はた迷惑な彼女~多忙過ぎる女医とアイドルの恋愛~

月湖

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19 繋がり side she

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そのお店に皐月さんが入っていって、私はこっそりため息をついた。
別に、行きたくないわけじゃない。
いや、ある意味行きたくないかも。
だって、絶対からかわれる。

先に入った皐月さんと一言二言話し、こちらを見た男性は兄だ。
どうやら皐月さんは私達が兄妹だとは知らないっぽい。

「美乃莉じゃん。何、皐月と一緒に来たとか言う?」

兄の言葉に目を見開いている。
そして、直後から少し不機嫌になった。・・ような気がする。
兄と皐月さんが友人同士だなんて知らなかった。
でも、3人が繋がってた事が不機嫌の原因に思えて。
先に知らせなかったことを謝ろうと声を掛けると、私の言葉を遮るように

「ここには来たくなかった?」

と皐月さんが訊いてくる。
その表情をちゃんと見ると怒ってると言うよりは寂しそうで
せっかく連れて来てくれた店が知ってるところで残念がっているのかと私は勝手に思っていた。
来たくなかった訳じゃない。
そう言おうと口を開くと、先に兄が喋り出す。

「来たくはないよなあ。
兄ちゃんの店でオトコとメシとか、普通イヤだろ(笑)」

もう、兄さん、うるさい!
じろっと睨むと兄はからかいたくて仕方ないみたいに笑いながら私を見返してくる。
そんな私達に皐月さんは「ハ!?」って・・・。

アレ? ・・・なんか違う?

兄さんが私を末の妹だと紹介すると、皐月さんは「マジか」とかなんとかブツブツ呟いてる。
彼の中で何か不都合があったのだろう。
理由は分からないけれどその原因は絶対に私達兄妹で。
一気に疲れたような表情の彼に謝る。
すると彼はそれでも私に笑いかけてくれた。

「名前、美乃莉ちゃんていうんだ?」

ああ、そういえばちゃんとした自己紹介もしてなかった。
もうちゃん付けされるような歳ではないけれど、とりあえずそんな苦笑は心の中に押し込めて「はい」と返事をすると皐月さんは

「俺よりメニュー詳しい? オススメ教えて?」

と笑ってくれた。
優しい優しいこの人は、きっとまだ不機嫌なのに私達に気を遣って食事をしようと私をエスコートしてくれ、兄に案内されるまま入ったことのない個室のテーブルの席に着いた。

「オーダー決まった頃にまたくるよ」とビールを持ってきた兄が出て行って、少しの沈黙の後メニューを開きながら皐月さんが話し出した。

「キミの兄さんとは中高大の同級生なんだ」

皐月さんが私の2つ上なのはネットで調べて知っていた。
その時、すぐ上の兄と同い年なのに兄よりずっと落ち着いてたなと思った事を思い出した。


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