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2、秘密でもない花園
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桜の杜高等学校、全寮制の女子高校で少人数クラス制を導入。地元では偏差値も高く、お嬢様学校として有名である。
週明け、早速ニコは登校した。表向き金星からの留学生という名目で。薄赤いセーラー服に身を包み、サイドの髪を結ったニコは麗しい少女にしか見えなかった。
「これが日本の学生服か!!」
新しい服にテンションが上がるニコ。 廊下を歩きながら無邪気に笑っている。
「ひとまずおばあ……学長先生にご挨拶ね」
「真都のおばあさまだっけ?」
「うん。ちょっと変わった人だけどびっくりしないでね」
廊下の奥、日当たりが良さそうな場所に学長室があった。真都がノックする。
「どうぞ」
中から声がした。
「失礼します」
二人が入るとそこには スーツを来た凛々しい女性が座っていた。真都の祖母と言うには若々しすぎる。見た目40代前半くらいだ。
「ニコラ陛下ですね。学長の逢瀬静です。わが校はあなたを歓迎いたします。ここでは一人の女性として、楽しみながら学んでください」
「お心遣い感謝いたします」
「真都さん、校内を案内して差し上げてください」
「はい。おばあちゃん」
その瞬間学長の顔が曇る。真都はしまったという表情をした。
「真都さん……おばあちゃんはなしよ?」
「はいいいいいい」
慌ててニコの手を取って理事長室を後にした真都。
「失礼します」
ドアを閉め、ため息を漏らした。
「理事長、若々しかったな」
「あれで御歳七十九歳だよ」
「え……」
「美魔女とか言われてるよ。いや、昔はあんなに若々しい訳ではなかったんだよね。普通のおばあちゃん。それが急に美容に目覚めて、金星製の最新化粧品を使ったり色々研究したらあんなことに。」
「なるほどな」
「今はおばあちゃん呼びするとすごく怒るからさ」
「僕も気を付けよう……」
「ひとまずホームルームが始まりそうだから校内案内はあとでね。クラスは私と同じにしてもらったから」
ホームルームが始まり、ニコは留学生として紹介を受けた。
「ニコ・ヴェルデと申します。金星から留学生として参りました。お気軽にニコと呼んでください。地球はまだ不慣れでご迷惑をお掛けするかもしれませんが、宜しくお願いします」
暖かい拍手がニコを包んだ。
挨拶もこなれてるなぁと真都は思った。
「では、ニコさんは真都さんの隣の席に着いてくださいね」
「はい」
ニコが席まで颯爽と歩くとふわっと髪から花のような甘い匂いがする。クラスの生徒達はニコに釘付けになる。
王の素質か、たった一度のホームルームの自己紹介だけで人を引き寄せる魅力があった。
昼休み、ニコの周りには人だかりが出来た。
「金星ってどんなところですか?まだ行ったことがなくて」
「何か特技はありますか?」
「趣味はなんですか?」
「恋人はいらっしゃいますか?」
と、真都が端から聞いているとまるでお見合いのような質問合戦が始まっていた。
さすがだなと思いつつ、真都がお弁当を取り出し、広げようとした。
「真都、ちょっといい?案内してよ」
見上げるとニコが立っている。真都は食べようとした弁当をそそくさとしまった。
「そうだったね、約束だったね」
皆の視線が真都に向くなか、ニコ気にせず真都の背中を押して教室を後にした。
「真都ごめん! ああいうのちょっと苦手でね」
「さすがニコ、人気者だね」
「いや、ほんと僕もあれはだめなんだよ。まるで記者会見じゃないか」
「みんなニコのこと知りたいだけなんだと思うよ」
「うーん、付き合いも浅い他人を知ってどうするんだ」
「浅いからこそだと思うけど」
「じゃあ、僕は真都のことをもっと知りたいな──」
急に顔を近づけてきて笑ったニコ。無邪気な振る舞いだったが、真都は何故かドキッとした。
「ほら、冗談言ってないで案内するから!!」
「ちぇー……」
真都は、ニコに体育館、食堂、中庭を案内した。最後に案内し中には温室があり、学長自ら手入れをしているとのことだった。
「ちょっと入ってみたいな」
そう言うと、ニコは興味津々に温室に入っていった。
「待ってよニコ!」
真都も後を追いかける。
温室内は蘭がメインに育てられている。地球種のほかにも、金星種もあり、蘭コレクターである静の自慢の温室になっていた。
中の蘭をぐるりと見渡すと、ニコはすたすたと一つの鉢の前に立った。
「見てこれ」
赤いフリルの付いた小振りだけど沢山の花が付いた蘭だった。金星種。名前のプレートにはこう書かれていた。
プリンス オブ ニコラ──
「これは僕が生まれたときの記念らしい。金星では王子が生まれると新品種の蘭に名前を付けるんだ」
「そうなんだ……綺麗な花だね」
「僕少し気になってたんだけどさ」
「何?」
ふわっとニコの手が真都のおさげの1つに優しく触れ、顔の近くまで持ち上げた。
「真都の髪の毛の匂い好き……このシャンプー、ずっと蘭のいい香りがするんだ」
「ふぇ!? え!ニコってば何急に」
