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白と黒の邂逅
001 白い少年
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満月が浮かぶ夜。
後ろから二人。右から一人。追っ手は計三人。細い一本道に誘い込む。逃げていた足を止めて、一気に振り返る。
全身に力を入れる。赤い目が光を帯びた。
トンっとガラ空きの胴体に殴りを入れる。まず一人。流れるように右からの攻撃を躱して溝落ちにまた殴りを入れた。そのまま後ろへ振り向きながら後ろから襲ってくる敵に回し蹴りを入れた。
一瞬の攻防の末、三人が崩れ落ちた。
他に追っ手は見当たらない。どうやら今回も生き延びることができた様だ。
白い髪の少年、ナガトは汗を拭いながら安堵のため息を吐いた。
発端は一年前、その日暮らしのナガトは食糧を求めて賊の根城へ忍び込んでいた。普段ならそのまま、たらふくの食料を奪えたのだが、その時ばかりは、しくじった。
賊の中に「呪い」を持っている者がいた。「呪い」は、安く言えば「特殊能力」である。
厄介なのは「呪われた」者を殺せば、その者もまた「呪われる」ということだ。つまり、「呪い」を持つ者を殺せば、その者の「呪い」を得ることが出来るのだ。
そして、「呪い」を持つ者は、どういうわけか、ここ、テーナタウンの外には出ることが出来ない。
そのため、「呪い」を持つ者はテーナタウンに収容される形となり、「呪い」を狙う者もまた、テーナタウンに集まるのだ。かくして、テーナタウンは王国一の治安の悪さを誇るスラム街と化した。
ナガトも「呪われた」者の内の一人だった。ナガトの「呪い」は身体能力が強化される、という特殊能力の鉄板モノであった。
しかし、ここ最近は全く例の賊からの逃亡の日々である。一体、何人居るんだ。うんざりする。住処に戻ると腰を下ろしながら、明日のことを考えた。そろそろこの住処も見つかるかもしれない。他に目星をつけておくか。
目を瞑ってそんなことを考えていると、すぐに深い眠りについた。
次の日。
目を覚ますとそこは、いつか見た賊のアジトだった。手も足も縛られており、動かすことが出来ない。ヤバいなんて言葉じゃ表せない状況。冷や汗と震えが止まらない。
正に「詰み」であった。このスラムでは、人生はいとも簡単に詰んでしまうのだ。ナガトは諦め半分に、もがいた。
そのようにして数分が経った頃、アジトの扉がキィィと音を立てた。
入ってきたのは、スキンヘッドに鋭い眼光を備えた、いつしかの賊のリーダーであった。
「よぉクソガキ。懺悔したいだろぉ?いいぜ。たっぷり悔やめよ。」
と、そこまで言うと一区切りし、徐にナイフを取り出した。自分の運命を知った上で、死を覚悟した上で、ナガトは本気で生きたいと感じた。全身が震え、ガクガクと運命を拒否した。だが、時間は残されてなかった様である。
目の前の大男がナイフを振り上げた。ナガトは汗を滲ませて、口を噛み締め、目をぎゅっと瞑った。
「じゃぁなクソガキ!!」
大男は、ナイフを一気に振り下ろした。
後ろから二人。右から一人。追っ手は計三人。細い一本道に誘い込む。逃げていた足を止めて、一気に振り返る。
全身に力を入れる。赤い目が光を帯びた。
トンっとガラ空きの胴体に殴りを入れる。まず一人。流れるように右からの攻撃を躱して溝落ちにまた殴りを入れた。そのまま後ろへ振り向きながら後ろから襲ってくる敵に回し蹴りを入れた。
一瞬の攻防の末、三人が崩れ落ちた。
他に追っ手は見当たらない。どうやら今回も生き延びることができた様だ。
白い髪の少年、ナガトは汗を拭いながら安堵のため息を吐いた。
発端は一年前、その日暮らしのナガトは食糧を求めて賊の根城へ忍び込んでいた。普段ならそのまま、たらふくの食料を奪えたのだが、その時ばかりは、しくじった。
賊の中に「呪い」を持っている者がいた。「呪い」は、安く言えば「特殊能力」である。
厄介なのは「呪われた」者を殺せば、その者もまた「呪われる」ということだ。つまり、「呪い」を持つ者を殺せば、その者の「呪い」を得ることが出来るのだ。
そして、「呪い」を持つ者は、どういうわけか、ここ、テーナタウンの外には出ることが出来ない。
そのため、「呪い」を持つ者はテーナタウンに収容される形となり、「呪い」を狙う者もまた、テーナタウンに集まるのだ。かくして、テーナタウンは王国一の治安の悪さを誇るスラム街と化した。
ナガトも「呪われた」者の内の一人だった。ナガトの「呪い」は身体能力が強化される、という特殊能力の鉄板モノであった。
しかし、ここ最近は全く例の賊からの逃亡の日々である。一体、何人居るんだ。うんざりする。住処に戻ると腰を下ろしながら、明日のことを考えた。そろそろこの住処も見つかるかもしれない。他に目星をつけておくか。
目を瞑ってそんなことを考えていると、すぐに深い眠りについた。
次の日。
目を覚ますとそこは、いつか見た賊のアジトだった。手も足も縛られており、動かすことが出来ない。ヤバいなんて言葉じゃ表せない状況。冷や汗と震えが止まらない。
正に「詰み」であった。このスラムでは、人生はいとも簡単に詰んでしまうのだ。ナガトは諦め半分に、もがいた。
そのようにして数分が経った頃、アジトの扉がキィィと音を立てた。
入ってきたのは、スキンヘッドに鋭い眼光を備えた、いつしかの賊のリーダーであった。
「よぉクソガキ。懺悔したいだろぉ?いいぜ。たっぷり悔やめよ。」
と、そこまで言うと一区切りし、徐にナイフを取り出した。自分の運命を知った上で、死を覚悟した上で、ナガトは本気で生きたいと感じた。全身が震え、ガクガクと運命を拒否した。だが、時間は残されてなかった様である。
目の前の大男がナイフを振り上げた。ナガトは汗を滲ませて、口を噛み締め、目をぎゅっと瞑った。
「じゃぁなクソガキ!!」
大男は、ナイフを一気に振り下ろした。
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