元伯爵令嬢の結婚生活~幸せな繋がり~

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結婚 中間期

番外編 没落した貴族子息

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僕の名前は ヨシュア・デリドランド。

僕の祖先が男爵の爵位を賜ったので父は男爵だった。
しかし、父親が亡くなり僕が受け継いだが、僕に商才はなかった。

領地も細々としたもので収入もあまりない。
働くのは嫌いじゃないけれど、貴族の奉公は拘束時間が長い!
しかも収入は微々たるものだ。
僕はこのままで大丈夫なのだろうか。
来年の爵位税は払えるのだろうか。

不安に思っていたところ、登録しておいた斡旋所から連絡があった。
仕事を紹介できると。

僕は天にも昇る気持ちだった。

今より金銭を手に入れられる!
平民になるしかないと半分あきらめていた。
自分の代で祖先には申し訳ないが男爵位は返すしかないと思っていた。

さらに僕を喜ばせたのが『面接に行くだけで銀貨2枚支給』

路銀の心配もしなくていい!しかも銀貨なんて…なんて太っ腹な雇い主なんだ!

僕はワクワクしながら面接の行われる街へと向かった。

斡旋所には多くの人がいた。

僕は驚きのあまり、口が開いたままになった。

こんなに多くの人を集めてなんの仕事なんだ…?
身なりから、貴族と平民のごちゃ混ぜだ。

僕は天国から地獄に落とされたみたいに感じた。
僕は優秀じゃない。頭もよくない。
この中から仕事を勝ち取れるのか?
そう思うと胸が痛いほどの緊張感が襲って来た。


でも、祖先の為にも!僕の為にも!頑張るしか…ない!

僕は震える手を思いっきりつねって部屋へと入室した。


部屋にはかわいい若い女性がいた。
僕の喉が緊張とともにゴクリと鳴る。

ありきたりな質問をされてなんとか答える。

そして不思議な質問をされる。

『このドランジェ伯爵領をどう思いますか?』
「え?えっと…いいところだと思います!」
僕はバカみたいな答えしかでなかった。

アワワと慌てながら
「その!えー…僕の住んでいる町…には盗賊なども出ないし、みんな楽しそうです!から…」

目の前のかわいい女性はふふっと笑った。

笑顔、かわいい!


『住む場所が変わっても大丈夫ですか?』
続けて質問されて僕は全力で答えた。
「大丈夫です!」
家族もいないし、恋人もいない僕は引っ越してこれます!

『今、恋人もしくは婚約している人はいますか?』
「え?」
僕はきっとだらしない顔をしただろう。
もしかして…僕のこと…

「すみません。全ての方へ質問してますので…」
女性は困った顔をした。


あ…僕…だけじゃない…

僕の顔は熱くなった。きっと真っ赤になってしまっただろう。

「いえ!いません!!」


酷い勘違いをしてしまった!あぁ!恥ずかしい!!

すごすごと部屋を退室して、僕は部屋の隅っこに縮こまった。


あんな素敵な女性が恋人いますかって僕に聞くわけないじゃないか!
僕はバカだ!あぁ!もう!


しばらく落ち込んでいると部屋へ再び呼ばれた。
部屋にはおよそ30人程がいた。

さきほどの面接をした女性はニッコリ笑って
「こちらに残った方々はこの銀貨5枚をお渡しいたします。ですがこの銀貨を受け取るには1つ、私達の主人の命令を聞いていただきます」


みな、不思議そうにした。

銀貨5枚!当初の銀貨2枚から倍以上だ!
どんな仕事を言いつけられるかとびくびくしていると女性は続けて言った。

「登録されている斡旋所の街から15日移動をしないことです」

僕は目が点になった。

街から出ないだけで銀貨を3枚も余分にもらえるの?なにその仕事!

僕らは不思議に思いながら了承した。

そして15日後、街へ再び集められた。

冬が始まり、僕らは平民へ文字を教えたり、書類仕事のノウハウや対処法を学んだ。
今までこき使われ、毎日クタクタになってベッドに突っ伏していた僕の生活は村民の皆から「先生」と呼ばれ、子供達からは特に尊敬の眼差しで見られた。
ただ、本で読んだ物語や騎士の鎧や剣について雑談をしたりしただけだったのに。
子供達にはそれがすごく楽しかったらしい。

それに、食べるものも宿も領主様が支援してくれて何不自由なく過ごせたおかげでやせ細っていた僕はみるみるうちに肉付きがよくなった。

そして冬が過ぎ春になる頃に、僕らは貧乏な生活から一新した。


領地管理の大事な仕事につくことになった。

『このドランジェ伯爵領をどう思いますか?』
領地をよく思ってないと仕事につけないもんね!


一か所に何十年も住むことはできなくなった。
3年ごとに決められた領地を行ききすることになった。

『住む場所が変わっても大丈夫ですか?』
根を張って暮らしたい人にはつらいもんね!

『今、恋人もしくは婚約している人はいますか?』
恋人いたら転々と住居変えて離れ離れが当たり前になってつらいもんね!


領地を代理で管理する人が不正できないようにチェックする職が設けられた。
街や村の情報を吸い上げ、領民の人達が困らないよう情報を集め、それを領主様の元へと迅速に集める。

情報を早く集めれば、盗賊の増加による治安悪化も免れるし、はやり病への対処や隔離も迅速にできる。


僕はこの領地の領民でよかった!賢く、優しい領主様の元で暮らせて幸せだ!


僕は一番負担が大きい、領地間の情報を伝える職についた。

なぜって?

領地間の情報を伝える職は移動時間が長いから賃金も高い!…だが決め手はそこじゃない。
決め手はズバリ、領主様の邸宅へ入れるってところさ!

面接官をしていた女性はティナさんといって、次期領主夫人のメイドだったんだ。
彼女は邸宅にずっといる。

僕は今日もせっせと情報を手に領地を駆け回る。
そして2、3週間に1度、領主様の邸宅に報告へ向かう。

情報伝達のお仕事ももちろん大事!だけどそのついでに僕の楽しみもあってもバチは当たらないだろう?
邸宅の中で一生懸命仕事をする…大好きなティナさんの顔を一目見る為に、僕は今日も馬車に揺られてがんばるぞ!
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感想 8

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みんなの感想(8件)

おゆう
2022.01.24 おゆう

まあ、旦那は自業自得でもあるわな(笑)。

解除
おゆう
2022.01.15 おゆう

旦那より旦那の父親の方がよっぽどまとも(笑)。

解除
おゆう
2022.01.15 おゆう

メイド、窃盗だけじゃなく虚偽報告まで・・・何でアホ旦那に何も言わないんだ、主人公。主人公にもヘイトたまるな。警察みたいな人達って居ないのかな。犯罪者を屋敷で野放しはなー。これだけやってるメイド、紹介状無しに解雇して追放くらいはやらないと。ってかこんな家、子供出来たら離縁でも良いくらい😓。

解除

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