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『ハナキ』(1)
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(え、待って。これどういう状況!?)
私はギルの部屋のベッドの中で、ここへ来る直前に聞いた台詞を自分も言う羽目に(心の中で)なっていた。
隣り合わせで寝ることを添い寝と呼ぶなら、これは添い寝で間違いない。ギルと私は、そうして寝転がっている。
問題は体勢だ。
向かい合う形、ここはいい。私の背中を抱き込むギルの腕、まあこれも母親が子供にすることがある。私の足にガッツリ絡んだギルの足、これは違うと思う。違うと思う。大事ことなので二回言いました。
「俺は気付いた。近過ぎれば、それはそれで色々できないと……!」
「そう、ですね?」
私はギルの胸に顔を埋める格好になっているので、彼の顔が見られない。というか身動きが取れない。ギルの言葉通り、色々できない状態になっている。
「あと、この体勢が何気に心地良いことにも気付いた」
(私は抱き枕かな?)
即座にツッコミを入れつつも、「でも、抱き枕側も悪くないな」と思ってしまったり。
ドキドキすることを除けば、私もすっぽりとギルに包まれたこの場所の居心地は良い。
(これは、うっかり寝落ちしそう)
そう思って、それは駄目だとぐっと堪える。
ギルはまたこの後、闇の精霊を捜しに出掛けるはず。寝て起きたら彼がいないという、寂しい事態は避けたい。
「サラは苦しくないか?」
駄目だと思いながらも、くぐもったギルの声が子守歌のようで、うつらうつらしてきてしまう。
「大丈夫です。気持ち良い……」
「気持ち良い……」
「ギルの全身を私の全身で感じます……」
「感じる……」
私の言葉を繰り返すギルが、さらに子守歌となって眠気が増していく。
駄目、眠りたくない。
「ギル……どうにか、して……」
「どうにか……って、ま、待て、サラ。その前にあったはずの台詞も声にして欲しい」
「ん、眠い」
「早急に対処する!」
パチンッ
ギルが返事をすると同時に、私のこめかみの上で指を鳴らす。
途端、私の意識はハッキリくっきり覚醒した。
「わ、すごい。一気に目が覚めました」
「それは良かった。――って、そもそも午睡に来てたんだった……」
ギルが「しまった」と呟く。私は、「私の目的はギルの添い寝なので、起こしてもらって良かったです」と額をコツンと彼の胸に当てた。
私はギルの部屋のベッドの中で、ここへ来る直前に聞いた台詞を自分も言う羽目に(心の中で)なっていた。
隣り合わせで寝ることを添い寝と呼ぶなら、これは添い寝で間違いない。ギルと私は、そうして寝転がっている。
問題は体勢だ。
向かい合う形、ここはいい。私の背中を抱き込むギルの腕、まあこれも母親が子供にすることがある。私の足にガッツリ絡んだギルの足、これは違うと思う。違うと思う。大事ことなので二回言いました。
「俺は気付いた。近過ぎれば、それはそれで色々できないと……!」
「そう、ですね?」
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即座にツッコミを入れつつも、「でも、抱き枕側も悪くないな」と思ってしまったり。
ドキドキすることを除けば、私もすっぽりとギルに包まれたこの場所の居心地は良い。
(これは、うっかり寝落ちしそう)
そう思って、それは駄目だとぐっと堪える。
ギルはまたこの後、闇の精霊を捜しに出掛けるはず。寝て起きたら彼がいないという、寂しい事態は避けたい。
「サラは苦しくないか?」
駄目だと思いながらも、くぐもったギルの声が子守歌のようで、うつらうつらしてきてしまう。
「大丈夫です。気持ち良い……」
「気持ち良い……」
「ギルの全身を私の全身で感じます……」
「感じる……」
私の言葉を繰り返すギルが、さらに子守歌となって眠気が増していく。
駄目、眠りたくない。
「ギル……どうにか、して……」
「どうにか……って、ま、待て、サラ。その前にあったはずの台詞も声にして欲しい」
「ん、眠い」
「早急に対処する!」
パチンッ
ギルが返事をすると同時に、私のこめかみの上で指を鳴らす。
途端、私の意識はハッキリくっきり覚醒した。
「わ、すごい。一気に目が覚めました」
「それは良かった。――って、そもそも午睡に来てたんだった……」
ギルが「しまった」と呟く。私は、「私の目的はギルの添い寝なので、起こしてもらって良かったです」と額をコツンと彼の胸に当てた。
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