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休憩も入れながら馬車に揺られて数時間、やっとラッセン子爵家の領地に着いた。
数ヶ月しか離れていないが懐かしい。屋敷まであと少しのところで馬車は止まる。シルヴィとアランだけ降りて荷物などは先に運んでもらうことにした。
「どこか寄るの?」
「エリーのケーキが食べたくて」
「多分屋敷で沢山ご馳走作ってくれてると思うけど…」
「ケーキは別」
今にもスキップしそうな勢いだったのでアランが腕を掴んで止める。
「あらシルヴィ様!学園からお戻り?」
「休みに入ったの」
「おかえりなさい。また遊んでね」
顔見知りの親子連れに手を振って別れお目当てのお店に行く。小さな看板を出している街のケーキ屋さんで、屋敷で働いていたパティシエが出した店である。
カランと入口についている鐘をならし中に入ると小さな背丈に幼い顔をしているが子供もいる歳のエリーがいて、シルヴィに気がつくと笑顔で迎えてくれた。
「おかえりなさい。シルヴィ様」
「エリーただいま。やっぱりエリーのケーキが食べたくて帰る前に寄ったの」
「でも今日ほとんどのケーキを屋敷に持っていったので…」
確かにお店にはクッキーはあってもケーキがなかった。
「えー」
「ちゃんと用意してくれているんだよ。早く帰ろう」
「先に食べたかった…エリーまた来るね」
「お待ちしてます」
2人で店を出て歩いて屋敷まで向かう。少し高台になっているところに屋敷があるがさほどの距離はない。
「ローズとも仲良くなれたし早かったわ。デレないヒロインなのにこの頃は表情も豊かになってめちゃくちゃ可愛いよね。攻略対象者とも繋がりもてたし」
「本当に何言っているか分からないけど、シルヴィが楽しいなら良かったよ」
攻略対象者と自分で言ってから思い出しシルヴィはアランの方に向き
「あっそうだ。この前のブレスレット一応返して」
「なんで?つける必要ないしいらないでしょ」
「殿下に見つかってつけろって言われたの」
「は?」
「だから殿下に…」
「ずっとつけとけって言われたの?」
「うん」
アランは考え込んで歩みを止めてしまったので、シルヴィも止まってアランの顔を覗き込む。
「同じようなのを僕が用意しとくよ。そっちをつけとけば問題ないでしょ。休み中に準備するよ」
「分かったわ」
シルヴィはそれがたいしたことではないとばかり既に休みの計画を考え楽しくなっていた。
「ローズたちが来たら何しようかな。ローズ釣りなんてしたことないよね?後船とか?楽しみだわ」
無邪気に笑うシルヴィにつられてアランも笑うが、
「宿題も忘れないでよ」
「嫌な事言わないで!」
そんなたわいもない事を話していると屋敷の門に着いた。
特に門番もおらず門も開けっ放しなのでそのまま入り、入口までやってくると中から執事のスミスが扉を開けてくれた。
「シルヴィ様アラン様お帰りなさいませ」
「ただいまスミス」
そのまま応接室に通されて、久々ドスンと家のソファに座り込んだ。
「さすがに疲れたね。家は落ち着くわ」
「そうだね。シルヴィ馬車の中でほぼ寝てたけどね」
ムッと口を尖らせ怒った表情をしてアランを睨むがアランは気にせず座っている。文句でも言おうかと思っていると、扉が勢いよくあき高い声が響く。
「2人ともおかえりなさい!!もう本当に寂しかったわ」
シルヴィの母親のフィナが飛び込んできた。入ってきてすぐシルヴィに抱きつき、向きをかえアランにも抱きつく。
「お母様ただいま」
「フィナ様ただいま戻りました」
ふふっとふんわり笑うフィナはシルヴィとそっくりな顔だ。
「学園はどう?」
2人が学園にいた間のことを色々聞かれ楽しく話をしていると子爵が帰ってきたとスミスが知らせに来た。と同時トリスタン子爵がすごい勢いで入ってきた。
