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種子
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遥かな日本海から
黒い空を覆い尽くす幾億もの叫びが
歪んだ表情の顔を付けて
東へ流れていく
知っている
あれらは夏を巡礼にいくのだ
遠い夏を求め 沈んだ太陽の輝きに救いを求めて
歪んだ顔たちは悲しみの行進を続ける
冬
この季節のなんて大きく悲しいことだろう
ああ、夏よ
この世の女神よ
僕は冬にはあなたの面影を見て生きている
季節とは死と再生であるというように
僕は冬には
死の表面まで深く沈んでしまう
僕はほとんど死ぬ
僕の抜け殻は歩き続ける
夏という巡礼のために
ああ!!
叫びだ
叫びが立ちのぼる
空だけでなく 辺り一面が叫びに満ちている!!
周りの枯れた草や氷った土
遠い山々の干からびた虫 震える獣
頭が痛むほどの大音量!
空気が軋む
冬という苦しみに気圏は叫びで満ちてる
一見空っぽの宇宙を膨らまし続ける暗黒物質のように
この冷えた大気に見合わぬ高密度のエネルギー
いや きっと暗黒物質も冬の叫びなのだ
真空という永久の 冬の叫びなのだ
宙空も大地も 変わらぬ叫びに満ちて
境は消え まるで巨きい筒
天球がひとつの叫びになり落ちてきた
僕はその嵐に引き裂かれそうになりながら
僕を守ろうとするちいさく
しかし天球すべての叫びを圧倒する祈りを見た
宇宙の祈り
空を満たす叫び
それはそのまま春への祈りだったのだ
なぜ星たちは止まることを知らずに巡る?
流れ星は遥かに旅をして
どうして地球で輝き消えるのか?
春への (そして夏への)巡礼なのだ
星々は春を求めて巡る
流星は地球の上に春を見つけて
巡礼の成就を果たして喜びに輝き消えてゆくのだ
宇宙の全てが
春を いのちの息吹を
渇望し 求め廻っているのだ
宇宙こそがそのために誕生したに違いない
(だからこそ 私たちはここに立つ)
宇宙全体の代替として
春を感ずるため
いのちには神が宿る 宇宙が宿る
すべての大きさとは裏腹に
ちいさな種子にこそ
百三十億年の夢が鮮やかに秘められているのだ
ああ 世界よ
凍えて叫ぶのか
それとも叫びで凍えるのか
地に埋めた種子を宇宙のすべてが
願いと祈りを込めた視線で見守る
不完全な世界で春がまたきて
それらが柔らかく芽吹くようにと
種子
宇宙の望んだそれは
言葉そのものが指すものでない
宇宙 星 いのち
それらはみな
なにものかを孕む種子
種子
いま宇宙の祈りが僕を満たす
静かに 鮮やかに
身震いするほど永く 大きく
無表情で 途方もないような幻視
泡立つ白熱の溶岩の海とプラズマの大河
何万キロも立つプロミネンス
静かにガス雲立ち篭める大地に夜を落とす星の環
幾つもの巨躯の太陽とそれを取り巻く奇天烈な惑星と
その惑星を廻る未知なる衛星とを
そのシステムをしっかり収めた光の渦の数々
銀河の群れの為した光の壁
それらみなの
いのちなき虚しさ
無限のように大きく それだけの虚しさ
彼らは訴える その姿で
その輝きに僕らは
煌めきを見ている 虚しいだけの光なのに
その時僕らは
僕ら自身のなかのいのちの煌めきを見ている
みよ、その瞳に映る真実を!
星が美しいのは僕らが生きているからであると
宇宙のすべてが
一心に僕らに伝えているのだ!
歓べと叫びのなかに聴く
歓べ 歓べ と
歓べ 歓べ 歓べ!!
春を願え
祈れ!
おお
くらくらする
宇宙の果てから果てまで
僕が膨らんでしまったよう
すべての星を含んだゼリー寄せのよう
そして いまや宇宙となった僕が
春を秘めた種子たるものを見つめ
僕に叫んでいる
歓べ 歓べ 歓べ!!
と
宇宙とそこに繋がる多次元の宇宙的な世界のすべてが
ひとつの純粋な祈りに続いていく
「春を我らに」と
この青い星の孕んだ種子と大地と雨と空のように
僕らは幸せだ!
春を知る僕らは すべての世界たる世界の
代替として その切なる願い
夢として生まれ出でたのだ
ああ このいのちのなんと大きく 慶ばしいことだろう!!
さあ!!
このいのちを祝福するは
宇宙という種子と
宇宙を孕む多次元の宇宙的世界
それを孕む種子
それを孕む種子
それを孕む………
もはや大きさを問うのは無為
いのちはただ世界たる世界の大きさと
等しく大きいものというだけのことだから
僕らもまた僕らの孕む種子を祝福しようではないか!
ともに慶ばしい春の息吹を感ずるものとして
永遠の同志として
この氷った星空を眺めて凍える種子らよ
生きよう!!
すべての輝かしい祝福がその身に注いでいる!!
湧き上がる
生きよう 生きよう!!
