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二度目の人生
何度でも君に恋をする(2)
しおりを挟む──ねえ、クリスティーナのこと、ティーナって、呼んでもいい?
──? うん、いいよ!なら私はフィンセントのことフィンって呼ぶね?
──ありがとう·····ティーナ·····
──どう、いたしまして??
──うん。あ、あとさ、俺、ティーナと·····
これはいつの記憶? 確か、私、フィンと何か約束をした気がするのだけど、なん、だった·····かしら··········。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
チュン·····チュン·····
「ふぁ·····?」
気の葉から溢れ出す光と鳥のさえずりにクリスティーナは目を覚ました。
あれ?私、いつの間に·····
それにしても、随分と懐かしい夢を見たと、クリスティーナは欠伸を噛み締めて、固まった。
「へっ?」
···············。フィン·····?
我がフォリス男爵家の小さなお庭の一番おおきな木の下でクリスティーナは、何故か自分の隣で気持ちよさそうに寝ている美少年·····フィンセントの存在に気づき目を丸くした。
え? なんで!? なんでフィンセントがいるのっ!?
「んっ·····ふわぁ·····クリスティーナ?」
「なっ、フィ、ンセント君·····、おはよう·····。·····何故、貴方がここに居るの?」
「ん? あ! え、えと、クリスティーナ! これは違くて·····」
「·····なに?」
「うぅ·····。クリスティーナに嫌われてる事は知ってる、けど、仲良くしたくて·····、遊びに来たんだ。それで、フォリス男爵·····クリスティーナのお父さんが、クリスティーナはお庭にいるって言うから見に来たら、クリスティーナが寝てて、それで、起きるまで待ってようと思ったんだけど·····」
「·····それで、いつの間にか一緒に寝てたのね·····」
「う、うん·····」
はぁ。一体、どこで間違えたのかしら·····。クリスティーナがいくら考えようともその答えは分からない。
フィンセントと出会って1年がすぎた。私は悩んだ結果、フィンセントを諦めることにした。なのに·····。
私がどれだけ、フィンセントと距離を置こうと、嫌われようとするも、何故か嫌ってくれない。私がどんなに意地悪をしても怒るのは一時的でフィンセントが結局、折れて謝ってくるのだ。だから、先日、思い切って·····
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「··········」
改めて、目の前にいるフィンセントを見る。
なんで·····私に構うの·····フィン·····
クリスティーナは唇を噛み締めると、強い眼差しでフィンセントを見つめた。
「もう私に構わないでっ·····」
貴方を、諦めきれなくなるじゃない·····
クリスティーナは最近やけに痛む胸を抑えて、駆け出したくなる衝動を堪えた。早く、終わらせないと·····。もう、繰り返したくないのよ·····フィン·····。
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