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こことは違う世界
一瞬即発
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恐ろしく暗くどんよりした重い空気が漂う公道を歩いて五分ほどで、先から出口と言わんばかりに光が差し出す。
その光に安堵した貴哉だが、フィリシアだけ出口に近づくごとに強張った表情を見せ始める。
「どうしたんですか? なにかあるんですか……」
「いいえ、ここを出た先に労働者の休憩所に出てエレベーターで坑道に出られます、しかし」
そこから言葉を詰まらせる、そして二人は光が差し込んだ休憩所という広場にたどり着く、貴哉達が出た通路は他にも数十個も存在して、大人数で作業する前提で造られたのか、かなりの広さにかつて木造建築で人々の憩い場であったであろう建物は無残に崩れて、小さな小屋だけ古めかしい状態で立っているだけ。
彼女が言うには広場の中央にあるエレベーターで地上に出られるらしいのだが、天井を見ると確かに通り道のように大きな穴が出来ているが、肝心のエレベーターがない。
この状況にフィリシアは手を口に当てて思考する。
「どうして、あったはずなのに」
そう考えてる間にキーンと気持ちのいい金属音に近い音ががエレベータの通り道である天井から聞こえてきた。
「あ、来たんじゃないですか? ここで働いている人が――」
「――違う! 隠れてください!」
慌てて貴哉の手を引いて半壊している小屋の壁に身を潜めて、小さな窓から顔を覗かせて降りてくるものを見定める。
「なにかヤバいんですか?」
「恐らく敵が来ます、あなたを殺すために」
その単語で体中の血が凍り付くのを感じた、嘘だろうと信じないようにしようとしたが彼女の真剣で焦りが見える表情に息を呑む。
そしてエレベーターというには物理的でなく、天井にある穴と同じサイズの緑色の紋様がゆっくり降りてくる。
(なんだあれ!? あれがエレベーター!?)
想像を逆回転させられたその見たことない異形に、口から出る興奮と好奇心を口で塞いで気分を落ち着かせて再度エレベーターを見やると、そこに五人の人影が見える。
降り立った時に彼らの全容が露わになって体が膠着した、だって彼らは銃と黒い鎧を武装して、恐らくリーダーである長身の男は顔が全体的に焼きただれ、さらに瞳が五つと化物の形容と化した人間が目をギョロギョロと別々の動きをして辺り警戒している。
「よしグレック、感知作業を開始しろ。他の物はこの区画を散策して見つけ次第射殺しろ」
リーダー格の淡々と出る冷酷な言葉に部下は「ハッ」と二人二組で別れ広場の検索を始め、これがフィクションでないと心で理解したら震えが止まらない。
ここも探られて終わる、フィリシアは震える貴哉の手を握って慰める。
「大丈夫、あなたをここから脱出させるわ」
「でも……どうやってです――」
彼女は自分たちが出た穴の隣にある看板が建てられた空洞がある、看板には何が文字らしき物が描かれてるが分からない。
「鉱山を掘る際に緊急事態用に三つ非常出口を作る様に義務付けられているの、あそこに行けば少し大変だけど確実に脱出できる」
しかしそこにたどり着くまで身を隠す遮蔽物が無く、しかも二人がその出口の近くで捜索して見つかれば手に持っている狙撃銃で撃たれて終わりだ。
他の同じような非常口はここから遠く、かなり危険性が伴う。
「もう一か八か、ですね」
通常なら無理だと嘆く場面だがこの男は逆だ、フィリシアはその勇ましさに感心すると作戦があると耳を近づける。
「私が囮になります、その隙にあなたは全力で逃げてください」
「なっ! 駄目ですよそれじゃあなたが――」
「大丈夫です、私は元死人……信じられないかもしれませんが今は私の言う事を聞いてください」
肩を握りしめ真剣な眼差しで睨むが、それでも貴哉は食い下がり彼女を腕を優しく握って不安と悲しい表情で首を振る。
「悪いですけど言う事聞けません、一緒に脱出しますよ」
一度深呼吸して恐怖を感じさせない勇ましい顔に変貌し、散開した敵の配置を確認して唯一近くて脱出口を見やる、まだ走って簡単に脱出できる状況ではないが少し待てば、必ずチャンスが訪れると信じていた、が。
予期せぬ事態というべきか、リーダー格の男が手を耳に当てて誰かからの報告を聞いていた。
「グレッグ、見つけたか」
「あぁ、よく聞いてくれ」
「―――――」
「一体、何の話をしているんだ?」
グレッグという男は、ここではないどこかで役割を果たしてご満悦に報告をする、フィリシアと貴哉は窓から覗いて次の行動を見定めると、リーダーは五つの目をピタリと止めて一斉にこちらに眼を向けたのだ。
「――!??」
(バレた!)
