転生した先は乙女ゲーム?私は登場しないモブだったので従兄弟をヒロインとくっつける為に奔走します!!

Hkei

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26 忘れた課題

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屋敷に戻り一度部屋に入ると、荷物は既にトランクなどに詰めてありいつでも出発できるようになっていた。

トントンと扉をノックしてアランが入ってきた。

「シルヴィ、出発はお昼食べてからにする?」
「ローズも学園に戻るみたいだしすぐに出ようかな」


トリスタンとフィナがいる応接間に行き出発を報告する。寂しそうにする二人にシルヴィは抱きつく。

「身体には気をつけてね」
「また休みに入ったら戻ってきます」

身体を離したシルヴィはフィナと話し始めた。トリスタンは一歩後ろにいたアランを抱きしめた。

「アラン…君も…無理はしないでくれ」
「トリスタン様?」
「何かあれば力になるから」
「…はい」

「あと、シルヴィのことよろしく頼む」
「はい」

困ったように眉を下げ笑うトリスタンにアランも笑いながら答えた。

「アラン話終わった?」
「終わったよ。もう大丈夫?」
「うん」

使用人も出れる人は全員見送りに出てきていた。皆に手を振りアランの手を取りシルヴィは馬車に乗り込む。

「じゃあいってきます!!また冬に戻ってくるね」

馬車の扉を閉めゆっくりと王都に向かって進みはじめた。

「シルヴィ、その手に持っている包みは何?」

ふふっと子供のように笑い包みを開ける。

「エリーのクッキーよ。期限はあるけどケーキよりはもつから沢山作ってもらっていたの」
「シルヴィ…太ってもしらないよ」
「アラン!!それ私以外に言ったら怒られる騒ぎじゃないわよ」
「君以外に言うわけないでしょ」

呆れながらも嬉しそうなシルヴィを見て頬が緩む。







道幅も段々と広くなり整備されたところや人が増えてくると、王都に入ったことが分かる。
商店の並ぶ街並みを抜けると学園はすぐ近くだ。

馬車から降り盛大な背伸びをしたかったが、アランに怒られそうだったのでやめた。荷物を運んでもらう間食堂で時間を過ごすことにした二人は歩き出すと担任のラオスがいた。

「休暇は楽しめた?」
「はい」
「それは良かった。課題の確認はしっかりとね。初日に全部提出だからね」

手を振りながら職員室に向かう廊下を歩いて行った。

「シルヴィ全部確認したよね?」
「失礼よアラン!私今回は完璧よ」

いつものように腰に手を当て胸を張りドヤ顔で言いながら、目が段々左右に動き始めた。

「ちょっと待って…ラオス先生の課題…置いてきたかも」
「……どこに?って聞くのも疲れる」

手を額に当て下を向くアランとアタフタと慌てているシルヴィ。

「ラオス先生に言ってくる!」
「ちょっとシルヴィ!!」

職員室に走り出すシルヴィを追いかけた。




職員室でラオスを見つけたシルヴィは正直に話をすれば助けてくれるかもとそのまま話をすることにした。

「ラオス先生!私課題は全部終わらせたのですが、家に置いてきてしまいました」
「ああそう。提出なければマイナスだね」
「すぐ家に知らせを送りますので期限伸ばしては頂けませんか?」
「期限は絶対」

書類を書いているラオスは一瞬目線をシルヴィに向けただけだった。
ダメか…と泣きそうになりながら諦めかけた時、右手は動かしたまま左手で課題の紙を出てきた。

「後二日あるね。なんとかしなさい」
「あっありがとうございます!!このご恩は必ず返します!!」

「じゃあまた手伝ってもらおうかな」
「はい!どんな事でもやります。本当にありがとうございました」

シルヴィは何度もお礼を言って走っていった。
その後ろ姿を見ながらラオスは笑う。

「どんな事でも…ね…」



◇◆◇

そこからのシルヴィの集中力は凄かった。横でアランが見守っていたがそれは途切れることなく最後まで続いた。
終わった頃には既に日も傾き、本来の夕食時間は終わっていたが、アランが事前にお願いしていた為二人分用意してもらった。

「どうにかなって良かったよ」
「本当に!明日ローズが戻ってきて遊んだ後だったら絶対無理だったわ」
「そもそも忘れたシルヴィがダメなんだからね」

口を尖らせ分かってますと拗ねながら最後のお肉を口に運ぶ。

「休み明けは行事も多いものね。楽しみだわ。リオネルにもっと頑張ってもらってローズと仲良くなってもらわないと」
「下手な小細工しなくても、もうだいぶ仲はいいと思うけど」
「ダメよ!一応ラオス先生も攻略対象者だし後一人も出てきていないし油断できないわ」

夕食を全て食べ終え水を飲み興奮しているシルヴィを見ながらアランは軽く息を吐いた。
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