自宅の鍵を失くした魔王が合鍵を取りにダンジョン攻略する話~ツンデレの友人を添えて~

千間井鰯

文字の大きさ
9 / 15

9.願わくは

しおりを挟む
 それを一番初めに見つけたのはヘルトルであった。
「……なんですかね、これ」
 怪訝そうな独り言に、シェルムトートが即座に反応する。
「見せてくれ」
 ヘルトルが差し出した右手に乗っていたのは、欠けた歯車の一部分のような、金属の塊だった。切り分けたケーキを彷彿とさせるそれは、何に使われていたものなのかさっぱり分からない。
 一見して、ダンジョンの仕掛けを作る際に生まれたごみのようにも思えたが、ヘルトルの手のひらからそれを受け取り、きらきらと瞳を輝かせたシェルムトートの姿を見て、ヘルトルはハッとした。
「それが、合鍵なんですね」
 シェルムトートは「ああ」と、いつもより少し高い声を上げて、塊を恭しく掲げた。
 以前、合鍵は一般人が見つけても用途が分からないようになっている、とシェルムトートは言っていたが、まさか花瓶の中にころりと入りこんだそれが鍵だと、ヘルトルは察することができなかった。
 これは残り二つを探す際も苦労しそうだな、とヘルトルは肩をすくめた。

「帰リはこちラからだ」
 部屋から出て、仰々しい扉を閉めると、ヘーレグリフが扉の脇の壁を、巨剣でごん、と叩いた。
 途端、土壁の一部が地面に沈み込み、真四角に開いた穴が姿を現す。
 ヘーレグリフによれば、この穴を通って下るように移動すれば、一時間ほどで山の麓に辿り着く、とのことだった。ここまで来るのにかかった時間と困難を思えば、ずいぶんとあっさりとした帰り道だ。
 罠は無いのかと尋ねると、「こレはエーデクセの子孫用の裏道だ」と素っ気なく返された。そう言いながらも、先んじて穴の中に入っていこうとするので、何故か、と尋ねると、エーデクセの血を継ぐ者がいなければ自動的に道が閉じてしまうためだと説明される。丁寧にも入口まで送ってくれるらしい。面倒見がいいな、とシェルムトートは上機嫌に笑った。
 そうして、ダンジョンの外に出ると、すっかり夜が更けていたようで、辺り一面真っ暗闇であった。深い青色の空には、懸命に淡い光を放つ星々が散らばっており、山林の木々の合間からその存在を儚くも主張していた。
 そよそよと吹く、冷たい風が思いのほか心地いい。閉め切られた空間特有の息苦しさを感じない屋外の空気を、ヘルトルはしばし堪能した。
 その間、シェルムトートはぐるり、と周囲の景色や頭上の星の位置を確認していたが「大体の位置は分かった」と呟くと、出口付近に立っているヘーレグリフに向かって、
「お別れだな」
 と声を掛けた。
「共にいる時間は僅かだったが、なかなか有意義な出会いになった。治世の参考になりそうな話も聞けたしな」
 機会があればまた会おう、とシェルムトートはひらりと手を振った。そのままヘルトルの腕を引いて、去ろうとする、が。
「待て、聞きたイことがある」
 後ろからヘーレグリフに呼び止められ、ヘルトルとシェルムトートは同時に振り返った。首を傾げる二人に、ヘーレグリフは端的に用件を述べる。
「お前たチ、名はなんと言うンだ」
 シェルムトートがああ、と気の抜けた声を上げ、目を丸くする。
「そういえば色々と立て込んでいて、自己紹介をするのを忘れていた。私は十三代目魔王シェルムトートだ」
 シェルムトート、とヘーレグリフは復唱する。一つ一つの発音を胸に刻み込むように、ゆっくりと。
「私からも聞こう。君は何という?」
「ヘーレグリフだ。――清廉ナ戦士、お前ハ」
 お前たち、と言われたので覚悟はしていたが、ヘーレグリフは戦闘の前にヘルトルが名乗りを上げなかったことを、決して了承したわけではなかったらしい。だが、まあ、彼はダンジョンから出る機会も少なそうだし、軽々しく情報をばら撒いたりはしないだろう。
「……ヘルトル、です」
 おそるおそる、そう口に出した。
「ヘルトル」
 シェルムトートのときと同じように、ヘーレグリフは反芻する。こうも丁重に自身の名前を反復されると、少々気恥ずかしい。
 ヘーレグリフは何度かヘルトルの名を口ずさむと、ふと黙り込んだ。黄褐色の瞳には、微かに哀愁のようなものが滲んでいる。
 少しの間を置いて、ヘーレグリフは再び口を開いた。
「俺はダンジョンに挑ム人間を、幾度とナく相手にしてキた。だが、お前のよウに絶望的な状況に陥ってもなお、みじめに命乞いをスるでもナく、生き抜く意志を貫こウとした者は見たことがなイ」
 だろうな、とヘルトルは素直に思う。ヘーレグリフを相手にするということは、鉄でできた壁を相手取るようなものだ。単純に腕が敵わないならまだしも、いくら攻撃が入っても無意味に終わるというのは、どんな猛者でも心が折られるに違いない。
 故に、ヘーレグリフがヘルトルを珍しがるのは分かる、のだが。
「願わクは、この先もソの誇り高さを保ってほしイ」
 いささか、買いかぶりすぎである。自分のそれは諦めが悪いというべきで、誇り高さと形容していいものではない。何度も策を潰されても屈しなかったのは、まだできることがあるのでは、という甘い希望を捨てきれなかったからだ。もし、ヘーレグリフが阿りを嫌がる性質だと予測していなかったのなら、やむを得ず、土下座でも何なりとしていたかもしれない。
 しかし、ヘルトルはヘーレグリフの言葉を否定することができなかった。それは彼の表情が、オーガの獰猛な雰囲気に反する、穏やかなものだったからだ。それをわざわざ突き崩す必要はなく、したいとも思わなかった。
 ただ、約束できないにかかわらず頷くのもどうかと思い、ヘルトルは「……そうですか」とだけしか答えることができなかった。
「ところで、ヘーレグリフ」
 シェルムトートは二人の話が帰結したのを確認すると、人差し指をすい、と上に挙げた。その指の先に示されたものを見て、ヘルトルは大きく目を見開いた。
 どうして今まで忘れていられたのか。自分で自分に突っ込みを入れずにいられない。掃除やら、ヘーレグリフの祖先の件やらで、気を散じていたためか。いや、それにしたっておかしい。だって、
「君、胸に刺さったものはそのままでいいのか?」
 ――普通、目に入ってくるし、気になるだろう。
 手斧の存在をシェルムトートに指摘されるまで忘却していたヘルトルは、自分の目の節穴さに白目を剥いた。

