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婚約期
初対面
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婚約契約の署名が済んだあと、婚約者となった男性と庭でお茶を飲むことになった。
未婚の令嬢なので2人きりというわけではないがマリィアンナは若干緊張していた。
対面の準備は完全にした。しかし想定外なことがあった。
天気が良すぎる。暑いわ…。ドレス、汗かいてしまうしお化粧が…
こんなことならガゼボでなく屋内の小さいサロンにすればよかったわ。
日焼けしてしまいそう…
マリィアンナは判断を誤ったことを苦々しく思った。
この人も暑いでしょうに…さりげなく屋内へ誘導しようかしら。
「あの…今日は日差しも強いですわね」
「そうだな」
「でしたら屋内のサロンへ」
「問題ない」
「えっ?」
「この程度の日差しは問題ないと言っている」
「あ…そうで…ございますの…」
マリィアンナはこのまま日差しを耐える他なくなった。
不手際があったのはこちらだから仕方ない。
「冷たい飲み物をご用意いたしますわ」
「…」
メイドへ目配せをして用意させる。
冷たい紅茶で喉を潤しながらマリィアンナはここではたと気づいた。
この方のお名前、わたくし知らなかったわ!
お父様に前もって聞いておけばよかったのに…。わたくしったら…
「改めて自己紹介させていただきますわ。わたくしたち、会うのは今日が初めてですわよね。わたくしマリィアンナ・トリシュと申します。」
「私は君を王家主催の夜会でみかけたぞ。…アルベルト・コディルだ」
「まぁ!そうでしたの。…あー、あの…アルベルト様はお茶はいかがですか?」
「あぁ…」
「…こちらのクッキーもおいしいですわよ。ぜひお食べになって?」
「…」
マリィアンナはアルベルトに必死に話しかけるが返答は短いものだった。会話はなかなか続かない。
女性への気遣いは皆無ね…基本無口な方なのかしら?それとも初めての対面だからなのかしら…そもそもこの方、見目麗しいわね。なんで婚約者がいなかったのかしら…問題ありなお方だったら困るわ…。
しかし、問題があったとしても婚約契約は済んでおり、アルベルトを逃すとマリィアンナは結婚への道を閉ざされたも同然なのだからどうしようもなかった。
マリィアンナは淑女の仮面をかけ続け、アルベルトとの沈黙と単調な会話をしつつ、頭の中でアルベルトを分析し続けるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
20分程経ったころ、マリィアンナは限界を迎えた。
会話ももうこれ以上、初対面では無理だわ。それに…暑い!限界だわ!
「アルベルト様、そろそろドランジェ伯爵のもとへ行きませんか?」
「あぁ」
しかし一行にアルベルトは動かない。
「あの、ここは暑いですし、ね?」
「問題ない」
「え?」
「父はクステルタ伯爵と話してるのだから邪魔する訳にいかないだろう」
「…」
まだここにいる気なのか…どうやったら屋内に動いてくれるのかこの人は…頑固な人なのね…と、ぐったりしているマリィアンナの元に救世主が現れた。
「どうだい?少しは仲良くなれたかい?」
ドランジェ伯爵が庭へ父をつれてやってきた。
「問題ありません」
アルベルトがすました顔で答え、マリィアンナは淑女の微笑みを顔に張り付けながら、若干眉毛をぴくぴくさせながら横目でアルベルトを見た。
問題だらけじゃないの…わたくしばかりしゃべり通しじゃないの!
ドランジェ伯爵は少し困った表情を浮かべながら
「マリィアンナ嬢、アルベルトをよろしく頼むよ」
とマリィアンナへ声をかけてアルベルトを連れて帰って行った。
婚約者との初対面にドッと疲れが出たが、舅となるドランジェ伯爵の印象が悪くなかったことがせめてもの救いだとマリィアンナは思ったのだった。
未婚の令嬢なので2人きりというわけではないがマリィアンナは若干緊張していた。
対面の準備は完全にした。しかし想定外なことがあった。
天気が良すぎる。暑いわ…。ドレス、汗かいてしまうしお化粧が…
こんなことならガゼボでなく屋内の小さいサロンにすればよかったわ。
日焼けしてしまいそう…
マリィアンナは判断を誤ったことを苦々しく思った。
この人も暑いでしょうに…さりげなく屋内へ誘導しようかしら。
「あの…今日は日差しも強いですわね」
「そうだな」
「でしたら屋内のサロンへ」
「問題ない」
「えっ?」
「この程度の日差しは問題ないと言っている」
「あ…そうで…ございますの…」
マリィアンナはこのまま日差しを耐える他なくなった。
不手際があったのはこちらだから仕方ない。
「冷たい飲み物をご用意いたしますわ」
「…」
メイドへ目配せをして用意させる。
冷たい紅茶で喉を潤しながらマリィアンナはここではたと気づいた。
この方のお名前、わたくし知らなかったわ!
お父様に前もって聞いておけばよかったのに…。わたくしったら…
「改めて自己紹介させていただきますわ。わたくしたち、会うのは今日が初めてですわよね。わたくしマリィアンナ・トリシュと申します。」
「私は君を王家主催の夜会でみかけたぞ。…アルベルト・コディルだ」
「まぁ!そうでしたの。…あー、あの…アルベルト様はお茶はいかがですか?」
「あぁ…」
「…こちらのクッキーもおいしいですわよ。ぜひお食べになって?」
「…」
マリィアンナはアルベルトに必死に話しかけるが返答は短いものだった。会話はなかなか続かない。
女性への気遣いは皆無ね…基本無口な方なのかしら?それとも初めての対面だからなのかしら…そもそもこの方、見目麗しいわね。なんで婚約者がいなかったのかしら…問題ありなお方だったら困るわ…。
しかし、問題があったとしても婚約契約は済んでおり、アルベルトを逃すとマリィアンナは結婚への道を閉ざされたも同然なのだからどうしようもなかった。
マリィアンナは淑女の仮面をかけ続け、アルベルトとの沈黙と単調な会話をしつつ、頭の中でアルベルトを分析し続けるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
20分程経ったころ、マリィアンナは限界を迎えた。
会話ももうこれ以上、初対面では無理だわ。それに…暑い!限界だわ!
「アルベルト様、そろそろドランジェ伯爵のもとへ行きませんか?」
「あぁ」
しかし一行にアルベルトは動かない。
「あの、ここは暑いですし、ね?」
「問題ない」
「え?」
「父はクステルタ伯爵と話してるのだから邪魔する訳にいかないだろう」
「…」
まだここにいる気なのか…どうやったら屋内に動いてくれるのかこの人は…頑固な人なのね…と、ぐったりしているマリィアンナの元に救世主が現れた。
「どうだい?少しは仲良くなれたかい?」
ドランジェ伯爵が庭へ父をつれてやってきた。
「問題ありません」
アルベルトがすました顔で答え、マリィアンナは淑女の微笑みを顔に張り付けながら、若干眉毛をぴくぴくさせながら横目でアルベルトを見た。
問題だらけじゃないの…わたくしばかりしゃべり通しじゃないの!
ドランジェ伯爵は少し困った表情を浮かべながら
「マリィアンナ嬢、アルベルトをよろしく頼むよ」
とマリィアンナへ声をかけてアルベルトを連れて帰って行った。
婚約者との初対面にドッと疲れが出たが、舅となるドランジェ伯爵の印象が悪くなかったことがせめてもの救いだとマリィアンナは思ったのだった。
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