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暖かい日常

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陽が早く落ちる冬の一日。一週間後にクリスマスを控えている季節。亮人や氷華、シャーリーの三人は迫ってきているクリスマスをどう過ごすかをリビングで話していた。

「二人はクリスマスプレゼントに何が欲しいの?」

『う~ん………シャーリーはお兄ちゃんと一緒に寝るっている権利が欲しいかなぁ。いっそのこと、子供も作っちゃってもいいかも……』

『私はクリスマス自体、あまり知らないから何を貰えばいいのか分からないわね。ていうか、シャーリーはさらっとそんな大胆なことを言わないの。怒るわよ?』

『はーい、ごめんなさーい』

「二人とも仲がいいね」

 暖かいこの風景を亮人は見つめ、幸せを実感していた。この前、麗夜と激闘を繰り広げ、身体を傷つけて守った家族。そんな麗夜も樟とは仲を深め、日本を旅しているようだ。
 その翌日、こうしてクリスマスについて亮人たち三人は楽しく談笑をしている。

「シャーリーのプレゼントは保留にしておいて、氷華? クリスマスだからって特別なプレゼントをお願いなくても、普段からこれが欲しいなぁって思うものとかない? そういうのもプレゼントになるから考えておいてね。今度、みんなで買いに行くからさ」

『わかったわ…………何にしようかしら、今の所欲しいものがないのよね……』

 顎に手を当て、考えに耽る氷華。その姿はできる女をイメージさせるものであった。痛みの一切ない腰まで伸びた髪は蛍光灯の光を反射させ、キラキラと煌めいている。そして、着ている物も白い装束と巫女を想像させ、神秘的な空気を醸し出している。

『なんで私のはダメなの~。お兄ちゃんのバカァ~』

 項垂れるように氷華へ抱き着くシャーリー。表情が豊かで金色の光を放つ髪は肩まで伸び、華奢な体には無駄な肉は付いておらず、体操選手のようなしなやかさがある。だが、その身体には無数の傷跡があり、左肩も上まで上げることができない。

「シャーリーのはダメだよ……俺の精神が持たなくなるから。絶対にダメだよ? わかった?」

『はーい!!』

 笑顔のシャーリーを撫でる亮人。普段から寝ぼけ眼で筋肉質でもなく、太っているわけでもない亮人。特徴と言える点があるならば、怒ることがなく家事などのスキルが高いというものだ。
 そんな亮人を二人の妖魔はそばで笑顔を浮かべ、毎日という大切な時間を過ごしている。幸せが目の前で形となって亮人の前にある。そんな光景に亮人は笑みを浮かべ、

「俺は幸せだね」

 と口にした。それに同調するように氷華とシャーリーは、

『『私たちも亮人・お兄ちゃんと一緒に居れて幸せ・幸せだよ!!』』

 と満面の笑みを浮かべ、二人は亮人へ抱きついたのだ。
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