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第6章 魔力クリスタルの深淵
cys:132 メティアとルミの料理対決
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「はい、ノーティス♪ ボクの特製クリームシチューだよ」
メティアは可愛いエプロン姿でノーティスの前にシチューをトンッと置くと、ニコッと微笑んだ。
もしメティアが料理番組にでも出たら、きっとかなり流行るに違いない。
そう思わせる程、メティアのエプロン姿は可愛らしい。
メティアのそんな姿に、ノーティスは改めて見とれてしまった。
特にさっきあんな事があったので尚更だ。
「ありがとうメティア。凄く美味そうだな」
「へへっ♪ ボクの得意料理だし、いーーーーーっぱい気持ち込めて作ったから美味しいよ」
メティアはそう言って元気に笑うと、スプーンでシチューを掬ってフーフーした。
そしてノーティスの口に近づける。
「ノーティス、あーんして♪ ボクが食べさせてあげる」
「い、いいよメティア。自分で食べれるから」
ノーティスは少し照れた顔をメティアに向けたが、メティアはニコニコしながらスプーンをノーティスへ向けている。
「いーーーじゃん、ノーティス♪ ほら食べて」
「う……」
「イヤなの?」
ちょっと寂しそうな瞳で見つめてきたメティアに、ノーティスは根負けして口を開く。
「分ーーかったよ。はい、あ~~ん」
するとメティアは嬉しそうに、ノーティスの口にスプーンを入れた。
「アハッ♪ はい良く食べれました~~~♪」
「なんだよメティア、恥ずかしいよ……でも美味いっ!」
「でしょ♪ 良かったーーーー」
それを側で見ていたエレナは、ぷー――っと可愛く頬を膨らませメティアに怒る。
「メティアさん、ズルいですよ! 私だってノーティスに食べさせるんだから」
エレナはそう言うとメティアのシチューをサッと横にやり、ノーティスの前に自分の作った料理をタンッと置いた。
「はい、ノーティス。エレナ特製のローストビーフだよ♪」
ニコッと微笑んだエレナ。
エレナのエプロン姿も可愛い。
メティアが大人しめの可愛さなら、エレナは活発系の可愛さがある。
また、綺麗な皿には、艶のあるローストビーフと彩られた野菜が盛りつけられていて、肉も大好きなノーティスにとってはご馳走だ。
「うまそーーだな♪」
「えへへ♪ でしょ」
エレナは可愛くニコッと微笑むと、ローストビーフに手をかざす。
「美味しくな~~れ♪ 美味しくな~~れ♪」
「エレナ、何の魔法だ? それ」
「愛情いっぱいの魔法だよっ♪ ついでに、ノーティスが私に惚れちゃう媚薬入りっ」
「へっ? 媚薬?」
少しギョッとした顔をしたノーティスに、エレナはニヒヒっ♪ と笑みを浮かべ拳を顎に当てた。
「そーだよ♪ ノーティスはこのローストビーフを食べたら、私の事を好きになっちゃいまーす♪」
「エレナ、んなもん食べれる訳ないだろー」
「なんでーー いいじゃん♪」
「よくないって」
ノーティスがそう言うと、メティアが割って入ってくる。
ちょっとご立腹だ。
「ずるいよエレナさん。そんなの反則だよーー」
「べーーっ! 恋は自由だもーーん」
「あーーーエレナさん、そういう事言うんだ。じゃあボクだって魔法つかっちゃうよ」
「ダメっ! メティアさんは特級ヒーラーでしょ。そんなんズルいーー」
「エレナさんが、恋は自由だって言ったんじゃん」
「なによ」
「エレナさんこそー」
バチバチっと睨み合うメティアとエレナだが、そんな中、エレナはスッと瞳を外すと寂しそうに顔を軽く伏せた。
「いいじゃん。だって……」
エレナはそこまで言うと、すぐに顔を上げニコッと笑う。
「どうせそんな事したって……変わらないし♪」
エレナの笑顔からは、哀しさが漏れていた。
場を暗くしないように笑顔を作ったが、ノーティスがルミを好きな気持ちは分かっているからだ。
「エレナ……」
「エレナさん……」
ムッとしてたメティアも、切ない顔を浮かべている。
今、エレナが言った気持ちが痛いほど分かるからだ。
そんなメティアは、ノーティスに軽くツーンとした顔を向けた。
「ノーティス、シチューだけで足りるの?」
「えっ?」
「キミは病み上がりだけど、超のつく大食いでしょ。シチューだけじゃお腹ペコペコでしょ」
「いや、鍋の全部食べるし……」
「ノーティス!」
「あっ、あぁ……」
すっとぼけようとしたら、一喝されたノーティス。
それに分かっていた。
今どうするべきかを。
「エレナ。ローストビーフ頂くよ」
「いいってノーティス、無理しなくて」
「別に。それに、もう惚れてるから、今さら媚薬なんか効かんさ」
ノーティスはそう言うなり、エレナのローストビーフをパクっと食べた。
