はた迷惑な彼女~多忙過ぎる女医とアイドルの恋愛~

月湖

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4 命の現場

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真夜中の道は空いていて、10分ちょっとで病院に着く。
救急車が止まっている正面玄関は煌々と明かりが点き、隊員が忙しなく動いていた。

「あの、すみません、裏までお願いしても宜しいですか?」

その声にバックミラーを覗くと、彼女は玄関を見つめ険しい顔をしていた。
俺には状況が分からないが、彼女は何かを察しているのだろう。

「歩くより早いもんな。了解」
「ありがとうございます」
「ゴミも置いてっていいよ。ダストシュートに突っ込むだけだし」

ここまできたら、これから始まる彼女の闘いの邪魔になるものは徹底的に排除してやりたいと思う。

「いえ、さすがにそれは・・・」
「いいから。ほら着いた。悪いけど帰りはタクシー拾って。さすがに迎えには来れないから」
「いえ、助かりました。ありがとうございます。気をつけて帰って下さいね」

ドアを開けながら言う彼女に「いいから早く」と言葉を遮って中に向かわせる。
そんな俺に彼女はひとつお辞儀をすると、次の瞬間には走り出していた。

顔、変わってたな・・。
エレベーターで寝た時はどんな女かと思ったけど。

「頑張れ・・・」

彼女が病院の中に消えるまで見送った後、ゆっくり車を走らせる。
玄関の前を通り過ぎるとそこにはさっき見た救急車がまだいて、たった今入ってきたタクシーからは数人の大人が降りてきた。
どの人も一様に不安そうな表情をしていて、救急車で運ばれてきた人の家族なのかと推察する。

命の現場。
疲れて当たり前か。
そう思いつつも、

「でも、さすがにエレベーターで寝るのはどうかだよなー(笑)」

さっきの、ありえない事を思い出して一人笑った。

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