入厨 ‐いりくりや‐

天野 帝釈

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やりきった

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家に帰ると、男は、車で引いてきた大きな桶に老婆を入れて、
腕を縛って、守り刀の代わりの包丁を入れてやった。

誰かに悪さはさせねぇが、足には自分の子を探せるように縄を掛けずにおいてやる事にした。

人一人分が入る穴を掘るのは大変だったが、早く寝かせてやりたくて、その日のうちに埋めてやった。

腕も足も腰も大工仕事より酷使した。

小さな墓石を置いて、知りもしない経と今日聞いた神主様の祝詞を適当に真似して唱えてやった。

こんなふざけたもんでも少しでも慰めになりゃ良いと思う。

疲れたので、墓の前で呆けていると、実の子供でなく、他人の、
しかも悪人の自分が老婆を看取ったということが段々おかしくなってきて、暫くの間笑ってしまった。




体は疲れちゃいるのに、気分はとてもすっきりとしている
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