「エレナ……美味い!」
「ホントに?」
「ああ、本当に美味いよ!」
思わず嬉しそうにエレナを見つめ、美味そうに平らげていくノーティス。
よく料理は気持ちだというが、エレナの作ってくれたローストビーフは、本当にそうだと実感させられる味だった。
それを見てメティアは嬉しそうに微笑むと、元気に声を張っていく。
「よーし、ボクもエレナさん以上に美味しいの作るよーー♪」
「メティアさん、私だって負けないよっ!」
「じゃー、どっちがノーティスに美味しいって言って貰えるか勝負だね」
「いいわよ! 負けないから♪」
そんな2人を見てノーティスは軽く唖然としたが、次第にフッと笑みが零れてきた。
「よしっ! 今日は2人が作ってくれた分、全部食べるよ!」
「アハッ♪ さすがノーティス」
「じゃ、いっぱい作っちゃうから♪ ねっ、メティアさん」
「うん♪ ノーティスのお腹破裂させちゃおーー♪」
「いいねーー♪」
そんな2人を見て、ノーティスは椅子から立ち上がり2人の側に行くと、嬉しそうに零す。
「分かった、分かったよ。一緒に食べよう。俺だけ食べても仕方ないだろ」
「いいからノーティス。キミはそこにいて♪」
「いや、俺も手伝うよ」
そう言って料理を始めようとしたノーティスに、メティアは軽く微笑んだ。
「ノーティス、嬉しいけど大丈夫だから♪」
「いや、でも……」
「いいの。ボクはキミが目を覚ましてくれただけで、充分嬉しいんだから♪ 相変わらず女心が分かってないね♪」
するとエレナも、まったくと言った顔をして微笑む。
「そーだよ♪ ノーティスはちゃんと元気に食べてくれたらいいの♪」
「そーそー♪ それに、今勝負してるんだから、邪魔しないでよ。ねっ、エレナさん」
「もっちろん♪」
2人からそう言われたノーティスは、ニッと笑うと再び椅子に座った。
「りょーかい。じゃ、2人の勝負をここで見届けさせてもらうよ」
そしてそこからノーティスは、メティアとエレナからいっぱい愛情のこもった料理を作ってもらい、楽しく時間が過ぎていった。
◆◆◆
ノーティスはエレナに交代し部屋に戻ると、窓から夜空を眺めていた。
空気が澄んでるせいもあり、星がキラキラと輝いている。
そんな夜空の星々を見つめながら、ノーティスは想いを馳せていた。
さっきは和やかな雰囲気で一瞬気持ちを逸らせたが、ノーティスの心にはずっと刺さっている。
アネーシャと戦ったあの日の事が……
「アネーシャ……あの戦いの中でキミが言った事は、本当なのか……だとしたら俺は……!」
メティアは可愛いエプロン姿でノーティスの前にシチューをトンッと置くと、ニコッと微笑んだ。
もしメティアが料理番組にでも出たら、きっとかなり流行るに違いない。
そう思わせる程、メティアのエプロン姿は可愛らしい。
メティアのそんな姿に、ノーティスは改めて見とれてしまった。
特にさっきあんな事があったので尚更だ。
「ありがとうメティア。凄く美味そうだな」
「へへっ♪ ボクの得意料理だし、いーーーーーっぱい気持ち込めて作ったから美味しいよ」
メティアはそう言って元気に笑うと、スプーンでシチューを掬ってフーフーした。
そしてノーティスの口に近づける。
「ノーティス、あーんして♪ ボクが食べさせてあげる」
「い、いいよメティア。自分で食べれるから」
ノーティスは少し照れた顔をメティアに向けたが、メティアはニコニコしながらスプーンをノーティスへ向けている。
「いーーーじゃん、ノーティス♪ ほら食べて」
「う……」
「イヤなの?」
ちょっと寂しそうな瞳で見つめてきたメティアに、ノーティスは根負けして口を開く。
「分ーーかったよ。はい、あ~~ん」
するとメティアは嬉しそうに、ノーティスの口にスプーンを入れた。
「アハッ♪ はい良く食べれました~~~♪」
「なんだよメティア、恥ずかしいよ……でも美味いっ!」
「でしょ♪ 良かったーーーー」
それを側で見ていたエレナは、ぷー――っと可愛く頬を膨らませメティアに怒る。
「メティアさん、ズルいですよ! 私だってノーティスに食べさせるんだから」
エレナはそう言うとメティアのシチューをサッと横にやり、ノーティスの前に自分の作った料理をタンッと置いた。
「はい、ノーティス。エレナ特製のローストビーフだよ♪」
ニコッと微笑んだエレナ。
エレナのエプロン姿も可愛い。
メティアが大人しめの可愛さなら、エレナは活発系の可愛さがある。
また、綺麗な皿には、艶のあるローストビーフと彩られた野菜が盛りつけられていて、肉も大好きなノーティスにとってはご馳走だ。
「うまそーーだな♪」
「えへへ♪ でしょ」
エレナは可愛くニコッと微笑むと、ローストビーフに手をかざす。
「美味しくな~~れ♪ 美味しくな~~れ♪」
「エレナ、何の魔法だ? それ」