彼から向けられた不愉快な殺意が全身の血を凍らせる、そしてリーダーは指を鳴らして散開した兵たちに貴哉達のいる小屋に指さして命令を下す。
「そこに二人いる、異世界人は生け捕りにしろ。後は殺せ」
無情な命令を聞き入れ左右から攻撃される形になった貴哉達、これでは確実に捕まってしまうと察したフィリシアは笑顔で最期の言葉をかける。
「あなたみたいな優しいお兄さんに出会えて良かった」
「なに言っているんですか? やめてくださッ!?」
制止しようとする口を無理やり小さな両手で止めて言葉を続ける。
「私の未練は君のような優しいお兄さんを守れなかった事、守護人形としての務めを果たすだけ」
その満ち溢れた覚悟ある瞳を正面で捉え、ただ何も言えず、不満な表情で彼女の言葉を肯定する。
「分かりました」
彼女は最後に自分が走り出したら耳を塞いで走れとだけ伝えて、彼女が走り出すその最後まで姿を見ていた、小さい背中が自分より遥かに大きくて逞しく感じる、両親が亡くなった時に手を差し伸べてくれた義理姉と同じぐらい頼もしいと照らし合わせる。
そして運命が左右する、彼女が小屋の影から、小さい体を生かした身軽さと猛烈なスピードで瓦礫の上を飛び回り、一気にリーダー格の男に向かって突撃するが、彼と兵士は至って冷静で小屋にまだいるであろう貴哉が飛び出す瞬間を五つの目が逃さない。
そして貴哉が小屋から外にに露わになった刹那、怒声が響き渡る。
「うてぇぇぇぇ!!!」
「馬鹿ね! あなた達には抜群の魔法よ!!!」
親指を首筋に食い込ませるとスイッチをおした様なカチッと音と共に、彼女の五体が分解され地面に足が触れた瞬間鼓膜を引き裂く強烈な歌声が広場の瓦礫や砂埃を巻き上げながら響き渡る。
「ナァァァァーーーーーーーーーッ!!」
「ぐ、ぐぅ……これは――加護魔法が反応しない!?」
至近距離でその歌声を聞いてしまったリーダーは眼と耳から濁流の様に血が流れ、力なく崩れ落ち初める。
遠くの兵士も影響出ているが、立てるほどの力があり狙撃銃の標準を合わせてトリガーを引く瞬間、その兵士の前にフィリシアの右腕が地面に触れた。
「アァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」
そして美しく残虐な歌声が二つ、さらに地面が大きく揺らいで木の柱で補強された天井が徐々に崩壊を始める。
その光に安堵した貴哉だが、フィリシアだけ出口に近づくごとに強張った表情を見せ始める。
「どうしたんですか? なにかあるんですか……」
「いいえ、ここを出た先に労働者の休憩所に出てエレベーターで坑道に出られます、しかし」
そこから言葉を詰まらせる、そして二人は光が差し込んだ休憩所という広場にたどり着く、貴哉達が出た通路は他にも数十個も存在して、大人数で作業する前提で造られたのか、かなりの広さにかつて木造建築で人々の憩い場であったであろう建物は無残に崩れて、小さな小屋だけ古めかしい状態で立っているだけ。
彼女が言うには広場の中央にあるエレベーターで地上に出られるらしいのだが、天井を見ると確かに通り道のように大きな穴が出来ているが、肝心のエレベーターがない。
この状況にフィリシアは手を口に当てて思考する。
「どうして、あったはずなのに」
そう考えてる間にキーンと気持ちのいい金属音に近い音ががエレベータの通り道である天井から聞こえてきた。
「あ、来たんじゃないですか? ここで働いている人が――」
「――違う! 隠れてください!」
慌てて貴哉の手を引いて半壊している小屋の壁に身を潜めて、小さな窓から顔を覗かせて降りてくるものを見定める。
「なにかヤバいんですか?」
「恐らく敵が来ます、あなたを殺すために」
その単語で体中の血が凍り付くのを感じた、嘘だろうと信じないようにしようとしたが彼女の真剣で焦りが見える表情に息を呑む。
そしてエレベーターというには物理的でなく、天井にある穴と同じサイズの緑色の紋様がゆっくり降りてくる。
(なんだあれ!? あれがエレベーター!?)
