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69 嫌われて・・・?
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「アルブレヒト様が頼りないとか、そういう事じゃなくて」
涙に滲んだようなその声に思わずそう返したけれど、それ以上に何を言えばいい?
俺がクロウとやろうとしている事は本来は聖女が担う事で、つまりは神に選ばれ特別な力を与えられた者でしか成し得ない事なんだ。
巻き込んでしまったら命を落としてしまうかもしれないのに。
アルブレヒト様はこの世界に来て、初めて会った人だ。まあ、ほぼほぼ意識無かったけど。
そして、得体の知れない子供に優しくしてくれた、任務に忠実な騎士団の人達。
この世界は全然安全じゃなくて、インフラも医療もそんなに発展してなくて、ほんの少しの不注意で簡単に命を落としてしまう。
そんな世界で国民を守ろうと必死になっている人達を、俺の事情に巻き込んで死傷させてしまうなんて絶対に嫌だ。
「俺は、あなたに死んでほしくない、から・・・」
あの鳥の力はもうすぐ消えて、数百年単位で押し込まれてきた闇の力が噴出してくる。
出来るだけ浄化を頑張るつもりだけれど、間に合わない場所では強力な魔獣も出現するだろう。
強い結界を張ってこの森から魔獣を出さないようにするつもりだけど、まだ魔法に不慣れな俺の魔法じゃ一掃するまでどれだけの犠牲を払うかも、いつ終わるかも分からない。クロウがいるから死ぬことは無いだろうけど。
国に、国民に、仲間に必要とされている人を巻き込んじゃいけない。
「優しくしてくれて、ありがとうございました。俺は行きます。この場所は暫くは濁らないと思いますので、しっかり準備して城へ戻ってください」
言うだけ言って腕の中から逃げようと身体を捩るも、俺を抱き込んだ腕はビクともしない。
「離して下さい!」
「嫌だ」
「どうして!こんな事してる間にも!」
森の中では・・・
「何が起きるんだ。ハルカ」
「っ!」
真上から覗き込む深い蒼の瞳は爛々と輝き、まるで怒りに燃えているようだった。
怒ってる?
俺が聞き分けないから?
大事な事を何にも言わないから?
嫌われ・・・?
「・・・っ」
視線を外せなくなって、見つめ続けた瞳はやがて浪打ち滲んで見えなくなった。
「・・・ぅ・・・っ」
「・・・・泣くな」
気付けば頬が濡れていた。
「はー・・・」と頭の上で大きなため息が吐かれる。
呆れられた・・・?
ビクっと震えた俺を宥めるように大きな手が俺の髪をかき乱し、逃げられないように力任せにされた先程とは違う優しい腕の中にすっぽり抱き込まれる。
「怒っているわけなじゃい」
「嘘です・・・」
さっきのはどう見ても怒りを孕んだ目の色だった。
怖くて、俺は嫌われたんだと思って・・・。
「・・・・」
嫌われたんだと思って・・・?
アルブレヒト様に、嫌われたら・・・?
・・・・嫌われたらどうだっていうんだ?
そろりと顔を上げると、剣胼胝のある固くてゴツい親指で目元を拭われた。
そして見つめた瞳が近付いて、今拭ったそこに自然に口付けられる。
睫毛に触れた唇が擽ったくて思わず目を閉じると、その一瞬、そっと唇に柔らかいものが触れて離れて行った。
涙に滲んだようなその声に思わずそう返したけれど、それ以上に何を言えばいい?
俺がクロウとやろうとしている事は本来は聖女が担う事で、つまりは神に選ばれ特別な力を与えられた者でしか成し得ない事なんだ。
巻き込んでしまったら命を落としてしまうかもしれないのに。
アルブレヒト様はこの世界に来て、初めて会った人だ。まあ、ほぼほぼ意識無かったけど。
そして、得体の知れない子供に優しくしてくれた、任務に忠実な騎士団の人達。
この世界は全然安全じゃなくて、インフラも医療もそんなに発展してなくて、ほんの少しの不注意で簡単に命を落としてしまう。
そんな世界で国民を守ろうと必死になっている人達を、俺の事情に巻き込んで死傷させてしまうなんて絶対に嫌だ。
「俺は、あなたに死んでほしくない、から・・・」
あの鳥の力はもうすぐ消えて、数百年単位で押し込まれてきた闇の力が噴出してくる。
出来るだけ浄化を頑張るつもりだけれど、間に合わない場所では強力な魔獣も出現するだろう。
強い結界を張ってこの森から魔獣を出さないようにするつもりだけど、まだ魔法に不慣れな俺の魔法じゃ一掃するまでどれだけの犠牲を払うかも、いつ終わるかも分からない。クロウがいるから死ぬことは無いだろうけど。
国に、国民に、仲間に必要とされている人を巻き込んじゃいけない。
「優しくしてくれて、ありがとうございました。俺は行きます。この場所は暫くは濁らないと思いますので、しっかり準備して城へ戻ってください」
言うだけ言って腕の中から逃げようと身体を捩るも、俺を抱き込んだ腕はビクともしない。
「離して下さい!」
「嫌だ」
「どうして!こんな事してる間にも!」
森の中では・・・
「何が起きるんだ。ハルカ」
「っ!」
真上から覗き込む深い蒼の瞳は爛々と輝き、まるで怒りに燃えているようだった。
怒ってる?
俺が聞き分けないから?
大事な事を何にも言わないから?
嫌われ・・・?
「・・・っ」
視線を外せなくなって、見つめ続けた瞳はやがて浪打ち滲んで見えなくなった。
「・・・ぅ・・・っ」
「・・・・泣くな」
気付けば頬が濡れていた。
「はー・・・」と頭の上で大きなため息が吐かれる。
呆れられた・・・?
ビクっと震えた俺を宥めるように大きな手が俺の髪をかき乱し、逃げられないように力任せにされた先程とは違う優しい腕の中にすっぽり抱き込まれる。
「怒っているわけなじゃい」
「嘘です・・・」
さっきのはどう見ても怒りを孕んだ目の色だった。
怖くて、俺は嫌われたんだと思って・・・。
「・・・・」
嫌われたんだと思って・・・?
アルブレヒト様に、嫌われたら・・・?
・・・・嫌われたらどうだっていうんだ?
そろりと顔を上げると、剣胼胝のある固くてゴツい親指で目元を拭われた。
そして見つめた瞳が近付いて、今拭ったそこに自然に口付けられる。
睫毛に触れた唇が擽ったくて思わず目を閉じると、その一瞬、そっと唇に柔らかいものが触れて離れて行った。
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