私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜

朝比奈

文字の大きさ
17 / 45
第1章

酔いと頭痛1(レオルドさん視点)

しおりを挟む
俺が、エトアとサジャールに連れてこられたのは酒場だった。

話を聞いてみると、サジャールが恋人に振られたのでヤケ酒をするという。

いや、なんでその、ヤケ酒に俺まで付き合わなきゃならねぇーんだ!

俺は生まれてこの方、彼女なんていた事無いんだぞっ!嫌味かよっ!

第二騎士団は基本実力主義で俺の事を容姿で避けるやつはほとんどいない。

おかげで俺はそれなりに充実した日々を送っている。

「今日は小部屋、取っといたから、よろしくな!」

「レオルド先輩~、逃げないで下さいよ?僕だけに、サジャール先輩の相手させるのはナシですからね?」

「はぁ、逃げるも何も俺に拒否権は無いだろ?俺はあんまり飲まないからな」

「なっ!何言ってるんだっ!今日は、夜まで飲むぞっ!」

「レオルド先輩、お酒弱いですもんね~」

俺はもう一度ため息をつき、仕方ないなと今回もサジャールの女々しい話に付き合ってやる事にした。

それから数時間後・・・

「だぁかぁらぁ~、ひっく、なーんで、誕生日、ひっく、忘れたくらいであんな怒るんだよ~、ひっく」

「はいはい、サジャール先輩、その話、もう三回目ですよ・・・、も~、レオルド先輩も何か言ってやって下さいよォ」

「んあ?あー、サジャール、ほどほどにしとけよぉ~」

「うぅ、ひっく、まだ、足りねぇーよ!」

「ちょっ、レオルド先輩、何寝ようとしてるんですか!寝かせませんよっ!もぉー、サジャール先輩、泣きながら飲むのやめてくださいって!」

「ふわぁ、俺は寝る、ひっく、エトア、後は頼んだ・・・」

俺はそう言って、机に突っ伏した。

パシンッ

「痛っ!!」

が、勿論、エトアに叩き起された。

「レ~オ~ル~ド~先輩~」

エトアが物凄く取ってつけたような笑みで俺の名前を呼んでくる。

正直、すごく眠いんだが、てか今何時だよ!

うぅ、頭が痛い・・・、明日は二日酔い決定だなぁ~

はぁ~、リオ嬢に会いたい・・・

明日は一緒に夜ご飯食べたいな、いや、俺なんかと食べてもリオ嬢は楽しくないかも知れないな・・・

「あー、ひっく、イケメンに産まれたかった・・・、ひっく、いや、せめて、ひっく、不細工くらいの顔面が良かった、なんで俺は、ひっく、ブサイク通り越して殺人レベルの醜さなんだよォ・・・うぅ、ひっく、エトア~、お前の顔、寄越せ~」

