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呪いと祝福の境界
012 顛末
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その日からトウは、自身が「呪い」持ちである事を隠す事を辞めた。
「呪い」を狙われ、命を狙われるようになったが、必死に彼らを返り討ちにした。
確実に、強くなった筈であった。以前でさえ、一対一なら殆ど勝っていた。次やれば、必ず勝てる。今度こそ、カルタを倒して、シータを返してもらう。必ず。
ーーーそして、今日。カルタと再び戦った。
結果は、ナガトが見た通りであった。確かに自分は強くなったと思っていた。絶対に勝てると。息子を返してもらえると。
しかし、その思いを欺くかの様に、文字通り手も足も出なかった。圧倒的な力の差であった。大敗なんて物じゃない。勝負にならなかった。
トウ自身よりも、カルタの方が強くなっていた。それもその成長はトウの比じゃない。
ただただ「呪い」を上手く扱えるようになっているだけではない。元の力が上がっただけでもない。「呪い」その物が、全く違う更に「上位」の物になった様な、そんな印象を得た。
そこまで、話してトウは話を締めた。 ミナミは「ほう」と呟き
「「呪い」自体の強化…ね」
と楽しそうにしている。
トウは「それで全部だ」とでも言っているかの様に口を閉し、ミナミは楽しそうにしているそのアンバランスさに、ナガトは困惑し、黙るしかなかった。
不意にミナミが口を開いた。
「その教団のアジトはどこか分かるのか?」
と疑問を口にした。
「カルタが普段根城にしている場所はわからない…けど、教団の教会的な場所なら分かる。」
とカルタが言うと、すぐさまミナミはその場所を詳しく聞き出した。
ナガトなど、「呪い」を持つ人間が閉じ込められるこのスラム、テーナタウンは、タウンと言うには些か広過ぎる街である。
テーナタウンは、広大な土地を持つ王国の南に位置し、王国の十分の三程の広さを持つ。ある程度の小国であれば、テーナタウンの方が土地も人も多い。
そんなテーナタウンであるが、テーナタウンでは、南北でニ分割した内の北側、つまり王国側はスラムでも比較的裕福な層が住む場所である。治安も比較的良い。その背景には、「呪い」を扱うマフィアがいるらしいが、今のナガト達には関係ない。
ナガトたちがいるのは南側で、より貧困層が多い方である。治安もその分悪い。
そして、例のカルタの教団の教会は、その南北の境目辺りにあると言う。ナガトはそこまで北に行った事がなかった。
「よし、おっさんは私らに任せて、帰って寝てろ」
ミナミはそう言うと、不敵な笑みと共にゆっくりと立ち上がった。黒い唾の長いハットを目深に被り言った。
「…ナガト、行くぞ。」
「呪い」を狙われ、命を狙われるようになったが、必死に彼らを返り討ちにした。
確実に、強くなった筈であった。以前でさえ、一対一なら殆ど勝っていた。次やれば、必ず勝てる。今度こそ、カルタを倒して、シータを返してもらう。必ず。
ーーーそして、今日。カルタと再び戦った。
結果は、ナガトが見た通りであった。確かに自分は強くなったと思っていた。絶対に勝てると。息子を返してもらえると。
しかし、その思いを欺くかの様に、文字通り手も足も出なかった。圧倒的な力の差であった。大敗なんて物じゃない。勝負にならなかった。
トウ自身よりも、カルタの方が強くなっていた。それもその成長はトウの比じゃない。
ただただ「呪い」を上手く扱えるようになっているだけではない。元の力が上がっただけでもない。「呪い」その物が、全く違う更に「上位」の物になった様な、そんな印象を得た。
そこまで、話してトウは話を締めた。 ミナミは「ほう」と呟き
「「呪い」自体の強化…ね」
と楽しそうにしている。
トウは「それで全部だ」とでも言っているかの様に口を閉し、ミナミは楽しそうにしているそのアンバランスさに、ナガトは困惑し、黙るしかなかった。
不意にミナミが口を開いた。
「その教団のアジトはどこか分かるのか?」
と疑問を口にした。
「カルタが普段根城にしている場所はわからない…けど、教団の教会的な場所なら分かる。」
とカルタが言うと、すぐさまミナミはその場所を詳しく聞き出した。
ナガトなど、「呪い」を持つ人間が閉じ込められるこのスラム、テーナタウンは、タウンと言うには些か広過ぎる街である。
テーナタウンは、広大な土地を持つ王国の南に位置し、王国の十分の三程の広さを持つ。ある程度の小国であれば、テーナタウンの方が土地も人も多い。
そんなテーナタウンであるが、テーナタウンでは、南北でニ分割した内の北側、つまり王国側はスラムでも比較的裕福な層が住む場所である。治安も比較的良い。その背景には、「呪い」を扱うマフィアがいるらしいが、今のナガト達には関係ない。
ナガトたちがいるのは南側で、より貧困層が多い方である。治安もその分悪い。
そして、例のカルタの教団の教会は、その南北の境目辺りにあると言う。ナガトはそこまで北に行った事がなかった。
「よし、おっさんは私らに任せて、帰って寝てろ」
ミナミはそう言うと、不敵な笑みと共にゆっくりと立ち上がった。黒い唾の長いハットを目深に被り言った。
「…ナガト、行くぞ。」
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