朱青半島物語(しゅせいはんとうものがたり)

ナタル

文字の大きさ
4 / 18
第一章

白い狼と皇女

しおりを挟む
_数時間後。

ガチャ……パタン…カッ…カッ…

凛花はため息をつき、椅子に座り外の景色を見ながら独り言を言う。

『…私は、いつになったら外の世界が見れるようになるんだろうか……。
一度でいいから、外の世界に行きたい…。』

凛花はまたため息をつく。

ガチャ……

誰かが部屋に入ってくる。

『…外の世界が見たいですか?凛花様。』

凛花は、ドキッとしたが、声がした方を向き
言う。

『…一葉か…びっくりさせないで…。』

一葉は、言う。

『申し訳ありません。凛花様。しかし…凛花様が外の世界が見れるようになりたいと聞こえたものですから……。』

凛花は黙り込む。

一葉が続けて言う。

『…凛花様。一度、外の世界を見てきてはいかがでしょうか?』

凛花は驚いた表情で言う。

『でも!私は東宮を一度も出たことないのよ?どうやって……』

一葉が何かを凛花に渡して言う。

『これを着て出れば、怪しまれませんよ。ただし、凛花様は、蒼い瞳をしています。
決して、顔を上げてはいけませんよ?』

凛花は言う。

『ありがとう。一葉』


_東宮、廊下。

ガヤガヤ…バタバタ…

女官達が忙しそうに動き回っている。

凛花は、女官の姿をし、柱の隅に隠れる。

『(このまま…門を通れば、外に出れる……)』

タタタッ……

トントン…
肩を叩かれる。

凛花は肩を叩かれて驚いた。

『きゃあっ!?』

恐る恐る後ろを向く。

女官が不思議そうな表情で凛花を見つめて言う。

『…どうしたの、こんな所で隠れて。
見ない顔ね。新人かしら?』

凛花は黙り込む。

女官が続けて言う。
『そうだわ。ちょっと外に出て、買い出しをお願い出来るかしら?』

凛花は頷いた。

ガサッ…
大きな籠を渡される。

女官が言う。
『…じゃあ、お願いね。』

タッタッタッ……

凛花は大きな籠で顔を隠し、廊下を走って行く。
『(よかった…バレなかった……)』



_東宮、正門。

ギギギッ……バタン…
重い扉が開く。

凛花は、緊張しながら東宮から出る。

ギギギッ……バタン!
重い扉が閉まる。


凛花は大きな籠を下ろし、ため息をつく。

『…はぁ。緊張したー。でもこれで外に出られたわ…。』

トコトコ……

ゆっくり歩き始める。


『……っ。』
木の陰から、凛花と同じ銀髪で蒼く美しい瞳の少年が見つめていた。

ふわっ……

ガサッ…ザッザッ……



少年は白い狼になって、森の奥深くに消えいった。


coming soon……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

処理中です...