想像を逆回転させられたその見たことない異形に、口から出る興奮と好奇心を口で塞いで気分を落ち着かせて再度エレベーターを見やると、そこに五人の人影が見える。
降り立った時に彼らの全容が露わになって体が膠着した、だって彼らは銃と黒い鎧を武装して、恐らくリーダーである長身の男は顔が全体的に焼きただれ、さらに瞳が五つと化物の形容と化した人間が目をギョロギョロと別々の動きをして辺り警戒している。
「よしグレック、感知作業を開始しろ。他の物はこの区画を散策して見つけ次第射殺しろ」
リーダー格の淡々と出る冷酷な言葉に部下は「ハッ」と二人二組で別れ広場の検索を始め、これがフィクションでないと心で理解したら震えが止まらない。
ここも探られて終わる、フィリシアは震える貴哉の手を握って慰める。
「大丈夫、あなたをここから脱出させるわ」
「でも……どうやってです――」
彼女は自分たちが出た穴の隣にある看板が建てられた空洞がある、看板には何が文字らしき物が描かれてるが分からない。
「鉱山を掘る際に緊急事態用に三つ非常出口を作る様に義務付けられているの、あそこに行けば少し大変だけど確実に脱出できる」
しかしそこにたどり着くまで身を隠す遮蔽物が無く、しかも二人がその出口の近くで捜索して見つかれば手に持っている狙撃銃で撃たれて終わりだ。
他の同じような非常口はここから遠く、かなり危険性が伴う。
「もう一か八か、ですね」
通常なら無理だと嘆く場面だがこの男は逆だ、フィリシアはその勇ましさに感心すると作戦があると耳を近づける。
「私が囮になります、その隙にあなたは全力で逃げてください」
「なっ! 駄目ですよそれじゃあなたが――」
「大丈夫です、私は元死人……信じられないかもしれませんが今は私の言う事を聞いてください」
肩を握りしめ真剣な眼差しで睨むが、それでも貴哉は食い下がり彼女を腕を優しく握って不安と悲しい表情で首を振る。
「悪いですけど言う事聞けません、一緒に脱出しますよ」
一度深呼吸して恐怖を感じさせない勇ましい顔に変貌し、散開した敵の配置を確認して唯一近くて脱出口を見やる、まだ走って簡単に脱出できる状況ではないが少し待てば、必ずチャンスが訪れると信じていた、が。
予期せぬ事態というべきか、リーダー格の男が手を耳に当てて誰かからの報告を聞いていた。
「グレッグ、見つけたか」
「あぁ、よく聞いてくれ」
「―――――」
「一体、何の話をしているんだ?」
グレッグという男は、ここではないどこかで役割を果たしてご満悦に報告をする、フィリシアと貴哉は窓から覗いて次の行動を見定めると、リーダーは五つの目をピタリと止めて一斉にこちらに眼を向けたのだ。
「――!??」
(バレた!)
彼から向けられた不愉快な殺意が全身の血を凍らせる、そしてリーダーは指を鳴らして散開した兵たちに貴哉達のいる小屋に指さして命令を下す。
「そこに二人いる、異世界人は生け捕りにしろ。後は殺せ」
無情な命令を聞き入れ左右から攻撃される形になった貴哉達、これでは確実に捕まってしまうと察したフィリシアは笑顔で最期の言葉をかける。
「あなたみたいな優しいお兄さんに出会えて良かった」
「なに言っているんですか? やめてくださッ!?」
制止しようとする口を無理やり小さな両手で止めて言葉を続ける。
「私の未練は君のような優しいお兄さんを守れなかった事、守護人形としての務めを果たすだけ」
その満ち溢れた覚悟ある瞳を正面で捉え、ただ何も言えず、不満な表情で彼女の言葉を肯定する。
「分かりました」
彼女は最後に自分が走り出したら耳を塞いで走れとだけ伝えて、彼女が走り出すその最後まで姿を見ていた、小さい背中が自分より遥かに大きくて逞しく感じる、両親が亡くなった時に手を差し伸べてくれた義理姉と同じぐらい頼もしいと照らし合わせる。
そして運命が左右する、彼女が小屋の影から、小さい体を生かした身軽さと猛烈なスピードで瓦礫の上を飛び回り、一気にリーダー格の男に向かって突撃するが、彼と兵士は至って冷静で小屋にまだいるであろう貴哉が飛び出す瞬間を五つの目が逃さない。
そして貴哉が小屋から外にに露わになった刹那、怒声が響き渡る。
「うてぇぇぇぇ!!!」
「馬鹿ね! あなた達には抜群の魔法よ!!!」
親指を首筋に食い込ませるとスイッチをおした様なカチッと音と共に、彼女の五体が分解され地面に足が触れた瞬間鼓膜を引き裂く強烈な歌声が広場の瓦礫や砂埃を巻き上げながら響き渡る。
「ナァァァァーーーーーーーーーッ!!」
「ぐ、ぐぅ……これは――加護魔法が反応しない!?」
至近距離でその歌声を聞いてしまったリーダーは眼と耳から濁流の様に血が流れ、力なく崩れ落ち初める。
遠くの兵士も影響出ているが、立てるほどの力があり狙撃銃の標準を合わせてトリガーを引く瞬間、その兵士の前にフィリシアの右腕が地面に触れた。
「アァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」
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