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第1章
酔いと頭痛1(レオルドさん視点)
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俺が、エトアとサジャールに連れてこられたのは酒場だった。
話を聞いてみると、サジャールが恋人に振られたのでヤケ酒をするという。
いや、なんでその、ヤケ酒に俺まで付き合わなきゃならねぇーんだ!
俺は生まれてこの方、彼女なんていた事無いんだぞっ!嫌味かよっ!
第二騎士団は基本実力主義で俺の事を容姿で避けるやつはほとんどいない。
おかげで俺はそれなりに充実した日々を送っている。
「今日は小部屋、取っといたから、よろしくな!」
「レオルド先輩~、逃げないで下さいよ?僕だけに、サジャール先輩の相手させるのはナシですからね?」
「はぁ、逃げるも何も俺に拒否権は無いだろ?俺はあんまり飲まないからな」
「なっ!何言ってるんだっ!今日は、夜まで飲むぞっ!」
「レオルド先輩、お酒弱いですもんね~」
俺はもう一度ため息をつき、仕方ないなと今回もサジャールの女々しい話に付き合ってやる事にした。
それから数時間後・・・
「だぁかぁらぁ~、ひっく、なーんで、誕生日、ひっく、忘れたくらいであんな怒るんだよ~、ひっく」
「はいはい、サジャール先輩、その話、もう三回目ですよ・・・、も~、レオルド先輩も何か言ってやって下さいよォ」
「んあ?あー、サジャール、ほどほどにしとけよぉ~」
「うぅ、ひっく、まだ、足りねぇーよ!」
「ちょっ、レオルド先輩、何寝ようとしてるんですか!寝かせませんよっ!もぉー、サジャール先輩、泣きながら飲むのやめてくださいって!」
「ふわぁ、俺は寝る、ひっく、エトア、後は頼んだ・・・」
俺はそう言って、机に突っ伏した。
パシンッ
「痛っ!!」
が、勿論、エトアに叩き起された。
「レ~オ~ル~ド~先輩~」
エトアが物凄く取ってつけたような笑みで俺の名前を呼んでくる。
正直、すごく眠いんだが、てか今何時だよ!
うぅ、頭が痛い・・・、明日は二日酔い決定だなぁ~
はぁ~、リオ嬢に会いたい・・・
明日は一緒に夜ご飯食べたいな、いや、俺なんかと食べてもリオ嬢は楽しくないかも知れないな・・・
「あー、ひっく、イケメンに産まれたかった・・・、ひっく、いや、せめて、ひっく、不細工くらいの顔面が良かった、なんで俺は、ひっく、ブサイク通り越して殺人レベルの醜さなんだよォ・・・うぅ、ひっく、エトア~、お前の顔、寄越せ~」
次々に注がれるお酒を飲んだ俺は、何だかふわふわとした思考のなか、気がつけば、普段は言わないような弱音をはいていた。
その言葉を聞いたエトアがとても複雑そうに顔を歪めていた事なんて全く知らない俺はエトアに絡んでいた。
「エトア~、ひっく、お前、なんで酔わないんだ?ひっく、俺の倍は飲んでただろっ!おかしい!おかしいぞ!ひっく、お前~、本当は飲んでないんじゃないのか?」
だから、俺の子の発言でサジャールが意地でもエトアを酔わせようとして、なかなか酔わないエトアのせいで夜中まで解放されなくなるとは思わなかった。
「なにっ!エトアっ!本当かっ!ひっく、よしっ、もっと、酒持ってこーいっ!」
「レオルド先輩、余計なこと言わないで下さいよォ~」
その後、俺とサジャールが完全に潰れるまで飲んだ。
気がつけば、月が真上に上がっていた。
その後はお互い自分の部屋に戻り寝る事になった。
俺は、酒の飲みすぎたのか体が火照って暑かった。
だから、ローブとマスクを外し夜の冷たい空気が肌にひんやりと伝わるのを気持ちよく思いながら俺は部屋を出た。
何となく、井戸に行き、この時間なら誰もいないだろうと、顔を洗ったり、水を飲んだり、しばらく井戸の傍に腰を下ろしてボーッとしていた。
はぁ、リオ嬢のローブやマスクでは隠しきれないあの美しさは何なんだろうか・・・
見た目だけでなく、中身まで優しいし、もう、あれは人間でなく、天使・・・、いや、女神ではないだろうか。
・・・リオ嬢は、俺の醜い容姿を見ても今まで通りに接してくれるだろうか、ははっ、なんて、そんな都合のいい話、無いよな・・・
ーー女神の隣に醜い獣は似合わない
顔を洗い、水を飲んだからか、少し酔いが覚めてきた俺の頭は次から次へと暗い思考へなっていった。
俺の容姿が誰にも認められない事なんて最初から分かってた事じゃないか。
・・・もしかしたら、なんて希望をこれまで何度も持った。
その度に裏切られて来た。
当たり前だよな、だって、この顔なんだから
傷つく事が嫌な俺は最初から期待なんてしたくなかった。
こんな事を考えていたからだろうか、ふと、井戸の縁に綺麗なハンカチが置いてあるのを見つけた。
俺は何となくそのハンカチを手に取ってじっと見つめた。
色合いからして女性のものだろうな・・・
エトアかサジャールに預けて届けてもらうかな、
俺が届けるよりはその方が良いだろうと思った所で、俺はもう一度顔を洗い月明かりが辺りを照らす中、散歩でもしてから部屋に戻ろうと歩き出した。
「あのっ!すみません!」
誰もいないと思っていた場所で、急に聞こえた声に俺の心臓は嫌な音を立てていた。
━━━━━━━━━━━━━━━
ここまで読んで頂きありがとうございます。
これから忙しくなるので投稿が少し遅くなります。
何でも良いので、感想やご指摘を頂ければ嬉しいです!