次々に注がれるお酒を飲んだ俺は、何だかふわふわとした思考のなか、気がつけば、普段は言わないような弱音をはいていた。

その言葉を聞いたエトアがとても複雑そうに顔を歪めていた事なんて全く知らない俺はエトアに絡んでいた。

「エトア~、ひっく、お前、なんで酔わないんだ?ひっく、俺の倍は飲んでただろっ!おかしい!おかしいぞ!ひっく、お前~、本当は飲んでないんじゃないのか?」

だから、俺の子の発言でサジャールが意地でもエトアを酔わせようとして、なかなか酔わないエトアのせいで夜中まで解放されなくなるとは思わなかった。

「なにっ!エトアっ!本当かっ!ひっく、よしっ、もっと、酒持ってこーいっ!」

「レオルド先輩、余計なこと言わないで下さいよォ~」

その後、俺とサジャールが完全に潰れるまで飲んだ。

気がつけば、月が真上に上がっていた。

その後はお互い自分の部屋に戻り寝る事になった。

俺は、酒の飲みすぎたのか体が火照って暑かった。

だから、ローブとマスクを外し夜の冷たい空気が肌にひんやりと伝わるのを気持ちよく思いながら俺は部屋を出た。

何となく、井戸に行き、この時間なら誰もいないだろうと、顔を洗ったり、水を飲んだり、しばらく井戸の傍に腰を下ろしてボーッとしていた。

はぁ、リオ嬢のローブやマスクでは隠しきれないあの美しさは何なんだろうか・・・

見た目だけでなく、中身まで優しいし、もう、あれは人間でなく、天使・・・、いや、女神ではないだろうか。

・・・リオ嬢は、俺の醜い容姿を見ても今まで通りに接してくれるだろうか、ははっ、なんて、そんな都合のいい話、無いよな・・・

ーー女神の隣に醜い獣は似合わない

顔を洗い、水を飲んだからか、少し酔いが覚めてきた俺の頭は次から次へと暗い思考へなっていった。

俺の容姿が誰にも認められない事なんて最初から分かってた事じゃないか。

・・・もしかしたら、なんて希望をこれまで何度も持った。

その度に裏切られて来た。

当たり前だよな、だって、この顔なんだから

傷つく事が嫌な俺は最初から期待なんてしたくなかった。

こんな事を考えていたからだろうか、ふと、井戸の縁に綺麗なハンカチが置いてあるのを見つけた。

俺は何となくそのハンカチを手に取ってじっと見つめた。

色合いからして女性のものだろうな・・・

エトアかサジャールに預けて届けてもらうかな、

俺が届けるよりはその方が良いだろうと思った所で、俺はもう一度顔を洗い月明かりが辺りを照らす中、散歩でもしてから部屋に戻ろうと歩き出した。

「あのっ!すみません!」

誰もいないと思っていた場所で、急に聞こえた声に俺の心臓は嫌な音を立てていた。

━━━━━━━━━━━━━━━
ここまで読んで頂きありがとうございます。

これから忙しくなるので投稿が少し遅くなります。
何でも良いので、感想やご指摘を頂ければ嬉しいです!

次回もレオルドさん視点の予定です。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

美醜逆転までいかない何か

りこ
恋愛
 異世界の価値観って、むずかしい……。  異世界に転移してしまった女子・黒須あずみ。  あずみという発音は難しいらしく、アシュリー・クロスという名前で生きていくことに。  冒険者になったはいいものの、戦闘経験もなく、出来ることは雑用や薬草採取ばかり。  お金も経験もなく、日々の生活で手一杯の中で出会ったのは──仮面をつけた物静かで優しい青年・ロロシュ。  どこか周囲から浮いている彼は、左右の目の幅が非対称で不気味だと陰口を叩かれていた。  ……正直、見てもわからない程度。  アシュリーには、ロロシュの優しさも、真面目な仕事ぶりも、何より彼の顔も……ぜんぜん“おかしく”なんて思えなかった。  異世界ならではの「ズレた美醜感覚」に戸惑いながらも、 ふたりは少しずつ距離を縮め、やがて“相棒”として絆を育んでいく。  ──でも、世界の偏見は、そんなに甘くない。  ふたりが向き合うのは、外見の話だけじゃない。 “違い”のある世界で、それでも一緒に生きていくために。  これは、美醜逆転までいかない“どこかズレた世界”で、 ふたりが互いの居場所になるまでの、ささやかな冒険と再出発の物語。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

私だけ価値観の違う世界~婚約破棄され、罰として醜男だと有名な辺境伯と結婚させられたけれど何も問題ないです~

キョウキョウ
恋愛
どうやら私は、周りの令嬢たちと容姿の好みが違っているみたい。 友人とのお茶会で発覚したけれど、あまり気にしなかった。 人と好みが違っていても、私には既に婚約相手が居るから。 その人と、どうやって一緒に生きて行くのかを考えるべきだと思っていた。 そんな私は、卒業パーティーで婚約者である王子から婚約破棄を言い渡された。 婚約を破棄する理由は、とある令嬢を私がイジメたという告発があったから。 もちろん、イジメなんてしていない。だけど、婚約相手は私の話など聞かなかった。 婚約を破棄された私は、醜男として有名な辺境伯と強制的に結婚させられることになった。 すぐに辺境へ送られてしまう。友人と離ればなれになるのは寂しいけれど、王子の命令には逆らえない。 新たにパートナーとなる人と会ってみたら、その男性は胸が高鳴るほど素敵でいい人だった。 人とは違う好みの私に、バッチリ合う相手だった。 これから私は、辺境伯と幸せな結婚生活を送ろうと思います。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

異世界推し生活のすすめ

八尋
恋愛
 現代で生粋のイケメン筋肉オタクだった壬生子がトラ転から目を覚ますと、そこは顔面の美の価値観が逆転した異世界だった…。  この世界では壬生子が理想とする逞しく凛々しい騎士たちが"不細工"と蔑まれて不遇に虐げられていたのだ。  身分違いや顔面への美意識格差と戦いながら推しへの愛を(心の中で)叫ぶ壬生子。  異世界で誰も想像しなかった愛の形を世界に示していく。​​​​​​​​​​​​​​​​ 完結済み、定期的にアップしていく予定です。 完全に作者の架空世界観なのでご都合主義や趣味が偏ります、ご注意ください。 作者の作品の中ではだいぶコメディ色が強いです。 誤字脱字誤用ありましたらご指摘ください、修正いたします。 なろうにもアップ予定です。

天使は女神を恋願う

紅子
恋愛
美醜が逆転した世界に召喚された私は、この不憫な傾国級の美青年を幸せにしてみせる!この世界でどれだけ醜いと言われていても、私にとっては麗しき天使様。手放してなるものか! 女神様の導きにより、心に深い傷を持つ男女が出会い、イチャイチャしながらお互いに心を暖めていく、という、どう頑張っても砂糖が量産されるお話し。 R15は、念のため。設定ゆるゆる、ご都合主義の自己満足な世界のため、合わない方は、読むのをお止めくださいm(__)m 20話完結済み 毎日00:00に更新予定

処理中です...