6 / 45
6 連絡手段
しおりを挟む
・
なんとなく勿体無く感じて、貰った缶詰は数日に一缶ずつしか開けてなくとも
さすがに2週間もすりゃ無くなるに決まってる。
その間、そのうち会うだろうと思っていた彼女にはただの1度も会えてはいない。
俺も大概忙しいし時間だって不規則だけどさあ、こんなに会わないもん?
最初のあの日、彼女が車で病院に向かおうとしてた事で普段は車通勤なんだろうとアタリをつけ
仕事の送迎時に駐車場をぐるりと見てみても、彼女らしき影さえも無い。
その辺で買うのが難しいちょっとイイ缶詰はめっちゃ美味くて、思わずネットで調べて注文した。
それもあって、彼女に会ったら俺のほうこそ礼を言おうと思っているのに。
やっぱ下にメッセージを預けるしかないか・・?
言葉だけの礼は人伝いに聞くと感情が見えなくてあまり好きではないけど、現状、背に腹は替えられない。
・
「これ、榊さんに渡してもらえますか」
翌朝、少し残念に思いながらメッセージを入れた封筒をコンシェルジュに渡す。
「本当は直接会ってと思ったんだけど、全然、一瞬たりとも会わないから。
代わりにお願いします」
同じような事を封筒の中にも書いて入れてあるのだから
本当なら彼にはただ一言『お願いします』でいいのだろうが
いい大人の二人が何故こんな回りくどい事をしているのか言い訳がましく言ってしまっていた。
いつも同じく穏和そうな微笑みを浮かべている彼はそんな俺の心情など気にも留めていないように
「かしこまりました。必ずお渡しいたしますね」と封筒を受け取る。
「うん。お願いします」
彼の仕事上のルールとはいえ深く詮索されることも無く渡せたことにホッとする。
あの手紙がいつ彼女の手に渡るのかは分からないけれど、そうなれば義理堅い彼女の事だから
また何かしらのアクションをしてくれるだろう。
そうだな、出来たら次は顔を見て話したい。
一目惚れなんてした事は無い。
けれど今の俺はたった一度会っただけの彼女の事を知りたくてたまらなくなってる。
ああ、やっぱり連絡先も書いておくべきだっただろうか。
推測される彼女の性格なら書いても電話じゃなく同じ手紙で返されるかも知れないけれど
もし好意的なら連絡先をくれるかも。
軽い男と警戒されるのを懸念して手紙の最後を名前だけにとどめた事を少しだけ後悔した。
お互い忙しいんだし、余計な遠回りはしない方が良いに決まってる。
とりあえず、下の名前くらいは早急に知りたいし。
・
なんとなく勿体無く感じて、貰った缶詰は数日に一缶ずつしか開けてなくとも
さすがに2週間もすりゃ無くなるに決まってる。
その間、そのうち会うだろうと思っていた彼女にはただの1度も会えてはいない。
俺も大概忙しいし時間だって不規則だけどさあ、こんなに会わないもん?
最初のあの日、彼女が車で病院に向かおうとしてた事で普段は車通勤なんだろうとアタリをつけ
仕事の送迎時に駐車場をぐるりと見てみても、彼女らしき影さえも無い。
その辺で買うのが難しいちょっとイイ缶詰はめっちゃ美味くて、思わずネットで調べて注文した。
それもあって、彼女に会ったら俺のほうこそ礼を言おうと思っているのに。
やっぱ下にメッセージを預けるしかないか・・?
言葉だけの礼は人伝いに聞くと感情が見えなくてあまり好きではないけど、現状、背に腹は替えられない。
・
「これ、榊さんに渡してもらえますか」
翌朝、少し残念に思いながらメッセージを入れた封筒をコンシェルジュに渡す。
「本当は直接会ってと思ったんだけど、全然、一瞬たりとも会わないから。
代わりにお願いします」
同じような事を封筒の中にも書いて入れてあるのだから
本当なら彼にはただ一言『お願いします』でいいのだろうが
いい大人の二人が何故こんな回りくどい事をしているのか言い訳がましく言ってしまっていた。
いつも同じく穏和そうな微笑みを浮かべている彼はそんな俺の心情など気にも留めていないように
「かしこまりました。必ずお渡しいたしますね」と封筒を受け取る。
「うん。お願いします」
彼の仕事上のルールとはいえ深く詮索されることも無く渡せたことにホッとする。
あの手紙がいつ彼女の手に渡るのかは分からないけれど、そうなれば義理堅い彼女の事だから
また何かしらのアクションをしてくれるだろう。
そうだな、出来たら次は顔を見て話したい。
一目惚れなんてした事は無い。
けれど今の俺はたった一度会っただけの彼女の事を知りたくてたまらなくなってる。
ああ、やっぱり連絡先も書いておくべきだっただろうか。
推測される彼女の性格なら書いても電話じゃなく同じ手紙で返されるかも知れないけれど
もし好意的なら連絡先をくれるかも。
軽い男と警戒されるのを懸念して手紙の最後を名前だけにとどめた事を少しだけ後悔した。
お互い忙しいんだし、余計な遠回りはしない方が良いに決まってる。
とりあえず、下の名前くらいは早急に知りたいし。
・
0
あなたにおすすめの小説
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる