のろし

けろけろ

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青い信徒

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青い信徒 霧雨に霞みながら
力無く行進す

色濃く濡らした汚いローブに隠した躰から
何故そんなにも愁いと苦悩を滲ませるのか

「どこへ往く?」
(どこへも往かん)
「何を求める?」
(何も要らん)

まさにそのとおり
この者たちは歩いているが、どん詰まり
どこへ行こうと、救われぬ青の信徒

「お待ちなさい」
たまらず呼ぶ他ない
「お待ちなさいな」
重く冷たい着物 皮膚の裏をつたう熱い泪

「待ちなさい、待ちなさいな」
止まらぬ行進
止まぬ霧雨 一層に強く
真っ直ぐ伸びるレンガの道で
青い信徒は進んで迷う

街路灯が一本僕だけを照らしている
青い信徒は進んで迷う
霞んで暗む 一行のすがた

「大丈夫」僕は言う
あれらはただの過去だから

瞼を閉じると 身体が深呼吸をしだした
細かい雨ごと張り詰めた空気が
肺に流れ込む
これが現実

「大丈夫」
僕は青の信徒にはならない

すきっと目を見開いて彼らの消えた道に背を向ける
そこには同じような道がある

「旅を続けよう」

決して迷わないとは言えない 冷たい霧雨の道
信じられる幾つかの言葉を書いたノートを強く抱いて

崖が現れたなら 指先がぐちゃぐちゃになっても登ろう
寄る辺ない谷底の河を、
流されまいと踏ん張り
不安のなか歩き続けることもあるだろう

そういうことは 何度もあった

「負けんぞ、僕は」
皮膚の裏を流れる泪を飲みながら
その味に奮い立ち また歩く

何を目指しているのだろうか
きっと 何も目指していないのだ

ただ できるから やっているのだ
できると信じている だから止めないのだ

僕はただ どこまで行けるか楽しみなのだ
さらに高い崖を登れる
さらに激しい河を歩く
そんな自分を想像すると
それだけで誇らしいのだ

いのちがそれを指向する
それに背を向けて いったい何が生きることか
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