少し動かそうとすると身体が軋む。その瞬間身体全身に激痛が走り声を発することすらできない。
激痛を感じるのと共に、視界のあらゆる物に赤い光が降り注がれて視界が赤い染まっていく。
視界には、先程まで戦っていたフジヒコが居らずどういう状況になっているかも分からない。
「アケ……」
アケミさんはコウスケに視線を向けると、彼は頷いた。コウスケに担がれた俺は痛みで抵抗することができない。
「助け……コ……け……」
「あぁ、今楽にしてやるよ」
コウスケはそう言うと、アケミが開けたスズナリ様がいる牢の中に俺と共に入り、スズナリ様の傍に置く。
背を向けて去っていくコウスケに手を伸ばしたくても動かない。
身体のコントロールはすべて自身の手中にはないのだ。
そして、コウスケが牢から出るとアケミさんは鍵を閉めた。
スズナリ様は隣に置かれた俺から溢れ出る赤い光に誘われて、触手ではなく、手だったものを伸ばしてくる。
怖い。
しかし、その声すら喉の奥につっかえて出てこない。
スズナリ様の手が俺の顔に触れると、赤い光はスズナリ様に伝っていき、俺の全身に描かれている赤い模様は黒い模様に変化していく様が視界の端に映る腕から感じ取れた。
激痛は治まるが、身体が心と分離にしているような、まるで強い眠気に襲われているのに、身体だけは動きそうなそんな感覚だけが残り、思考はふわふわしている。
──あぁ。
意識を手放せば、目の前に赤い鳥居があり、鳥居以外は見渡す限り浅瀬の湖の中で座り込んでいた。
白い花婿衣装を身にまとい、両手で大きなお椀を持ち上げている。
──それに口をつけてはいけない!
脳に警告音が鳴り響き、身体に訴えかけるが、身体はお椀に口をつけて、中に注がれている美酒を体内に取り込んでいく。
──やめてくれ!
そう思うと同時に両手はお椀を落とす。
「スズナリ様!」
身体は真っ直ぐ見据えているが、意識だけが後ろを向くと、そこには喜ばしそうに慕ってくる幼馴染たちの姿がそこにある。
──コウスケ、ユイ姉、リン、タクヤ……!
気が付いてくれと、助けてくれと訴えかけても身体は口ひとつ動かさない。
美酒を飲み干してから無気力になったアキラの身体を一人乗りの船に乗せた幼馴染たちは、鳥居の先に広がる暗闇の海へと船を押す。
──俺は……。
──。
前を向くと、木で造られた柵の奥にフジヒコがいた。
「スズナリ様、いってきますね」
おーい、と、遠くから呼ぶコウスケの声が聞こえる。
「ふーちゃん、どこー?」
コウスケに続いてリンの弱々しい声も聞こえてくる。
「今、いくよー」
元気に答えるフジヒコはこっちを向いた。
「行ってくるね、スズナリ様──ううん、アキラくん」
フジヒコは出ていく。
「お待たせ。スズナリ様に挨拶してたんだ」
「スズナリ様への挨拶は大事だもんね~」
「じゃ行きましょ。無事に大人になった幼馴染5人で夏祭り!一人も欠けることがなくて良かったわ」
扉の閉まらない内にフジヒコは赤い鈴を持って、4人と鈴の音を鳴らした。
「スズナリ様に幸あらんことを」
五つの鈴は房のようにまとまって、互いに異なる音を鳴らす。
鈴の音が集まる場所はスズナリ様が傍にいてくれるから。
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