私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜

朝比奈

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第1章

イケメンの正体・・・。(2)

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「レオルドなら昨日、夜遅くまで俺と飲んでたぞ?」

「え?」

レオルドさんの瞳を見上げるように見つめながら、お互い何も言えずに黙っていると、サジャールさんが首をかしげながら話に入ってきた。

じゃあ、昨日会ったのはレオルドさんじゃなかったって事?

まぁ、そうだよね。もし、レオルドさんが昨日の人だったとして、影で醜いローブの人、だなんて言われるわけ無い。

「すみません、レオルドさん、人違いだった見たいで・・・」

「い、いえ。」

そう言うと、レオルドさんはフードを引っ張り、また私とは反対方向を向いた。

「その、夜に井戸で会った人ってのは、レオルドに似てたのか?」

「えっ?」

「今、レオルドの目元を見てそう言ったろ?」

「え、えぇ、はい。余り、はっきりとは覚えていないんですが、とても、綺麗な青色の瞳が印象てきで・・・。」

「っ!リオ嬢は、レオルドの目元を見て綺麗だと思ったのか!?」

「?・・・はい。」

なんで、サジャールさんがビックリしてるんだろう。と、私は首を傾げる。

あれ?レオルドさんも、もしかしてビックリしてる?

フードのせいで、レオルドさんの顔は見えず、表情は分からないが、先程、肩がビクッと反応したので、多分そうだろうと思う。

そこで私はラナちゃんと話した話を思い出す。

この世界と私の美的感覚の違い。

もしかして、レオルドさんの綺麗な青い瞳は余り好まれないのだろうか?

この世界の人が一体、なにで美醜を判断してるのかは分からないが、もう一度ラナちゃんと話そうとおもった。

「その、昨日あった人はどんな人だったんだ?」

「えーと、凄く綺麗な人でしたよ。今までで、見たことが無いくらい。」

私は、昨日井戸であった美青年の事を思い出し、うっとりした表情で語った。

「ふふふ、月明かりに照らされたその人はこの世の者とは思えない程、顔が整っていてですね、しかもスタイル抜群!サファイアの宝石みたいに輝く青い瞳はどこまでも広い海の様に透き通っていて綺麗で、光に当てられた髪の毛は・・・」

「なっ!リ、リオ嬢っ!ま、待ってくださいっ!」

「えっ?」

私はイメージしやすい様につぶっていた目を開き、声のした方を見る。

「レオルドさん?どうしたんですか?」

「リ、リオ嬢は、昨日、井戸で、その人以外と会いましたか?」

「いえ、昨日会ったのはひとりだけです。」

「ば、化け物の様な男は・・・」

「・・・?いえ、そんな人はいませんでしたよ?私が、昨日会ったのは見た目麗しい騎士様一人です。私が井戸に忘れたハンカチを持っていて・・・」

レオルドさんの質問に首をかしげながらも答える。

「レオルド、お前どうしたんだ?」

と、サジャールさんも不思議そうにレオルドさんを見る。

「いや、サジャール。昨日、リオ嬢と井戸で会ったのは、俺なんだ・・・。その、ハンカチの事も、会ってるし・・・」

「は?」

言いにくそうにレオルドさんがそう言うと、サジャールさんが目を見開き、私を見る。

私はと言うと、昨日のイケメンがレオルドさんだと知り、サジャールさんとは別の意味で目を見開いた。

「やっぱり、レ、レオルドさんだったんですか!?」

「いや、でも、」

サジャールさんが言いにくそうに口ごもったが、私は気にせずレオルドさんに詰め寄る。

「ほ、本当に、レオルドさんだったんですか!?」

「い、いや、あの、リオ嬢、その、俺は、リオ嬢が言った人物像とはかけ離れているんだ・・・。見てわかる通り、俺はスタイルも全然良くないし、顔なんて・・・。」

レオルドさんの話す声が段々小さくなり、最後に、「きっと、人違いだ。」と言った。

私は、レオルドさんの言葉にラナちゃんが言った言葉を思い出した。

『レオルドさんの顔を見ても顔を顰めなかったら信じる!』

あの時は失礼だと思ったけど、私のいた世界とこの世界で美的感覚に狂いがあるのを知っている私は、思い切って、レオルドさんにお願いしてみた。

「・・・レオルドさん、無理強いはしません。あの、一度、貴方の顔を見せてくれませんか?」

「っ、!」

「「「・・・」」」

つかの間の沈黙、それを破ったのはサジャールさんだった。

「リオ嬢、好奇心か何かは知らないけど、辞めといた方がいい。・・・レオルドの為にも。それに、リオ嬢が昨日見たのが、リオ嬢の言う通り、見た目麗しい騎士様なら、それはきっとレオルドじゃない。」

「・・・はい。」

気になる。けど、私はレオルドさんを傷つけたい訳じゃないので、ここは引くことにした。

その時、
「リオお姉ちゃんなら大丈夫だと思うよ」

そう言って、ニコリと笑いレオルドさんの昼食を持って来たラナちゃんが続けて言った。

「だって、リオお姉ちゃん、私の事、可愛いって言うのに、サジャールさんのことはあんまり、カッコ良くないって言ってたから。」

うわぁぁぁ!ラナちゃん!それ、本心だけど、本人に言ったらダメなやつだからぁぁー!!!
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