次回もレオルドさん視点の予定です。
話を聞いてみると、サジャールが恋人に振られたのでヤケ酒をするという。
いや、なんでその、ヤケ酒に俺まで付き合わなきゃならねぇーんだ!
俺は生まれてこの方、彼女なんていた事無いんだぞっ!嫌味かよっ!
第二騎士団は基本実力主義で俺の事を容姿で避けるやつはほとんどいない。
おかげで俺はそれなりに充実した日々を送っている。
「今日は小部屋、取っといたから、よろしくな!」
「レオルド先輩~、逃げないで下さいよ?僕だけに、サジャール先輩の相手させるのはナシですからね?」
「はぁ、逃げるも何も俺に拒否権は無いだろ?俺はあんまり飲まないからな」
「なっ!何言ってるんだっ!今日は、夜まで飲むぞっ!」
「レオルド先輩、お酒弱いですもんね~」
俺はもう一度ため息をつき、仕方ないなと今回もサジャールの女々しい話に付き合ってやる事にした。
それから数時間後・・・
「だぁかぁらぁ~、ひっく、なーんで、誕生日、ひっく、忘れたくらいであんな怒るんだよ~、ひっく」
「はいはい、サジャール先輩、その話、もう三回目ですよ・・・、も~、レオルド先輩も何か言ってやって下さいよォ」
「んあ?あー、サジャール、ほどほどにしとけよぉ~」
「うぅ、ひっく、まだ、足りねぇーよ!」
「ちょっ、レオルド先輩、何寝ようとしてるんですか!寝かせませんよっ!もぉー、サジャール先輩、泣きながら飲むのやめてくださいって!」
「ふわぁ、俺は寝る、ひっく、エトア、後は頼んだ・・・」
俺はそう言って、机に突っ伏した。
パシンッ
「痛っ!!」
が、勿論、エトアに叩き起された。
「レ~オ~ル~ド~先輩~」
エトアが物凄く取ってつけたような笑みで俺の名前を呼んでくる。
正直、すごく眠いんだが、てか今何時だよ!
うぅ、頭が痛い・・・、明日は二日酔い決定だなぁ~
はぁ~、リオ嬢に会いたい・・・
明日は一緒に夜ご飯食べたいな、いや、俺なんかと食べてもリオ嬢は楽しくないかも知れないな・・・
「あー、ひっく、イケメンに産まれたかった・・・、ひっく、いや、せめて、ひっく、不細工くらいの顔面が良かった、なんで俺は、ひっく、ブサイク通り越して殺人レベルの醜さなんだよォ・・・うぅ、ひっく、エトア~、お前の顔、寄越せ~」
次々に注がれるお酒を飲んだ俺は、何だかふわふわとした思考のなか、気がつけば、普段は言わないような弱音をはいていた。
その言葉を聞いたエトアがとても複雑そうに顔を歪めていた事なんて全く知らない俺はエトアに絡んでいた。
「エトア~、ひっく、お前、なんで酔わないんだ?ひっく、俺の倍は飲んでただろっ!おかしい!おかしいぞ!ひっく、お前~、本当は飲んでないんじゃないのか?」
だから、俺の子の発言でサジャールが意地でもエトアを酔わせようとして、なかなか酔わないエトアのせいで夜中まで解放されなくなるとは思わなかった。
「なにっ!エトアっ!本当かっ!ひっく、よしっ、もっと、酒持ってこーいっ!」
「レオルド先輩、余計なこと言わないで下さいよォ~」
その後、俺とサジャールが完全に潰れるまで飲んだ。
気がつけば、月が真上に上がっていた。
その後はお互い自分の部屋に戻り寝る事になった。
俺は、酒の飲みすぎたのか体が火照って暑かった。
だから、ローブとマスクを外し夜の冷たい空気が肌にひんやりと伝わるのを気持ちよく思いながら俺は部屋を出た。
何となく、井戸に行き、この時間なら誰もいないだろうと、顔を洗ったり、水を飲んだり、しばらく井戸の傍に腰を下ろしてボーッとしていた。
はぁ、リオ嬢のローブやマスクでは隠しきれないあの美しさは何なんだろうか・・・
見た目だけでなく、中身まで優しいし、もう、あれは人間でなく、天使・・・、いや、女神ではないだろうか。
・・・リオ嬢は、俺の醜い容姿を見ても今まで通りに接してくれるだろうか、ははっ、なんて、そんな都合のいい話、無いよな・・・
ーー女神の隣に醜い獣は似合わない
顔を洗い、水を飲んだからか、少し酔いが覚めてきた俺の頭は次から次へと暗い思考へなっていった。
俺の容姿が誰にも認められない事なんて最初から分かってた事じゃないか。
・・・もしかしたら、なんて希望をこれまで何度も持った。
その度に裏切られて来た。
当たり前だよな、だって、この顔なんだから
傷つく事が嫌な俺は最初から期待なんてしたくなかった。
こんな事を考えていたからだろうか、ふと、井戸の縁に綺麗なハンカチが置いてあるのを見つけた。
俺は何となくそのハンカチを手に取ってじっと見つめた。
色合いからして女性のものだろうな・・・
エトアかサジャールに預けて届けてもらうかな、
俺が届けるよりはその方が良いだろうと思った所で、俺はもう一度顔を洗い月明かりが辺りを照らす中、散歩でもしてから部屋に戻ろうと歩き出した。
「あのっ!すみません!」
誰もいないと思っていた場所で、急に聞こえた声に俺の心臓は嫌な音を立てていた。
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