「愛情いっぱいの魔法だよっ♪ ついでに、ノーティスが私に惚れちゃう媚薬入りっ」
「へっ? 媚薬?」
少しギョッとした顔をしたノーティスに、エレナはニヒヒっ♪ と笑みを浮かべ拳を顎に当てた。
「そーだよ♪ ノーティスはこのローストビーフを食べたら、私の事を好きになっちゃいまーす♪」
「エレナ、んなもん食べれる訳ないだろー」
「なんでーー いいじゃん♪」
「よくないって」
ノーティスがそう言うと、メティアが割って入ってくる。
ちょっとご立腹だ。
「ずるいよエレナさん。そんなの反則だよーー」
「べーーっ! 恋は自由だもーーん」
「あーーーエレナさん、そういう事言うんだ。じゃあボクだって魔法つかっちゃうよ」
「ダメっ! メティアさんは特級ヒーラーでしょ。そんなんズルいーー」
「エレナさんが、恋は自由だって言ったんじゃん」
「なによ」
「エレナさんこそー」
バチバチっと睨み合うメティアとエレナだが、そんな中、エレナはスッと瞳を外すと寂しそうに顔を軽く伏せた。
「いいじゃん。だって……」
エレナはそこまで言うと、すぐに顔を上げニコッと笑う。
「どうせそんな事したって……変わらないし♪」
エレナの笑顔からは、哀しさが漏れていた。
場を暗くしないように笑顔を作ったが、ノーティスがルミを好きな気持ちは分かっているからだ。
「エレナ……」
「エレナさん……」
ムッとしてたメティアも、切ない顔を浮かべている。
今、エレナが言った気持ちが痛いほど分かるからだ。
そんなメティアは、ノーティスに軽くツーンとした顔を向けた。
「ノーティス、シチューだけで足りるの?」
「えっ?」
「キミは病み上がりだけど、超のつく大食いでしょ。シチューだけじゃお腹ペコペコでしょ」
「いや、鍋の全部食べるし……」
「ノーティス!」
「あっ、あぁ……」
すっとぼけようとしたら、一喝されたノーティス。
それに分かっていた。
今どうするべきかを。
「エレナ。ローストビーフ頂くよ」
「いいってノーティス、無理しなくて」
「別に。それに、もう惚れてるから、今さら媚薬なんか効かんさ」
ノーティスはそう言うなり、エレナのローストビーフをパクっと食べた。
「エレナ……美味い!」
「ホントに?」
「ああ、本当に美味いよ!」
思わず嬉しそうにエレナを見つめ、美味そうに平らげていくノーティス。
よく料理は気持ちだというが、エレナの作ってくれたローストビーフは、本当にそうだと実感させられる味だった。
それを見てメティアは嬉しそうに微笑むと、元気に声を張っていく。
「よーし、ボクもエレナさん以上に美味しいの作るよーー♪」
「メティアさん、私だって負けないよっ!」
「じゃー、どっちがノーティスに美味しいって言って貰えるか勝負だね」
「いいわよ! 負けないから♪」
そんな2人を見てノーティスは軽く唖然としたが、次第にフッと笑みが零れてきた。
「よしっ! 今日は2人が作ってくれた分、全部食べるよ!」
「アハッ♪ さすがノーティス」
「じゃ、いっぱい作っちゃうから♪ ねっ、メティアさん」
「うん♪ ノーティスのお腹破裂させちゃおーー♪」
「いいねーー♪」
そんな2人を見て、ノーティスは椅子から立ち上がり2人の側に行くと、嬉しそうに零す。
「分かった、分かったよ。一緒に食べよう。俺だけ食べても仕方ないだろ」
「いいからノーティス。キミはそこにいて♪」
「いや、俺も手伝うよ」
そう言って料理を始めようとしたノーティスに、メティアは軽く微笑んだ。
「ノーティス、嬉しいけど大丈夫だから♪」
「いや、でも……」
「いいの。ボクはキミが目を覚ましてくれただけで、充分嬉しいんだから♪ 相変わらず女心が分かってないね♪」
するとエレナも、まったくと言った顔をして微笑む。
「そーだよ♪ ノーティスはちゃんと元気に食べてくれたらいいの♪」
「そーそー♪ それに、今勝負してるんだから、邪魔しないでよ。ねっ、エレナさん」
「もっちろん♪」
2人からそう言われたノーティスは、ニッと笑うと再び椅子に座った。
「りょーかい。じゃ、2人の勝負をここで見届けさせてもらうよ」
そしてそこからノーティスは、メティアとエレナからいっぱい愛情のこもった料理を作ってもらい、楽しく時間が過ぎていった。
◆◆◆
ノーティスはエレナに交代し部屋に戻ると、窓から夜空を眺めていた。
空気が澄んでるせいもあり、星がキラキラと輝いている。
そんな夜空の星々を見つめながら、ノーティスは想いを馳せていた。
さっきは和やかな雰囲気で一瞬気持ちを逸らせたが、ノーティスの心にはずっと刺さっている。
アネーシャと戦ったあの日の事が……
「アネーシャ……あの戦いの中でキミが言った事は、本当なのか……だとしたら俺は……!」
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