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呪いと祝福の境界
007 虚ろな現実
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ローブの男めがけて振るったナガトの右腕は、虚しくも、空を掠めた。ローブの男は間一髪でナガトのパンチを躱し、振り向きざまに回し蹴りを入れた。ナガトの横腹に重い回し蹴りが入り、ナガトの身体は吹っ飛んだ。
「呪い」で強化されたナガトの後ろからの不意打ちを見事に躱し、寧ろ返り討ちにした。ナガトは、恐らく同じ身体能力を強化する系統の「呪い」だろうが、自分では勝てないと今になって悟った。相手の力も考えずに、無策に前に出た事を後悔した。
ローブの男がゆっくりとニタニタと笑いながら近づいてきた。白いローブの男は、ガタイの良い金の短髪が胡散臭さを放っていた。ローブの男が口を開く。
「まさか1日に二つの「呪い」を見ることができるとは。
尤も、二人とも私程は強くないようですが。しかし思いませんか、少年。このスラムという世界において、弱さは罪であると。」
目の前の男が何を言いたいのか、ナガトにはまだピンと来なかった。大方、自分とそこのボロボロの40代位の男を殺して自分たちの「呪い」を得るつもりだろう。勿論、素直に殺される気はないが。
「弱いから弄ばれる。奪われる。そして殺される。強くなければ、この世界では生きていけないんです。
そこで。提案です。私、カルタを崇めませんか?」
はぁ?想定外すぎる言葉に、ナガトの口から思わず声が出た。カルタと名乗ったローブの男は構わず続けた。
「神である私を崇めるなら、神である私からの祝福が受けられます。さすれば、貴方達は、もはや弱者では、なくなるでしょう。」
そう言って満足気に不気味な笑みを浮かべた。目がまるで目の前のナガトを見ていない。想定の斜め上の発言をし続けたカルタに対して、ナガトは
「ふざけんな」
と一蹴して、脚に力を込め、すぐに走り出した。といってもカルタに向かってではなく、ボロボロの40代位の男に向かってである。ふざけた事を抜かしているが、目の前のカルタとかいう奴には悔しいが勝てないのはわかった。かといって絶対に死にたくはない。となれば、取れる選択肢は一つ。
逃げる!
目の前に迫ったボロボロの男を抱え、強化された脚力を存分に使い、ただ走った。
ナガトが逃げてすぐ、カルタの元に3人の黒いローブを纏った男女が集まった。
「カルタ様。奴を追いますか?」
そのうちの1人が口を開いた。
カルタはそれに対して
「いや、結構です。彼らも、そう遠くないうちに気づくでしょう。この地獄で救われるには、神に願うしかないと。私の祝福によってのみ、皆が救われるのだ、と。」
そう言ってカルタはまた不気味な笑みを浮かべた。
「そうですね。」
カルタに集った3人の男女も笑った。ただただ、幸せそうに笑った。
「呪い」で強化されたナガトの後ろからの不意打ちを見事に躱し、寧ろ返り討ちにした。ナガトは、恐らく同じ身体能力を強化する系統の「呪い」だろうが、自分では勝てないと今になって悟った。相手の力も考えずに、無策に前に出た事を後悔した。
ローブの男がゆっくりとニタニタと笑いながら近づいてきた。白いローブの男は、ガタイの良い金の短髪が胡散臭さを放っていた。ローブの男が口を開く。
「まさか1日に二つの「呪い」を見ることができるとは。
尤も、二人とも私程は強くないようですが。しかし思いませんか、少年。このスラムという世界において、弱さは罪であると。」
目の前の男が何を言いたいのか、ナガトにはまだピンと来なかった。大方、自分とそこのボロボロの40代位の男を殺して自分たちの「呪い」を得るつもりだろう。勿論、素直に殺される気はないが。
「弱いから弄ばれる。奪われる。そして殺される。強くなければ、この世界では生きていけないんです。
そこで。提案です。私、カルタを崇めませんか?」
はぁ?想定外すぎる言葉に、ナガトの口から思わず声が出た。カルタと名乗ったローブの男は構わず続けた。
「神である私を崇めるなら、神である私からの祝福が受けられます。さすれば、貴方達は、もはや弱者では、なくなるでしょう。」
そう言って満足気に不気味な笑みを浮かべた。目がまるで目の前のナガトを見ていない。想定の斜め上の発言をし続けたカルタに対して、ナガトは
「ふざけんな」
と一蹴して、脚に力を込め、すぐに走り出した。といってもカルタに向かってではなく、ボロボロの40代位の男に向かってである。ふざけた事を抜かしているが、目の前のカルタとかいう奴には悔しいが勝てないのはわかった。かといって絶対に死にたくはない。となれば、取れる選択肢は一つ。
逃げる!
目の前に迫ったボロボロの男を抱え、強化された脚力を存分に使い、ただ走った。
ナガトが逃げてすぐ、カルタの元に3人の黒いローブを纏った男女が集まった。
「カルタ様。奴を追いますか?」
そのうちの1人が口を開いた。
カルタはそれに対して
「いや、結構です。彼らも、そう遠くないうちに気づくでしょう。この地獄で救われるには、神に願うしかないと。私の祝福によってのみ、皆が救われるのだ、と。」
そう言ってカルタはまた不気味な笑みを浮かべた。
「そうですね。」
カルタに集った3人の男女も笑った。ただただ、幸せそうに笑った。
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