「シルヴィ、アランおかえり」
両手を広げ飛び込んでおいでと立っていたが2人とも座ったままだ。
「お父様、もう私たち15歳よ」
「えー」
見る見る肩を落とし落ち込む父にそっと近づき抱きついた。
「ただいま。お父様」
「シルヴィ…」
嬉しそうに娘を抱きしめアランに目を向ける。
「僕はやりませんよ…」
眉を寄せて嫌そうな顔をしたが泣きそうな顔の子爵を見て大きく息をはいてトリスタンの前に行く。
カバっとアランにも抱きついて嬉しそうに
「おかえりアラン」
「痛いですよ!!」
アランはフェンサー男爵家の嫡男ではあるが、実の息子ではない。
男爵夫人はアランを身ごもったまま男爵と結婚した。男爵も了承しての結婚だったが、生まれてきた子供に愛情を注ぐことはなくただ妻だけを愛した。
夫人は男爵の愛を受け止めながらも、別の人の子供を産んだ事実との間で精神を病んだ。
療養のため別宅へ移ったが、よくなることはなくアランが3歳の時に亡くなった。夫人がいた間は男爵も別宅へ来ていたが亡くなったあとは全く来なくなり、使用人達も減っていき見かねたトリスタンが半ば強引に引き取った感じになって今に至る。
「さあ2人ともお腹すいただろ?食堂に行こう」
子爵夫妻はアランも実の子同然に可愛がりいずれはシルヴィと一緒になって欲しいと思っているが、本人たちには何も言ってなかった。
4人で食堂まで歩き、スミスが扉を開けると4人で食べるには多すぎる量が用意されていた。
席につきある程度食事が進んだ時
「お手紙でも書いたけど、友達来ても大丈夫よね?」
シルヴィが返事をもらう前に帰ってきたので改めて聞く。
「大歓迎だよ。私たちも楽しみだ」
トリスタンが嬉しそうに言うのをやっぱりなとアランが苦笑いした。
「早く来ないかな」
ワクワクしながら先程食べられなかったケーキを食べ幸せそうに笑うシルヴィはこの後本来のゲームで起こるイベントをすっかり忘れていた。
数ヶ月しか離れていないが懐かしい。屋敷まであと少しのところで馬車は止まる。シルヴィとアランだけ降りて荷物などは先に運んでもらうことにした。
「どこか寄るの?」
「エリーのケーキが食べたくて」
「多分屋敷で沢山ご馳走作ってくれてると思うけど…」
「ケーキは別」
今にもスキップしそうな勢いだったのでアランが腕を掴んで止める。
「あらシルヴィ様!学園からお戻り?」
「休みに入ったの」
「おかえりなさい。また遊んでね」
顔見知りの親子連れに手を振って別れお目当てのお店に行く。小さな看板を出している街のケーキ屋さんで、屋敷で働いていたパティシエが出した店である。
カランと入口についている鐘をならし中に入ると小さな背丈に幼い顔をしているが子供もいる歳のエリーがいて、シルヴィに気がつくと笑顔で迎えてくれた。
「おかえりなさい。シルヴィ様」
「エリーただいま。やっぱりエリーのケーキが食べたくて帰る前に寄ったの」
「でも今日ほとんどのケーキを屋敷に持っていったので…」
確かにお店にはクッキーはあってもケーキがなかった。
「えー」
「ちゃんと用意してくれているんだよ。早く帰ろう」
「先に食べたかった…エリーまた来るね」
「お待ちしてます」
2人で店を出て歩いて屋敷まで向かう。少し高台になっているところに屋敷があるがさほどの距離はない。
「ローズとも仲良くなれたし早かったわ。デレないヒロインなのにこの頃は表情も豊かになってめちゃくちゃ可愛いよね。攻略対象者とも繋がりもてたし」
「本当に何言っているか分からないけど、シルヴィが楽しいなら良かったよ」
攻略対象者と自分で言ってから思い出しシルヴィはアランの方に向き
「あっそうだ。この前のブレスレット一応返して」
「なんで?つける必要ないしいらないでしょ」
「殿下に見つかってつけろって言われたの」
「は?」
