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新婚期
蜜月の終わり
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目を開けると部屋はもう明るかった。
マリィアンナは横になったまま、ぼんやりしていた。
体が動かない…。
痛いとかでなく、ただただ体が重い。そしてだるく感じた。
喉が渇いた…何か飲み物を…
そう思ってサイドテーブルを見るが、いつも置いてある水差しは空っぽだった。
のそのそと重い体を動かし、ベルを鳴らす。
メイドがノックしたので入室許可を出そうとした。
しかし…
「どうぞ」
マリィアンナは驚いた。
自分の出した声はか細く、小さくかすれた声だった。
再びノックがされたのでもっと大きい声を出したが、小さな裏返った声しか出なかった。
マリィアンナは声を出すのをあきらめて、ベルを何度も鳴らした。
すると、そーっとドアが開きメイドのティナが入室してた。
「若奥様…!どうされましたか?」
ティナは不思議そうにマリィアンナの近くまで寄った。
「あのね…声が…でなくて…喉かわいた…の」
小さく細切れに言うと、ティナは急いで水差しを持ってきた。
「お声の調子が優れませんのですね?お加減はいかがですか?お医者様をお呼びしましょうか?水ではなく何か甘い喉を潤す物をお持ちいたしましょうか?」
心配そうにティナはマリィアンナへ提案をした。
「ン…だいじょうぶ…よ…。水を頂戴」
マリィアンナは微笑んで答えた。
「お声を出すのが難しいようでしたら何か書くものをお持ちしましょう?」
ティナの提案に、マリィアンナは頷き、メモ帳を用意した。
そしてマリィアンナはメモに『湯あみの準備』と『部屋の掃除』と『花瓶のバラの花の水換え』と書いて指示を出した。
すぐに掃除メイドが呼ばれ、マリィアンナは掃除の間ティナに手伝ってもらい湯あみをした。
丁寧に洗われた長いつややかな金色の髪は綺麗に輝き、頬はピンク色に色づき、肌はしっとりと瑞々しくなった。
掃除の終わったソファーに座り、湯上りの水を飲んでいると掃除メイドのリェルがチラチラと花瓶とマリィアンナを見た。
「どうしたの?」
そうマリィアンナが小さいかすれた声で訪ねると、顔を赤くして
「あ…え…その…このバラは…その…若旦那様が…?」
と、口ごもりながら聞いてきた。
マリィアンナはコクリと頷いて答えた。するとリェルは
「赤いバラ…21本あります」
と、答えた。
マリィアンナはキョトンとした。
ティナは「まぁ!」と嬉しそうな声を出した。
「???」
「うふふ!若奥様、赤いバラの花言葉は『熱烈な恋』『情熱』だったと。21本のバラは…『貴方だけに尽くします』ですわ!若旦那様は蜜月をやり直していらっしゃるのですね!」
マリィアンナの頬がかぁっと赤くなった。
花言葉なんて考えもしなかったわ!しかも…本数に意味があったのね…
両手を頬にあて、マリィアンナは下を向いた。
そこへノックの音が響いた。
ティナはドアの前へ行き
「申し訳ありません。若奥様はお声が出ないようです」
と答えた。
するとドアがすぐに開けられた。
ドアの前にはアルベルトが立っていた。
ティナとリェルはそそくさと部屋を退出して行った。
マリィアンナは顔の火照りを気にしながらもスッと立ち上がり、アルベルトを部屋へ迎えようとした。
アルベルトはマリィアンナに釘付けになっていた。
マリィアンナは湯あみの直後でローブを羽織っただけの恰好だった。
アルベルトはツカツカと勢いよくマリィアンナに近づき腰を引き寄せた。
マリィアンナは枯れた喉で「ひぁっ」というか細い声をあげ、アルベルトの胸へと抱き寄せられた。
そしてうなじや首にキスをされた。
そしてそのまま翻弄されながらベッドへと追いやられ、アルベルトの欲望を受け止めることになった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、蜜月の間中マリィアンナが部屋を出ることは叶わなかった。
マリィアンナはアルベルトと体を繋げる以外は、力尽きるように寝て過ごした。
アルベルトはそんなマリィアンナへ『赤いバラの本数』で宣告した通りに、甲斐甲斐しく尽くした。
そしてマリィアンナが起きている時間は共に過ごし、寝ている間に仕事をこなした。
しかし5日目を過ぎた頃、突然蜜月の終わりがきた。
マリィアンナが起きたのはお昼を過ぎた頃だった。
目の前にはアルベルトが座っていた。
「ん…アルベルト様…」
マリィアンナは、か細い声で呟いた。
アルベルトは無言でマリィアンナの頭を撫でた。
その顔は心なしか、不機嫌そうだった。
「…どう…しました?」
ぼんやり聞くと、アルベルトは
「父上が…もう限界だと。ハァ…せっかくの蜜月だったのに…もう仕事を通常の量に戻すそうだ…」
「しつむ…」
マリィアンナは目をこすりながらアルベルトの言葉を繰り返した。
「もっとマリィを独占したかったのだが…仕方ない。仕事を再開するよ。マリィはゆっくり休め」
アルベルトは、名残惜しそうに何度もキスをして部屋を出て行った。
仕事を通常通り…蜜月が…おわり?
