2 / 14
2
しおりを挟む「はぁ…次は殿下に認めてもらえるのかしら…」
朝メイドのマギーに支度をしてもらいながらソフィアはまたため息をつく。
前回のお茶会での失敗を反省し、自分の頑張りを褒めてもらうのではなく、エドワードに喜んでもらえることを模索しつつ自分磨きも忘れず心がけている。
「そもそも私の容姿が殿下の好みじゃない…とか…」
「なんてこと言うんですか!ソフィア様は可愛いです!」
「ふふっ、ありがとうマギー」
凄い勢いで言われて照れながら笑ったソフィア。
今マギーが髪をといてくれてるので動かず目を閉じていたら…
──殿下の好みか…確か子供の頃そんな話をしたような…
「はい。完成ですよソフィア様。今日は宝石商の方が来られるんでしたよね?」
「え?」
昔のことを思い出そうとしてた時に今日の予定を言われ、一瞬全ての思考が止まるソフィアだったがすぐに思い出し
「そうね、今日だったわ。作ってもらってたものが仕上がって持ってきてくれるのよね」
「お茶会に間に合って良かったわ。喜んでもらえると嬉しいのだけれど…」
ありがとうソフィア…と満面の笑みで受け取ってくれるエドワードを想像して
1人頬を赤く染めるも、また何か間違えてる気もして落ち着かなくなる。
──大丈夫、今度こそ大丈夫よ
『 エドワード様はどんな子がお好きですか?』
『 ……………………………』
子供のソフィアの問いかけにエドワードが何か答えてるのに
今のソフィアには声が聞こない。
でも答えを聞いて子供のソフィアがとても嬉しそうに笑ってる。
──私すごく嬉しそう…
そう思ったところで、はっと目を覚ます。
朝の食事が終わり宝石商が来るまで自室で本を読んでいたがほんの少し寝てしまったようだ。
「寝てしまうなんて学園が休みだからって気を緩めすぎね。」
2度寝をしてしまい反省してると執事が呼びに来た。
「ソフィア様、商人が着きました。応接室に待たせております」
「ロイドありがとう。今行きますわ。」
◇◆◇
婚約の約束がわかされてから続くお茶会。
余程のことがない限りお互いの家で行われるため、今回はスタンリー伯爵家での開催となる。
経験のあるスタンリー家ではあるが、王族を迎える為朝から使用人総出で動き回っての準備は毎度のことだ。
ソフィアも朝早くから準備をして既に少し疲れてはいるが、大好きなエドワードに会える嬉しさが勝つ。しかし、いつもの試練を思い出し少し緊張もしている。
『 ………』
不意にこの前の夢を思い出しマギーに髪型のリクエストを出した。
「ようこそお待ちしておりました殿下」
出迎えたソフィアを見てエドワードは驚いて目を大きく開けた後、笑顔を見せた。
「…!!」
不意に見たエドワードの笑顔にソフィアは胸が高まる。
「ソフィア……とても素敵だ」
1歩前にすすみソフィアとの距離をつめたエドワードは、全体を編み込みしてサイドに三つ編みでまとめ小花を差し込み青色のリボンで結んだソフィアの髪の先を少し持ち微笑んだ。
──リクエストしてよかったわ。夢の中で子供の私がしてた髪型。今日は大丈夫かも。
いつもと違うエドワードに舞い上がったソフィア。話も弾み穏やかな時間を過ごした。
ある程度の時間が来た時
「今日は殿下にプレゼントがあるんです」
とマギーに合図を送る。すっとソフィアの手元に持ってきたのは白い箱。
ソフィアはその箱を開けてエドワードの前に置く。
「これは…」
「殿下にと思ってデザインから考えて作りましたの」
それはエドワードの髪と同じ色のようなシトリンを使ったカフスボタン。
カットされた見事な宝石の上に彫刻で透かし模様を入れた銀細工を施した見事な出来であった。
留め具にも彫刻と小さなエメラルドをはめ込んである。
エドワードが手に取って見てる。
──ここで殿下に喜んでいただかないと!