「だから殿下に…」
「ずっとつけとけって言われたの?」
「うん」
アランは考え込んで歩みを止めてしまったので、シルヴィも止まってアランの顔を覗き込む。
「同じようなのを僕が用意しとくよ。そっちをつけとけば問題ないでしょ。休み中に準備するよ」
「分かったわ」
シルヴィはそれがたいしたことではないとばかり既に休みの計画を考え楽しくなっていた。
「ローズたちが来たら何しようかな。ローズ釣りなんてしたことないよね?後船とか?楽しみだわ」
無邪気に笑うシルヴィにつられてアランも笑うが、
「宿題も忘れないでよ」
「嫌な事言わないで!」
そんなたわいもない事を話していると屋敷の門に着いた。
特に門番もおらず門も開けっ放しなのでそのまま入り、入口までやってくると中から執事のスミスが扉を開けてくれた。
「シルヴィ様アラン様お帰りなさいませ」
「ただいまスミス」
そのまま応接室に通されて、久々ドスンと家のソファに座り込んだ。
「さすがに疲れたね。家は落ち着くわ」
「そうだね。シルヴィ馬車の中でほぼ寝てたけどね」
ムッと口を尖らせ怒った表情をしてアランを睨むがアランは気にせず座っている。文句でも言おうかと思っていると、扉が勢いよくあき高い声が響く。
「2人ともおかえりなさい!!もう本当に寂しかったわ」
シルヴィの母親のフィナが飛び込んできた。入ってきてすぐシルヴィに抱きつき、向きをかえアランにも抱きつく。
「お母様ただいま」
「フィナ様ただいま戻りました」
ふふっとふんわり笑うフィナはシルヴィとそっくりな顔だ。
「学園はどう?」
2人が学園にいた間のことを色々聞かれ楽しく話をしていると子爵が帰ってきたとスミスが知らせに来た。と同時トリスタン子爵がすごい勢いで入ってきた。
「シルヴィ、アランおかえり」
両手を広げ飛び込んでおいでと立っていたが2人とも座ったままだ。
「お父様、もう私たち15歳よ」
「えー」
見る見る肩を落とし落ち込む父にそっと近づき抱きついた。
「ただいま。お父様」
「シルヴィ…」
嬉しそうに娘を抱きしめアランに目を向ける。
「僕はやりませんよ…」
眉を寄せて嫌そうな顔をしたが泣きそうな顔の子爵を見て大きく息をはいてトリスタンの前に行く。
カバっとアランにも抱きついて嬉しそうに
「おかえりアラン」
「痛いですよ!!」
アランはフェンサー男爵家の嫡男ではあるが、実の息子ではない。
男爵夫人はアランを身ごもったまま男爵と結婚した。男爵も了承しての結婚だったが、生まれてきた子供に愛情を注ぐことはなくただ妻だけを愛した。
夫人は男爵の愛を受け止めながらも、別の人の子供を産んだ事実との間で精神を病んだ。
療養のため別宅へ移ったが、よくなることはなくアランが3歳の時に亡くなった。夫人がいた間は男爵も別宅へ来ていたが亡くなったあとは全く来なくなり、使用人達も減っていき見かねたトリスタンが半ば強引に引き取った感じになって今に至る。
「さあ2人ともお腹すいただろ?食堂に行こう」
子爵夫妻はアランも実の子同然に可愛がりいずれはシルヴィと一緒になって欲しいと思っているが、本人たちには何も言ってなかった。
4人で食堂まで歩き、スミスが扉を開けると4人で食べるには多すぎる量が用意されていた。
席につきある程度食事が進んだ時
「お手紙でも書いたけど、友達来ても大丈夫よね?」
シルヴィが返事をもらう前に帰ってきたので改めて聞く。
「大歓迎だよ。私たちも楽しみだ」
トリスタンが嬉しそうに言うのをやっぱりなとアランが苦笑いした。
「早く来ないかな」
ワクワクしながら先程食べられなかったケーキを食べ幸せそうに笑うシルヴィはこの後本来のゲームで起こるイベントをすっかり忘れていた。
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