「俺ハ回復魔法が使えなイ」
 ヘーレグリフは、堂々とした態度でそう言い切った。
「駄目じゃないですか」
「コのまま生活する」
「駄目に決まっているでしょう」
 ちゃんと病院に行ってください、とヘルトルは真顔で注意する。いくら今は行動に支障がないとはいえ、傷口が化膿して、悪化しないとは限らない。
 しかし、ヘーレグリフはヘルトルの言葉を諾とせず、首を横に振った。
「保険ニ入っていないんダ」
「魔族にも保険ってあるんですね。というか、お金持ってないんですか? 宝物庫にはあんなに高価そうなものがいっぱいあるのに」
 ヘルトルがそう聞けば、ヘーレグリフは「どれが売っていイやつなのか分からナくて」と横に目を逸らした。
「ああ……」
 ヘルトルは項垂れる。
 魔王城の合鍵があんなに粗雑に放ってあったくらいだ。どんな代物が紛れ込んでいるかも知れない。少なくとも、どんな由来を持つものなのか、はっきりとしてからにするべきだ。後から持ち主だと名乗る者が現れたり、呪いがかけられた品だったりしたら目も当てられない。
「唯一、ちゃんと祖先ノものだと分かるものハ先程見つけた結婚指輪ぐらいしかなイ」
 ダが、あれを売るのハ気が咎める、とヘーレグリフは眉を下げた。
 いくら仕方のない状況だったとはいえ、傷を負わせたのはヘルトルだ。こうして、戦う必要のない状態になると、どうしてもヘーレグリフに罪悪感が湧いてしまう。
 自分も大した額を持っているわけではないが、合わせれば何とかなるかもしれない。そう提案しようとした声は、隣にいる人物によって遮られた。
「なら、一旦私たちと来ないか? 魔王城所属の回復術師を格安で紹介しよう」
「いイのか?」
 ヘーレグリフが、申し訳なさそうに、それでいてどこか期待混じりにシェルムトートに聞く。
「ああ。合鍵探しを手伝ってくれた礼だ」
 シェルムトートが鷹揚に頷いた。

