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鳴き声の謎
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一通り笑い疲れて、そろそろ一度家に帰るかと思うと、いつもすれ違う爺様が通りかかった。
丁度あの家から戻ってきたようだ。
男は墓を見ると、目を丸くして寄って来る。
「その墓はおハルさんのかい?」
あぁ、婆ぁの名はハルというのか。
と思いながら、こくりと男は頷いて、どうぞと言って爺様の為に、墓の前からどいてやった。
そうして手を合わせると、爺様がぽつりぽつりと婆様の事を話し出す。
「この人は子供に恵まれなくてねぇ、やっと年子で男の子を生んだのさ。
それはそれは可愛がっていたんだが、ある日、旦那が倒れて世話ができなくなったんで、
泣く泣く遠くの親戚に預けたそうだよ。
旦那を看取ってから子に会いたいと親戚を訪ねると、そこはもうもぬけの殻で子もいなくなっていたらしい。
その子にやっと会えたんだねぇ。」
目を細めて爺様が自分の顔をじっくりと見てくるので男は二の句が継げなくなった。
「重兵衛ちゃんや。よく戻ったね。」
と爺様がこちらを見たまま笑った。
ふしゅるふしゅるという婆ぁの鳴き声はどうやら人の名前だったらしい。
男は目を見開いて固まった後、
「母が世話になりました。」
と頭を下げた。
丁度あの家から戻ってきたようだ。
男は墓を見ると、目を丸くして寄って来る。
「その墓はおハルさんのかい?」
あぁ、婆ぁの名はハルというのか。
と思いながら、こくりと男は頷いて、どうぞと言って爺様の為に、墓の前からどいてやった。
そうして手を合わせると、爺様がぽつりぽつりと婆様の事を話し出す。
「この人は子供に恵まれなくてねぇ、やっと年子で男の子を生んだのさ。
それはそれは可愛がっていたんだが、ある日、旦那が倒れて世話ができなくなったんで、
泣く泣く遠くの親戚に預けたそうだよ。
旦那を看取ってから子に会いたいと親戚を訪ねると、そこはもうもぬけの殻で子もいなくなっていたらしい。
その子にやっと会えたんだねぇ。」
目を細めて爺様が自分の顔をじっくりと見てくるので男は二の句が継げなくなった。
「重兵衛ちゃんや。よく戻ったね。」
と爺様がこちらを見たまま笑った。
ふしゅるふしゅるという婆ぁの鳴き声はどうやら人の名前だったらしい。
男は目を見開いて固まった後、
「母が世話になりました。」
と頭を下げた。
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