突然顔を赤くして焦り出す真都。それを見たニコは笑う。近づいてきたニコの髪からも少し甘い匂いがした。
「さて、お昼も食べないとね」
週明け、早速ニコは登校した。表向き金星からの留学生という名目で。薄赤いセーラー服に身を包み、サイドの髪を結ったニコは麗しい少女にしか見えなかった。
「これが日本の学生服か!!」
新しい服にテンションが上がるニコ。 廊下を歩きながら無邪気に笑っている。
「ひとまずおばあ……学長先生にご挨拶ね」
「真都のおばあさまだっけ?」
「うん。ちょっと変わった人だけどびっくりしないでね」
廊下の奥、日当たりが良さそうな場所に学長室があった。真都がノックする。
「どうぞ」
中から声がした。
「失礼します」
二人が入るとそこには スーツを来た凛々しい女性が座っていた。真都の祖母と言うには若々しすぎる。見た目40代前半くらいだ。
「ニコラ陛下ですね。学長の逢瀬静です。わが校はあなたを歓迎いたします。ここでは一人の女性として、楽しみながら学んでください」
「お心遣い感謝いたします」
「真都さん、校内を案内して差し上げてください」
「はい。おばあちゃん」
その瞬間学長の顔が曇る。真都はしまったという表情をした。
「真都さん……おばあちゃんはなしよ?」
「はいいいいいい」
慌ててニコの手を取って理事長室を後にした真都。
「失礼します」
ドアを閉め、ため息を漏らした。
「理事長、若々しかったな」
「あれで御歳七十九歳だよ」
「え……」
「美魔女とか言われてるよ。いや、昔はあんなに若々しい訳ではなかったんだよね。普通のおばあちゃん。それが急に美容に目覚めて、金星製の最新化粧品を使ったり色々研究したらあんなことに。」
「なるほどな」
「今はおばあちゃん呼びするとすごく怒るからさ」
「僕も気を付けよう……」
「ひとまずホームルームが始まりそうだから校内案内はあとでね。クラスは私と同じにしてもらったから」
ホームルームが始まり、ニコは留学生として紹介を受けた。
「ニコ・ヴェルデと申します。金星から留学生として参りました。お気軽にニコと呼んでください。地球はまだ不慣れでご迷惑をお掛けするかもしれませんが、宜しくお願いします」
暖かい拍手がニコを包んだ。
挨拶もこなれてるなぁと真都は思った。
「では、ニコさんは真都さんの隣の席に着いてくださいね」
「はい」
ニコが席まで颯爽と歩くとふわっと髪から花のような甘い匂いがする。クラスの生徒達はニコに釘付けになる。
王の素質か、たった一度のホームルームの自己紹介だけで人を引き寄せる魅力があった。
昼休み、ニコの周りには人だかりが出来た。
「金星ってどんなところですか?まだ行ったことがなくて」
「何か特技はありますか?」
「趣味はなんですか?」
「恋人はいらっしゃいますか?」
と、真都が端から聞いているとまるでお見合いのような質問合戦が始まっていた。
さすがだなと思いつつ、真都がお弁当を取り出し、広げようとした。
「真都、ちょっといい?案内してよ」
見上げるとニコが立っている。真都は食べようとした弁当をそそくさとしまった。
「そうだったね、約束だったね」
皆の視線が真都に向くなか、ニコ気にせず真都の背中を押して教室を後にした。
「真都ごめん! ああいうのちょっと苦手でね」
「さすがニコ、人気者だね」
「いや、ほんと僕もあれはだめなんだよ。まるで記者会見じゃないか」
「みんなニコのこと知りたいだけなんだと思うよ」
「うーん、付き合いも浅い他人を知ってどうするんだ」
「浅いからこそだと思うけど」
「じゃあ、僕は真都のことをもっと知りたいな──」
急に顔を近づけてきて笑ったニコ。無邪気な振る舞いだったが、真都は何故かドキッとした。
「ほら、冗談言ってないで案内するから!!」
「ちぇー……」
真都は、ニコに体育館、食堂、中庭を案内した。最後に案内し中には温室があり、学長自ら手入れをしているとのことだった。
「ちょっと入ってみたいな」
そう言うと、ニコは興味津々に温室に入っていった。
「待ってよニコ!」
真都も後を追いかける。
温室内は蘭がメインに育てられている。地球種のほかにも、金星種もあり、蘭コレクターである静の自慢の温室になっていた。
中の蘭をぐるりと見渡すと、ニコはすたすたと一つの鉢の前に立った。
「見てこれ」
赤いフリルの付いた小振りだけど沢山の花が付いた蘭だった。金星種。名前のプレートにはこう書かれていた。
プリンス オブ ニコラ──
「これは僕が生まれたときの記念らしい。金星では王子が生まれると新品種の蘭に名前を付けるんだ」
「そうなんだ……綺麗な花だね」
「僕少し気になってたんだけどさ」
「何?」
ふわっとニコの手が真都のおさげの1つに優しく触れ、顔の近くまで持ち上げた。
「真都の髪の毛の匂い好き……このシャンプー、ずっと蘭のいい香りがするんだ」
「ふぇ!? え!ニコってば何急に」
突然顔を赤くして焦り出す真都。それを見たニコは笑う。近づいてきたニコの髪からも少し甘い匂いがした。
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