と
願い 祈りが
身の内の春を呼び醒ましている
辺りは叫びに満ちている
果てしない空から注ぐ
僕は静かに微笑み 人なき道を歩き出す
季節は死の底へと近づく冬
こころに映る真実
瞼の裏 祝福されたいのちの色に
滅び得ぬ春を 僕は見つけた
種子たるもの 生きていることの
言葉無き証を抱いて
僕は春を信じよう
みんな、春を信じよう
黒い空を覆い尽くす幾億もの叫びが
歪んだ表情の顔を付けて
東へ流れていく
知っている
あれらは夏を巡礼にいくのだ
遠い夏を求め 沈んだ太陽の輝きに救いを求めて
歪んだ顔たちは悲しみの行進を続ける
冬
この季節のなんて大きく悲しいことだろう
ああ、夏よ
この世の女神よ
僕は冬にはあなたの面影を見て生きている
季節とは死と再生であるというように
僕は冬には
死の表面まで深く沈んでしまう
僕はほとんど死ぬ
僕の抜け殻は歩き続ける
夏という巡礼のために
ああ!!
叫びだ
叫びが立ちのぼる
空だけでなく 辺り一面が叫びに満ちている!!
周りの枯れた草や氷った土
遠い山々の干からびた虫 震える獣
頭が痛むほどの大音量!
空気が軋む
冬という苦しみに気圏は叫びで満ちてる
一見空っぽの宇宙を膨らまし続ける暗黒物質のように
この冷えた大気に見合わぬ高密度のエネルギー
いや きっと暗黒物質も冬の叫びなのだ
真空という永久の 冬の叫びなのだ
宙空も大地も 変わらぬ叫びに満ちて
境は消え まるで巨きい筒
天球がひとつの叫びになり落ちてきた
僕はその嵐に引き裂かれそうになりながら
僕を守ろうとするちいさく
しかし天球すべての叫びを圧倒する祈りを見た
宇宙の祈り
空を満たす叫び
それはそのまま春への祈りだったのだ
なぜ星たちは止まることを知らずに巡る?
流れ星は遥かに旅をして
どうして地球で輝き消えるのか?
春への (そして夏への)巡礼なのだ
星々は春を求めて巡る
流星は地球の上に春を見つけて
巡礼の成就を果たして喜びに輝き消えてゆくのだ
宇宙の全てが
春を いのちの息吹を
渇望し 求め廻っているのだ
宇宙こそがそのために誕生したに違いない
(だからこそ 私たちはここに立つ)
宇宙全体の代替として
春を感ずるため
いのちには神が宿る 宇宙が宿る
すべての大きさとは裏腹に
ちいさな種子にこそ
百三十億年の夢が鮮やかに秘められているのだ
ああ 世界よ
凍えて叫ぶのか
それとも叫びで凍えるのか
地に埋めた種子を宇宙のすべてが
願いと祈りを込めた視線で見守る
不完全な世界で春がまたきて
それらが柔らかく芽吹くようにと
種子
宇宙の望んだそれは
言葉そのものが指すものでない
宇宙 星 いのち
それらはみな
なにものかを孕む種子
種子
いま宇宙の祈りが僕を満たす
静かに 鮮やかに
身震いするほど永く 大きく
無表情で 途方もないような幻視
泡立つ白熱の溶岩の海とプラズマの大河
何万キロも立つプロミネンス
静かにガス雲立ち篭める大地に夜を落とす星の環
幾つもの巨躯の太陽とそれを取り巻く奇天烈な惑星と
その惑星を廻る未知なる衛星とを
そのシステムをしっかり収めた光の渦の数々
銀河の群れの為した光の壁
それらみなの
いのちなき虚しさ
無限のように大きく それだけの虚しさ
彼らは訴える その姿で
その輝きに僕らは
煌めきを見ている 虚しいだけの光なのに
その時僕らは
僕ら自身のなかのいのちの煌めきを見ている
みよ、その瞳に映る真実を!
星が美しいのは僕らが生きているからであると
宇宙のすべてが
一心に僕らに伝えているのだ!
歓べと叫びのなかに聴く
歓べ 歓べ と
歓べ 歓べ 歓べ!!
春を願え
祈れ!
おお
くらくらする
宇宙の果てから果てまで
僕が膨らんでしまったよう
すべての星を含んだゼリー寄せのよう
そして いまや宇宙となった僕が
春を秘めた種子たるものを見つめ
僕に叫んでいる
歓べ 歓べ 歓べ!!
と
宇宙とそこに繋がる多次元の宇宙的な世界のすべてが
ひとつの純粋な祈りに続いていく
「春を我らに」と
この青い星の孕んだ種子と大地と雨と空のように
僕らは幸せだ!
春を知る僕らは すべての世界たる世界の
代替として その切なる願い
夢として生まれ出でたのだ
ああ このいのちのなんと大きく 慶ばしいことだろう!!
さあ!!
このいのちを祝福するは
宇宙という種子と
宇宙を孕む多次元の宇宙的世界
それを孕む種子
それを孕む種子
それを孕む………
もはや大きさを問うのは無為
いのちはただ世界たる世界の大きさと
等しく大きいものというだけのことだから
僕らもまた僕らの孕む種子を祝福しようではないか!
ともに慶ばしい春の息吹を感ずるものとして
永遠の同志として
この氷った星空を眺めて凍える種子らよ
生きよう!!
すべての輝かしい祝福がその身に注いでいる!!
湧き上がる
生きよう 生きよう!!
と
願い 祈りが
身の内の春を呼び醒ましている
辺りは叫びに満ちている
果てしない空から注ぐ
僕は静かに微笑み 人なき道を歩き出す
季節は死の底へと近づく冬
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言葉無き証を抱いて
僕は春を信じよう
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