「ヘーレグリフがついてくるとなれば、このまま直帰した方が良さそうですね」
 夜道で人が少なく、周囲の様子が見づらいとはいえ、一目で魔族と分かるヘーレグリフの姿を万一にも見られたら騒ぎになる。ならば町から距離を取るようにして、道なき道を歩いた方が良いだろう。ダンジョン攻略で疲れ切った身体には酷だが、致し方ない。
 帰るまでが冒険だ、と持ってきていた水を口に流し込む。すると、少しの痛みと共に喉に染み入り、ヘルトルは思いのほか自分の喉が渇いていたことに気がついた。
 そんなヘルトルの様子を横目で見ていたシェルムトートは、自身の顎に指を当て、少し考える様子を見せたかと思うと、
「そうだな。だが、徒歩は止めておこう」
 と二人に告げた。
「徒歩は? ……それ以外に手段があるんですか?」
 ヘルトルの家は、洞窟のダンジョンから六時間ほど離れた場所にある。ヘルトルとシェルムトートは朝早くに家を出て、町を経由し、ここまで遥々歩いてやって来たのだ。
荒野のボロ家に住んでいるヘルトルには、馬を飼う余裕などない。魔王であるシェルムトートは馬を何体も保有しているが、どの馬も尋常ではないほどの悍ましい見た目と禍々しい気配を放っており、人間界の移動手段として扱うには非常に憚られた。
 そのため、今から帰るとなると日を跨ぐのは確定だろうと思い、野宿をすることもヘルトルは覚悟していたのだが。
「日が出ているうちは色々と危険性が高いから使えなかったんだが、今ならば大丈夫だろう」
 どういう意味か、と尋ねようとしたヘルトルであったが、直後、彼の疑問はシェルムトートの蛮行によって掻き消されてしまった。
「な、なんで脱いでるんですか⁉」
 なんと、シェルムトートが外套を脱ぎ、ヘルトルに手渡したかと思えば、その下の衣服を素早く脱衣し始めたのだ!
 いつもの癖で外套を受け取ってしまったヘルトルは反応が遅れ、止める間もなく、次々と質の良い服がこちらに放られていく。驚愕はしているものの、土が付いて汚れでもしたら、という焦りを抱いたヘルトルは、詰問は後にし、シェルムトートの衣服を一枚も取り落とすことなく鮮やかに掴んでいった。しかし、黒いズボンを手にしたところで、ヘルトルは我に返った。
 ――これが自分の手にあるということは。
 人目には決して晒すことができないだろう魔王の姿をしっかり想像してしまったヘルトルは、さっと顔を青褪めさせ、慌てて後ろを向く。
 いくら同性といえど、親しき中にも礼儀あり。他人の裸体を無遠慮に見るなんてことは避けたい。
 衣擦れの音から必死に耳を背け、丁度地面に生えていた花の花弁の枚数を数えていたヘルトルであったが、そうしているうちにも自身が抱えている衣服の山の上に、新たな一枚が投げ込まれる。どこの部位かなんてのは、考えたくなかった。
 そんな悪夢のような時間にも、終わりはやって来る。
「これでよし、と……」
 一体なにがよし、だというのか。
 ヘルトルの腕の中には、シェルムトートの頭の上から足の先までの衣服が、全て収められている。これが意味することはただ一つ。今、ヘルトルの後ろにいる人物は、野外で全裸になっているということだった。
移動手段について話していただけだというのにどうしてこのような流れになってしまったのだろう。シェルムトートのことは常々おかしな男だとは思っていたが、まさかここまでとは。ヘルトルは心底泣きたくなった。
 だが、シェルムトートの奇行はそれだけに収まらなかった。
「後ろを向いてもいいぞ、ヘルちゃん」
「はぁ⁉」
 これにはヘルトルも仰天した。全裸になっただけでは飽き足らず、その姿をわざわざ友人に見せつけようというのかこの男は。こんな変態がトップで大丈夫なのか、魔界は。
 硬直するヘルトルをよそに、シェルムトートの態度はいたって気楽なもので「ヘルちゃん? へ―ルちゃん?」と何度もふざけた呼び名で呼んでくる始末だ。向いてもいいぞ、とは言うが、これでは後ろを向けと命令しているのと同じだろう。次第に苛立ちが募ってきたヘルトルは、ついに我慢ができなくなり、罵るように叫んだ。
「分かりましたよ! 向けばいいんでしょう、向けば!」
 元々、シェルムトートの裸身を見ないようにしていたのは、不用意に見ては彼に失礼だと思っていたからだ。だが、その当人が見ろというのだから、ヘルトルが目を背ける必要性はない。
 半ばやけくそになりながら、ヘルトルはくるりと振り向き、

 ――視界に入ってきたそれから、一瞬たりとも目を離せなくなった。

 紅玉の瞳。頭に生えた大きな二本の角。口の端から覗く尖った牙。
 言葉にしたのなら、普段と変わらないそれらの特徴。だが、今では光沢を持った黒い鬣や鱗で覆われた爬虫類を思わせる体躯、広い背から生えた翼などと合わさり、全くもって異なった様相をかもし出している。
 放たれる重々しい威圧感は恐ろしく、気を抜けば片膝をついてしまいそうだった。それでも、月明かりに照らされた姿は、今までに見たどんな生物よりも美しく、ヘルトルはぽかんと間の抜けた顔で見つめるしかなかった。
 ヘーレグリフが感嘆の声を上げた。
「竜人ノ転化か。初めて見タ」
 竜形にハ滅多にならなイと聞いていたが、という呟きは耳に入ってこなかった。
 シェルムトートが翼をばさり、と一振りする。穏やかな風は一転して激しいものとなり、ヘルトルの髪が乱れた。
 それでもなお、髪を直すこともせずシェルムトートに目を向けていると、シェルムトートが双眸を細めるのが分かった。
 悪戯に成功したような笑みで、彼は言う。
「どうだ? なかなか美竜だろう、私は」
 反論する気も、起きなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

処理中です...