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貴方のものではありませんわ
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「聖女アリシエラ。そなたには賠償金を支払う」
「あら、勿論、貴方の私財からですわね?」
「……なに?」
王の苦渋に満ちた表情がアリシエラの言葉で驚きに変わった。
「私の私財だと?」
「ええ、王には毎年その務めに対する給金が支払われているでしょう。まさか、国の財源で支払おうなんて考えていませんよね?貴方は勝手にそれを使う権利なんて持っていませんわ」
「っ……」
動揺して玉座の肘掛けを握りしめる姿を冷静に眺める。この動揺具合を見るに、過去に国のお金に手をつけていそうだ。調べてもらうことが増えた。
「……もちろんだ。私とエドワードの私財から支払う」
「では、それでよろしいわ。金額については、後で担当の者を貴方のところに寄越します」
いい加減彼らとのやり取りに飽き飽きしてきたので、それで手打ちにすることにした。
「ああ、それと、私と殿下との婚約はきちんと破棄しておいてくださいね。勿論、殿下の過失によるものとして」
「……エドワードとの婚約は続けられないのか?」
この期に及んで、王はアリシエラを手放したくないらしい。呆れるしかない。
「私を惜しく思うなら、もっと早くに手を打つべきでしたわ。私からの殿下についての報告は届いていたのでしょう。それを看過しておいて、今さら何を言うのです」
「……エドワードが駄目なら、第2王子のザウスでもよい」
「ザウス殿下には相愛の婚約者がいたのでは?そもそも、私はもう貴方の一族の者と婚姻を結ぶつもりはありませんわ」
「だが……」
「私、もう教会に帰りますわ。完全に教会に出家しますので、貴族の位も返上します。どうぞ私の貴族籍を削除なさってくださいな」
「なっ」
アリシエラが出家し公爵令嬢の身分を捨てれば、王は完全に関与出来なくなる。アリシエラが貴族であったことは、王が聖女を利用するのに便利なものだったのだ。
王を冷たく見据えて優雅に身を翻す。会場にいる貴族が静かにアリシエラのために道を開けた。誰に遮られることもなく、アリシエラは会場を出て深呼吸をする。やっと自由を得た気分だった。
「これでよろしかったのですか、アリシエラ様」
廊下を歩きながら声をかけてくるフランツに、アリシエラが楽しそうに笑う。もう扇子で隠すこともなかった。
「ふふっ、いいのよ」
アリシエラは家族との縁が薄い。両親はアリシエラに興味がなく、話したこともほとんどない。権力志向の両親は、アリシエラが聖女に選ばれたときにすり寄ってこようとしたが、既に自我がしっかりしていたアリシエラはそれを拒絶した。そして、聖女の権利として教会での暮らしを始めたのである。
だから、家族との縁を切ることになんの躊躇もない。婚約者との縁なんてもっといらない。
今はそれよりも大切で愛すべき存在がいるからだ。
「それより、いつまで偽るの?貴方の騎士姿似合っているけれど」
「……そうだな。もういいか。愛しいアリシエラよ」
「あら、勿論、貴方の私財からですわね?」
「……なに?」
王の苦渋に満ちた表情がアリシエラの言葉で驚きに変わった。
「私の私財だと?」
「ええ、王には毎年その務めに対する給金が支払われているでしょう。まさか、国の財源で支払おうなんて考えていませんよね?貴方は勝手にそれを使う権利なんて持っていませんわ」
「っ……」
動揺して玉座の肘掛けを握りしめる姿を冷静に眺める。この動揺具合を見るに、過去に国のお金に手をつけていそうだ。調べてもらうことが増えた。
「……もちろんだ。私とエドワードの私財から支払う」
「では、それでよろしいわ。金額については、後で担当の者を貴方のところに寄越します」
いい加減彼らとのやり取りに飽き飽きしてきたので、それで手打ちにすることにした。
「ああ、それと、私と殿下との婚約はきちんと破棄しておいてくださいね。勿論、殿下の過失によるものとして」
「……エドワードとの婚約は続けられないのか?」
この期に及んで、王はアリシエラを手放したくないらしい。呆れるしかない。
「私を惜しく思うなら、もっと早くに手を打つべきでしたわ。私からの殿下についての報告は届いていたのでしょう。それを看過しておいて、今さら何を言うのです」
「……エドワードが駄目なら、第2王子のザウスでもよい」
「ザウス殿下には相愛の婚約者がいたのでは?そもそも、私はもう貴方の一族の者と婚姻を結ぶつもりはありませんわ」
「だが……」
「私、もう教会に帰りますわ。完全に教会に出家しますので、貴族の位も返上します。どうぞ私の貴族籍を削除なさってくださいな」
「なっ」
アリシエラが出家し公爵令嬢の身分を捨てれば、王は完全に関与出来なくなる。アリシエラが貴族であったことは、王が聖女を利用するのに便利なものだったのだ。
王を冷たく見据えて優雅に身を翻す。会場にいる貴族が静かにアリシエラのために道を開けた。誰に遮られることもなく、アリシエラは会場を出て深呼吸をする。やっと自由を得た気分だった。
「これでよろしかったのですか、アリシエラ様」
廊下を歩きながら声をかけてくるフランツに、アリシエラが楽しそうに笑う。もう扇子で隠すこともなかった。
「ふふっ、いいのよ」
アリシエラは家族との縁が薄い。両親はアリシエラに興味がなく、話したこともほとんどない。権力志向の両親は、アリシエラが聖女に選ばれたときにすり寄ってこようとしたが、既に自我がしっかりしていたアリシエラはそれを拒絶した。そして、聖女の権利として教会での暮らしを始めたのである。
だから、家族との縁を切ることになんの躊躇もない。婚約者との縁なんてもっといらない。
今はそれよりも大切で愛すべき存在がいるからだ。
「それより、いつまで偽るの?貴方の騎士姿似合っているけれど」
「……そうだな。もういいか。愛しいアリシエラよ」
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