マリィアンナはボスンとベッドにうつ伏せになった。
そして、少しホッとした。
ずっと体を繋げて、寝て、食べての繰り返しだったもの。
どうにかなっちゃうかと思ったわ…
マリィアンナは少しの寂しさに気づかないフリをして、再び夢の世界へと旅立った。
マリィアンナは横になったまま、ぼんやりしていた。
体が動かない…。
痛いとかでなく、ただただ体が重い。そしてだるく感じた。
喉が渇いた…何か飲み物を…
そう思ってサイドテーブルを見るが、いつも置いてある水差しは空っぽだった。
のそのそと重い体を動かし、ベルを鳴らす。
メイドがノックしたので入室許可を出そうとした。
しかし…
「どうぞ」
マリィアンナは驚いた。
自分の出した声はか細く、小さくかすれた声だった。
再びノックがされたのでもっと大きい声を出したが、小さな裏返った声しか出なかった。
マリィアンナは声を出すのをあきらめて、ベルを何度も鳴らした。
すると、そーっとドアが開きメイドのティナが入室してた。
「若奥様…!どうされましたか?」
ティナは不思議そうにマリィアンナの近くまで寄った。
「あのね…声が…でなくて…喉かわいた…の」
小さく細切れに言うと、ティナは急いで水差しを持ってきた。
「お声の調子が優れませんのですね?お加減はいかがですか?お医者様をお呼びしましょうか?水ではなく何か甘い喉を潤す物をお持ちいたしましょうか?」
心配そうにティナはマリィアンナへ提案をした。
「ン…だいじょうぶ…よ…。水を頂戴」
マリィアンナは微笑んで答えた。
「お声を出すのが難しいようでしたら何か書くものをお持ちしましょう?」
ティナの提案に、マリィアンナは頷き、メモ帳を用意した。
そしてマリィアンナはメモに『湯あみの準備』と『部屋の掃除』と『花瓶のバラの花の水換え』と書いて指示を出した。
すぐに掃除メイドが呼ばれ、マリィアンナは掃除の間ティナに手伝ってもらい湯あみをした。
丁寧に洗われた長いつややかな金色の髪は綺麗に輝き、頬はピンク色に色づき、肌はしっとりと瑞々しくなった。
掃除の終わったソファーに座り、湯上りの水を飲んでいると掃除メイドのリェルがチラチラと花瓶とマリィアンナを見た。
「どうしたの?」
そうマリィアンナが小さいかすれた声で訪ねると、顔を赤くして
「あ…え…その…このバラは…その…若旦那様が…?」
と、口ごもりながら聞いてきた。
マリィアンナはコクリと頷いて答えた。するとリェルは
「赤いバラ…21本あります」
と、答えた。
マリィアンナはキョトンとした。
ティナは「まぁ!」と嬉しそうな声を出した。
「???」
「うふふ!若奥様、赤いバラの花言葉は『熱烈な恋』『情熱』だったと。21本のバラは…『貴方だけに尽くします』ですわ!若旦那様は蜜月をやり直していらっしゃるのですね!」
マリィアンナの頬がかぁっと赤くなった。
花言葉なんて考えもしなかったわ!しかも…本数に意味があったのね…
両手を頬にあて、マリィアンナは下を向いた。
そこへノックの音が響いた。
ティナはドアの前へ行き
「申し訳ありません。若奥様はお声が出ないようです」
と答えた。
するとドアがすぐに開けられた。
ドアの前にはアルベルトが立っていた。
ティナとリェルはそそくさと部屋を退出して行った。
マリィアンナは顔の火照りを気にしながらもスッと立ち上がり、アルベルトを部屋へ迎えようとした。
アルベルトはマリィアンナに釘付けになっていた。
マリィアンナは湯あみの直後でローブを羽織っただけの恰好だった。
アルベルトはツカツカと勢いよくマリィアンナに近づき腰を引き寄せた。
マリィアンナは枯れた喉で「ひぁっ」というか細い声をあげ、アルベルトの胸へと抱き寄せられた。
そしてうなじや首にキスをされた。
そしてそのまま翻弄されながらベッドへと追いやられ、アルベルトの欲望を受け止めることになった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、蜜月の間中マリィアンナが部屋を出ることは叶わなかった。
マリィアンナはアルベルトと体を繋げる以外は、力尽きるように寝て過ごした。
アルベルトはそんなマリィアンナへ『赤いバラの本数』で宣告した通りに、甲斐甲斐しく尽くした。
そしてマリィアンナが起きている時間は共に過ごし、寝ている間に仕事をこなした。
しかし5日目を過ぎた頃、突然蜜月の終わりがきた。
マリィアンナが起きたのはお昼を過ぎた頃だった。
目の前にはアルベルトが座っていた。
「ん…アルベルト様…」
マリィアンナは、か細い声で呟いた。
アルベルトは無言でマリィアンナの頭を撫でた。
その顔は心なしか、不機嫌そうだった。
「…どう…しました?」
ぼんやり聞くと、アルベルトは
「父上が…もう限界だと。ハァ…せっかくの蜜月だったのに…もう仕事を通常の量に戻すそうだ…」
「しつむ…」
マリィアンナは目をこすりながらアルベルトの言葉を繰り返した。
「もっとマリィを独占したかったのだが…仕方ない。仕事を再開するよ。マリィはゆっくり休め」
アルベルトは、名残惜しそうに何度もキスをして部屋を出て行った。
仕事を通常通り…蜜月が…おわり?
マリィアンナはボスンとベッドにうつ伏せになった。
そして、少しホッとした。
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