「何度もデザインを変更して、納得できるものをと職人も頑張ってくれました」
「宝石も何回も見に行って決めたんですの」
「入れてる箱もはじめはもっと飾ってあったんですが、開けた時に宝石が際立つようにとアドバイスもらって…」
「…ありがとう」
礼は述べているが、何故か低く感情のない声が聞こえる。
──想像してた反応と違いますわ…まさか…私また…
「僕とは月1度のお茶会だけなのにね。ソフィアは他の人とは何度も会うんだね?」
「…!!」
「えっあっでも、これはずっと殿下を想って殿下のために…」
──また間違えてしまった!!でも…でも…
「…今日は楽しかった。もう帰るよ」
エドワードはソフィアを見ることなく部屋を出ていこうとした。
「殿下!お待ちください。今日は…」
側近がエドワードを止めようとするが
「黙れシモン!帰るぞ!」
止めようとした手を払い除けそのままエドワードはスタンリー家を後にした。
「ソフィア様」
「マギー…また私調子に乗ってしまったのね」
ソフィアは泣くこともできずただ下を向き耳に手を当てる…そこには先程のカフスボタンとおそろいのピアスをつけていた。
──本当に毎日殿下を想い、殿下の為に頑張ってたつもりだったのに…私やっばりダメですわ…
◇◆◇
「ソフィア!!どうした!!何があった!!」
「…お父様申し訳ございません。私今は話したくないんです。そっとしておいてください」
ベッドに潜り込み顔も隠してしまっているソフィア。
愛する娘が夜食事もせず部屋にこもってると聞き、部屋まで急ぎやってきたスタンリー伯爵はオドオドしてなおも声をかける。
このやり取りは毎度のことではあるが…
「ソフィア、嫌なら嫌とはっきり言ってくれないか?ソフィアが辛いなら私がなんとか…」
「失礼します。旦那様ソフィアお嬢様にお届けものです」
「またか!!」
「はい。エドワード殿下からです。今回は側近のシモン様直々にお持ちいただいております。応接室にお通ししましたがいかがいたしましょうか?」
私が行くと言いかけたスタンリー伯爵をソフィアが止めた。
「マギー支度をお願い。ロイド、シモン様には少しお待ちいただいて」
「「かしこまりました」」
「お待たせしましたわシモン様」
「いえこちらこそ申し訳ございませんソフィア様」
シモンは椅子にも座らず待っていた。そしてソフィアの顔を見て深々と頭を下げる。
「おやめくださいシモン様。おかけになって。私は…大丈夫ですので」
「こちらを…」
言われて座ってからシモンは白い細長い箱をソフィアの前に置く。
「本当は今日これをソフィア様に渡すつもりで殿下もご用意してたんです」
「これは…」
箱を開けるとエメラルドのネックレスとピアスが入っていた。
「殿下からではなく私からのお渡しで申し訳ございません。後こちらも…」
受け取った封筒には来月のお茶会の招待状がはいってた。
では私はこれでと、見送りも必要ないと辞退してシモンは帰って行った。
「殿下…」
「ソフィア様」
マギーがソフィアを支え、部屋まで連れていき寝るまでそばに寄り添った。
全て見てたスタンリー伯爵は、また肩を落とし落ち込んでいた。
21
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
元恋人が届けた、断りたい縁談
待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。
手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。
「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」
そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました
鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」
そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。
王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。
私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。
けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。
華やかな王宮。
厳しい王妃許育。
揺らぐ王家の威信。
そして――王子の重大な過ち。
王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。
離縁を望んでも叶わない義妹。
肩書きを失ってなお歩き直す王子。
そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。
ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。
婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。
殿下、そんなつもりではなかったんです!
橋本彩里(Ayari)
恋愛
常に金欠である侯爵家長女のリリエンに舞い込んできた仕事は、女性に興味を示さない第五皇子であるエルドレッドに興味を持たせること。
今まで送り込まれてきた女性もことごとく追い払ってきた難攻不落を相手にしたリリエンの秘策は思わぬ方向に転び……。
その気にさせた責任? そんなものは知りません!
イラストは友人絵師kouma.に描いてもらいました。
5話の短いお話です。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる