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新婚期
本当の蜜月
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頬を撫でられている感覚がした。
目を開けるとぼんやりとベッドに座っている人の顔が見えた。
「ん…ん~誰…」
「ひどいな。夫の顔を忘れたのか?」
目をこすり、瞬きをする。整った男性の顔。
そこでようやくマリィアンナは認識した。
「おは…ようございます…アルベルト様…」
「おはよう。マリィ。私のことは『アル』だろう?」
「…そう…でしたっけ…」
むくりと起き上がり頭を働かせてみる。
「約束しただろう?愛称で呼ぶと。私達は夫婦なんだから」
「…そうでした…?」
「そうだよ。昨日は無理をさせたが大丈夫か?朝食は部屋へ用意させる。私は執務をさっさと終わらせてくる」
アルベルトはそう言って、マリィアンナの長い髪にキスをして急いで部屋を出て行った。
アルベルトが出て行ったドアを眺めながらマリィアンナはぼんやりしていた。
なんか…アルベルト様が…甘い。
急に甘いですわ。
ボスンと体をベッドに沈ませ、マリィアンナは再び寝息をたてた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マリィアンナが再び起きた時、すでに夕方の頃合いだった。
ぼんやりと窓の外を見るとすでに薄暗く、こんな時間まで寝てしまったのは初めてだった。
お腹すいたわね。
そういえば今日はまだ食事をとってないわ…
お腹を擦りながら、夕飯に思いをはせているとノックの音がした。
誰かメイドが来たのかと思って入室許可を出すと、部屋へ入ってきたのはアルベルトだった。
「マリィ、起きたか?体はどうだ?」
「大丈夫ですわ。お気遣いありがとうございます」
「堅苦しい物言いはしないでくれ。夫婦なんだから」
アルベルトはそういって、微笑んだ。
マリィアンナは口を真一文字にキュっと引き締めて動揺した。
整った顔で微笑まれると、なんだか…落ち着かないわ。
お顔の良い殿方の魅力って、すごいのね!
アルベルトの顔面についてマリィアンナが感心している中、ベルがならされてメイドがやってきた。
「食事はここでとるから」
アルベルトはなんの気なしに言った。そしてメイドにボソボソと話すと、メイドは大急ぎで出て行った。
マリィアンナは目を丸くした。
え?ここで?なんで?
いつもお義父様と一緒に召し上がっていたのに…
アルベルトはただ微笑んでいた。
マリィアンナはそんなアルベルトを怪訝そうに見つめた。
しばらくするとメイドが食事を運んできた。
ソファーテーブルには所狭しと食器が並べられた。
「なぜここでお食事を?」
マリィアンナは率直にアルベルトに尋ねた。
「嫌なのか?」
「いえ…そういわけでは…ですがお義父様はお一人で食事をされてるのでは?1人は寂しいですわ」
マリィアンナは、邸宅に来たばかりの数日間を思い出していた。
1人でとる食事は寂しかった。そんな思いを義父にさせているのではないかと不安を感じた。
アルベルトは、向かいのソファーからマリィアンナの隣に座り直して
「…大丈夫だ。父上は私が領地に度々行っている時は1人でとっていたからな」
と、言ってマリィアンナの「義父と一緒に食べたほうがいいのでは」という遠回しな誘いを却下した。
「ですがー」
マリィアンナが反論しようとした時、アルベルトはマリィアンナの言葉をかき消すように言った。
「蜜月とはこういうものだからな」
マリィアンナは一瞬、アルベルトが何を言っているのかわからなかった。
ん?蜜月…?蜜月っておっしゃった?
蜜月…えっと…結婚して1,2週間を指す言葉よね?
私達もう結婚して2ヵ月以上はたったはず…
不可思議な事を言い出したアルベルトを、マリィアンナは不思議そうな顔で見つめた。
反対に、アルベルトはご機嫌な様子だった。
そして、マリィアンナにアルベルトは
「さ、口を開けて」
と、微笑みながら言った。
「え?」
マリィアンナは意味が分からなかった。
なぜ?意味が分からない。
口を開けて何するのかしら。
とりあえずアルベルト様のおっしゃる通りにすればいいのかしら??
マリィアンナはおずおずと口を小さく開けた。
アルベルトは1口サイズに切られたサンドイッチをマリィアンナの口へと入れた。
「んぐ…」
突然入ってきた物にびっくりしながらも、マリィアンナは口に手を当ててモグモグと咀嚼した。
サンドイッチを飲み込むと、アルベルトが次のサンドイッチを手に持って微笑んでいた。
え?何これ…どういうこと?
まさか…アルベルト様は…わたくしを…
「わたくし、子供じゃありませんわ!」
マリィアンナはアルベルトに向かって、眉をひそめて言った。
アルベルトはキョトンとしていた。
「そのように手ずから物を食べさせるほど幼くありませんの!」
そう言ってマリィアンナは皿からサンドイッチを手に取り、自分の口へと運んだ。
まるでわたくしを子供のように扱うなんて…
信じられませんわ!
次々と口へサンドイッチを運ぶマリィアンナを、アルベルトはじっと見つめていた。
サンドイッチを怒りに任して一気に食べ終わった頃、マリィアンナはアルベルトの視線にはたと気づいた。
アルベルトは微笑していた。
テーブルの上にあるアルベルトの前にあるサンドイッチは手つかずのままだった。
整った顔のアルベルトの微笑はなんともいえない迫力があり、マリィアンナは一気に落ち着かない気持ちになった。
「あの…?」
何か怒らせてしまったのだろうか?とアルベルトに話しかけようとしたが、その後の言葉は続かなかった。
「君を子供扱いなんて一度もしたことはない。しようと思ったこともない」
アルベルトはスルリとマリィアンナの頬を撫でた。
マリィアンナはビクリとふるえた。
「で…でしたら…なぜ…」
マリィアンナは精一杯反抗しようとしたが、アルベルトは頬を撫でた指を首へ、鎖骨へとスルリと滑らせた。
マリィアンナは体を無意識にビクビクとさせた。
「蜜月っていうのはね…夫が妻を愛して、愛して、尽くす期間を言うんだよ。こうやって手ずから物を食べさせて、2人だけの時間を共有して、ね。」
アルベルトにグイっと腰を引き寄せられ、マリィアンナは思わずドキッとした。
「領地へ行って蜜月期間をちゃんと過ごせなかったけど、父上の許しも得たし、これから本当の蜜月をすごせるよ。覚悟するといい」
アルベルトは微笑んだ。たまにみる微笑みとは違う微笑み。
その顔にマリィアンナの背筋がゾクリとした。
薄い夜着の上を這うアルベルトの手に、マリィアンナは一抹の不安を感じながら
アルベルトからもたらされる刺激に翻弄されていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一夜明け、マリィアンナが起きた時にはもう昼過ぎだった。
働かない頭を必死に動かし、辺りを見回した。
アルベルトはすでにいなかった。
しかし、サイドテーブルにメッセージカードがあった。
『おはよう。体はどうだ?仕事を終わらせてくる。昼頃また来る。部屋からは出ないように』
ベルでメイドを呼び、身だしなみを整えると、メッセージカードの言葉が急に気になった。
わたくしの体を心配してくださってるのよね。昼食をご一緒するということもわかるわ。
…でも部屋から出ないようにってどういうことかしら。
アルベルトの真意を測りかねていると、ノックの音がしてアルベルトとメイドが入室してきた。
「体は大丈夫か?昼食にしよう」
「え…あ、はい」
テーブルに並べられた食器にはサンドイッチが乗っている。
そしてアルベルトは手ずからマリィアンナに食べさせる。
もはやルーティンのごとく同じ流れだ。
そしてアルベルトは熱がこもった目で咀嚼するマリィアンナをじっと見つめる。
なんでそんなに見てくるのかしら…
なんだか居心地が悪いというか…落ち着かないというか…
マリィアンナは徐々に『食べている自分』をみられていることに羞恥心を抱き始めた。
しかも自分ばかり食べさせられ、アルベルトは食事を一切とっていない。
なぜ私にばかり食べさせるの?アルベルト様はお食べにならないの?
わたくしはどうすればいいのーーーー!?
男女のやりとりにまったく無知なマリィアンナは混乱しっぱなしだった。
意を決して、マリィアンナは
「あの、サンドイッチ美味しいですわ。アルベルト様も是非召し上がって…」
と言って、サンドイッチを手に取って、アルベルトの口元の近くまで持っていった。
えっと、蜜月なのだから手ずから食べさせるのよね。
私ばかり食べていてはアルベルト様のお腹が空いてしまうわ。
マリィアンナが寝入った後、残りのサンドイッチを全てアルベルトが平らげていることを知らずに、マリィアンナは手ずからアルベルトにサンドイッチを食べさせようと試みた。
アルベルトは、ギシリと音がしそうな程に体をこわばらせてマリィアンナを見た。
そしてマリィアンナの瞳を見つめ続け、ゆっくりとマリィアンナがつまんでいたサンドイッチをくわえて咀嚼した。
差し出したサンドイッチを素直にアルベルトが食べて、マリィアンナはホッとした。
自分のしたことは正しかったと。
しかし、アルベルトの顔を再び見た瞬間、マリィアンナはゾクリとふるえた。
「マリィ、君は本当に…私の理性を飛ばすのが上手だな」
アルベルトの整った顔はまるで獲物を見つけ、今からどう嬲ってやろうかと言わんばかりに妖しげな色気を纏っていた。
ドサリとソファーに押し倒されたマリィアンナは、困惑しつつも与えられる快感に耐えきれず、ついには意識を飛ばしてしまったのだった。
目を開けるとぼんやりとベッドに座っている人の顔が見えた。
「ん…ん~誰…」
「ひどいな。夫の顔を忘れたのか?」
目をこすり、瞬きをする。整った男性の顔。
そこでようやくマリィアンナは認識した。
「おは…ようございます…アルベルト様…」
「おはよう。マリィ。私のことは『アル』だろう?」
「…そう…でしたっけ…」
むくりと起き上がり頭を働かせてみる。
「約束しただろう?愛称で呼ぶと。私達は夫婦なんだから」
「…そうでした…?」
「そうだよ。昨日は無理をさせたが大丈夫か?朝食は部屋へ用意させる。私は執務をさっさと終わらせてくる」
アルベルトはそう言って、マリィアンナの長い髪にキスをして急いで部屋を出て行った。
アルベルトが出て行ったドアを眺めながらマリィアンナはぼんやりしていた。
なんか…アルベルト様が…甘い。
急に甘いですわ。
ボスンと体をベッドに沈ませ、マリィアンナは再び寝息をたてた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マリィアンナが再び起きた時、すでに夕方の頃合いだった。
ぼんやりと窓の外を見るとすでに薄暗く、こんな時間まで寝てしまったのは初めてだった。
お腹すいたわね。
そういえば今日はまだ食事をとってないわ…
お腹を擦りながら、夕飯に思いをはせているとノックの音がした。
誰かメイドが来たのかと思って入室許可を出すと、部屋へ入ってきたのはアルベルトだった。
「マリィ、起きたか?体はどうだ?」
「大丈夫ですわ。お気遣いありがとうございます」
「堅苦しい物言いはしないでくれ。夫婦なんだから」
アルベルトはそういって、微笑んだ。
マリィアンナは口を真一文字にキュっと引き締めて動揺した。
整った顔で微笑まれると、なんだか…落ち着かないわ。
お顔の良い殿方の魅力って、すごいのね!
アルベルトの顔面についてマリィアンナが感心している中、ベルがならされてメイドがやってきた。
「食事はここでとるから」
アルベルトはなんの気なしに言った。そしてメイドにボソボソと話すと、メイドは大急ぎで出て行った。
マリィアンナは目を丸くした。
え?ここで?なんで?
いつもお義父様と一緒に召し上がっていたのに…
アルベルトはただ微笑んでいた。
マリィアンナはそんなアルベルトを怪訝そうに見つめた。
しばらくするとメイドが食事を運んできた。
ソファーテーブルには所狭しと食器が並べられた。
「なぜここでお食事を?」
マリィアンナは率直にアルベルトに尋ねた。
「嫌なのか?」
「いえ…そういわけでは…ですがお義父様はお一人で食事をされてるのでは?1人は寂しいですわ」
マリィアンナは、邸宅に来たばかりの数日間を思い出していた。
1人でとる食事は寂しかった。そんな思いを義父にさせているのではないかと不安を感じた。
アルベルトは、向かいのソファーからマリィアンナの隣に座り直して
「…大丈夫だ。父上は私が領地に度々行っている時は1人でとっていたからな」
と、言ってマリィアンナの「義父と一緒に食べたほうがいいのでは」という遠回しな誘いを却下した。
「ですがー」
マリィアンナが反論しようとした時、アルベルトはマリィアンナの言葉をかき消すように言った。
「蜜月とはこういうものだからな」
マリィアンナは一瞬、アルベルトが何を言っているのかわからなかった。
ん?蜜月…?蜜月っておっしゃった?
蜜月…えっと…結婚して1,2週間を指す言葉よね?
私達もう結婚して2ヵ月以上はたったはず…
不可思議な事を言い出したアルベルトを、マリィアンナは不思議そうな顔で見つめた。
反対に、アルベルトはご機嫌な様子だった。
そして、マリィアンナにアルベルトは
「さ、口を開けて」
と、微笑みながら言った。
「え?」
マリィアンナは意味が分からなかった。
なぜ?意味が分からない。
口を開けて何するのかしら。
とりあえずアルベルト様のおっしゃる通りにすればいいのかしら??
マリィアンナはおずおずと口を小さく開けた。
アルベルトは1口サイズに切られたサンドイッチをマリィアンナの口へと入れた。
「んぐ…」
突然入ってきた物にびっくりしながらも、マリィアンナは口に手を当ててモグモグと咀嚼した。
サンドイッチを飲み込むと、アルベルトが次のサンドイッチを手に持って微笑んでいた。
え?何これ…どういうこと?
まさか…アルベルト様は…わたくしを…
「わたくし、子供じゃありませんわ!」
マリィアンナはアルベルトに向かって、眉をひそめて言った。
アルベルトはキョトンとしていた。
「そのように手ずから物を食べさせるほど幼くありませんの!」
そう言ってマリィアンナは皿からサンドイッチを手に取り、自分の口へと運んだ。
まるでわたくしを子供のように扱うなんて…
信じられませんわ!
次々と口へサンドイッチを運ぶマリィアンナを、アルベルトはじっと見つめていた。
サンドイッチを怒りに任して一気に食べ終わった頃、マリィアンナはアルベルトの視線にはたと気づいた。
アルベルトは微笑していた。
テーブルの上にあるアルベルトの前にあるサンドイッチは手つかずのままだった。
整った顔のアルベルトの微笑はなんともいえない迫力があり、マリィアンナは一気に落ち着かない気持ちになった。
「あの…?」
何か怒らせてしまったのだろうか?とアルベルトに話しかけようとしたが、その後の言葉は続かなかった。
「君を子供扱いなんて一度もしたことはない。しようと思ったこともない」
アルベルトはスルリとマリィアンナの頬を撫でた。
マリィアンナはビクリとふるえた。
「で…でしたら…なぜ…」
マリィアンナは精一杯反抗しようとしたが、アルベルトは頬を撫でた指を首へ、鎖骨へとスルリと滑らせた。
マリィアンナは体を無意識にビクビクとさせた。
「蜜月っていうのはね…夫が妻を愛して、愛して、尽くす期間を言うんだよ。こうやって手ずから物を食べさせて、2人だけの時間を共有して、ね。」
アルベルトにグイっと腰を引き寄せられ、マリィアンナは思わずドキッとした。
「領地へ行って蜜月期間をちゃんと過ごせなかったけど、父上の許しも得たし、これから本当の蜜月をすごせるよ。覚悟するといい」
アルベルトは微笑んだ。たまにみる微笑みとは違う微笑み。
その顔にマリィアンナの背筋がゾクリとした。
薄い夜着の上を這うアルベルトの手に、マリィアンナは一抹の不安を感じながら
アルベルトからもたらされる刺激に翻弄されていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一夜明け、マリィアンナが起きた時にはもう昼過ぎだった。
働かない頭を必死に動かし、辺りを見回した。
アルベルトはすでにいなかった。
しかし、サイドテーブルにメッセージカードがあった。
『おはよう。体はどうだ?仕事を終わらせてくる。昼頃また来る。部屋からは出ないように』
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わたくしの体を心配してくださってるのよね。昼食をご一緒するということもわかるわ。
…でも部屋から出ないようにってどういうことかしら。
アルベルトの真意を測りかねていると、ノックの音がしてアルベルトとメイドが入室してきた。
「体は大丈夫か?昼食にしよう」
「え…あ、はい」
テーブルに並べられた食器にはサンドイッチが乗っている。
そしてアルベルトは手ずからマリィアンナに食べさせる。
もはやルーティンのごとく同じ流れだ。
そしてアルベルトは熱がこもった目で咀嚼するマリィアンナをじっと見つめる。
なんでそんなに見てくるのかしら…
なんだか居心地が悪いというか…落ち着かないというか…
マリィアンナは徐々に『食べている自分』をみられていることに羞恥心を抱き始めた。
しかも自分ばかり食べさせられ、アルベルトは食事を一切とっていない。
なぜ私にばかり食べさせるの?アルベルト様はお食べにならないの?
わたくしはどうすればいいのーーーー!?
男女のやりとりにまったく無知なマリィアンナは混乱しっぱなしだった。
意を決して、マリィアンナは
「あの、サンドイッチ美味しいですわ。アルベルト様も是非召し上がって…」
と言って、サンドイッチを手に取って、アルベルトの口元の近くまで持っていった。
えっと、蜜月なのだから手ずから食べさせるのよね。
私ばかり食べていてはアルベルト様のお腹が空いてしまうわ。
マリィアンナが寝入った後、残りのサンドイッチを全てアルベルトが平らげていることを知らずに、マリィアンナは手ずからアルベルトにサンドイッチを食べさせようと試みた。
アルベルトは、ギシリと音がしそうな程に体をこわばらせてマリィアンナを見た。
そしてマリィアンナの瞳を見つめ続け、ゆっくりとマリィアンナがつまんでいたサンドイッチをくわえて咀嚼した。
差し出したサンドイッチを素直にアルベルトが食べて、マリィアンナはホッとした。
自分のしたことは正しかったと。
しかし、アルベルトの顔を再び見た瞬間、マリィアンナはゾクリとふるえた。
「マリィ、君は本当に…私の理性を飛ばすのが上手だな」
アルベルトの整った顔はまるで獲物を見つけ、今からどう嬲ってやろうかと言わんばかりに妖しげな色気を纏っていた。
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