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呪いと祝福の境界
011 神の力
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カルタの目が光る。
同時に、トウの目も光った。幸い、というべきか、トウは風を操ることのできる「呪い」を持っていた。
と言っても例えば、それ自体で人の身を切ったりすることは出来ない程度である。
それに加えて、トウは息子のシータにさえ自身が「呪い」を持っているということは、隠していた。基本的に「呪い」持ちは「呪い」を狙われるために、常に追われて命を狙われる。その「呪い」を使ってその様な追っ手を振り払うために、「呪い」持ちは戦いに慣れている事が多い。
しかし、トウは、徹底的に自身が「呪い」を持っている事を隠す事で、「呪い」を持つ人を狩り、「呪い」を奪う事を目的にした者からも視線を外すことができた。逆に言えば、戦いに慣れていなかった。
慣れない戦闘ではあったが、戦況は悪くなかった。相手のカルタの「呪い」は、恐らく身体強化系の物であったが、トウの「呪い」で十分に対処可能であった。『力によって救われる』なんて言う癖に、カルタ自身も余り戦闘に慣れていないのだろうか、とトウは考えた。
「呪い」で突風をトウ自身の後ろから起こし、それを追い風にして一気に距離を詰め、殴る。ジャンプして避けたカルタ目掛けてトウの「呪い」によって産み出された横殴りの強い風が襲う。
ズザザと、地面に打ち付けられたカルタはゆっくりと立ち上がってトウを見て言った。
「なるほど、あなたも「呪い」をもっているのですね。どうやら今の私では、まともにやっていたら勝てなそうですね。」
トウは、カルタが負けを認めたのだと思った。息子を返してくれるのだと。シータが帰ってくると。
が、カルタはこう続けた。
「しかし、そうは言っても私はこんなところで負けられないのです。」
そう言って目を細め、不気味な笑みを浮かべた。
トウはゾッとして身構え、目の前のカルタに全神経を集中させた。
が、背後から気配を感じた。振り返った時にはもう遅かった。目の前のカルタに集中しすぎて、後ろの的に気づくのが遅れたのだ。トウの配下の者だろうか。黒いローブを纏っている。しかし普通の動きじゃない。こいつも身体強化系の「呪い」か!いやしかし彼の目は光っていなかった。
普通の動きではないが、カルタ以下だった。何とか目の前の男の攻撃を避け、逆に蹴りを入れて返り討ちにした。
しかし、次の瞬間、トウの意識は遠のいた。カルタの部下の様な男を倒して油断していた。後ろからカルタがトウに一撃をくらわせていた。
トウはドサッとその場に倒れた。気づいた時にはもうその場には、カルタ含めて、誰もいなかった。
同時に、トウの目も光った。幸い、というべきか、トウは風を操ることのできる「呪い」を持っていた。
と言っても例えば、それ自体で人の身を切ったりすることは出来ない程度である。
それに加えて、トウは息子のシータにさえ自身が「呪い」を持っているということは、隠していた。基本的に「呪い」持ちは「呪い」を狙われるために、常に追われて命を狙われる。その「呪い」を使ってその様な追っ手を振り払うために、「呪い」持ちは戦いに慣れている事が多い。
しかし、トウは、徹底的に自身が「呪い」を持っている事を隠す事で、「呪い」を持つ人を狩り、「呪い」を奪う事を目的にした者からも視線を外すことができた。逆に言えば、戦いに慣れていなかった。
慣れない戦闘ではあったが、戦況は悪くなかった。相手のカルタの「呪い」は、恐らく身体強化系の物であったが、トウの「呪い」で十分に対処可能であった。『力によって救われる』なんて言う癖に、カルタ自身も余り戦闘に慣れていないのだろうか、とトウは考えた。
「呪い」で突風をトウ自身の後ろから起こし、それを追い風にして一気に距離を詰め、殴る。ジャンプして避けたカルタ目掛けてトウの「呪い」によって産み出された横殴りの強い風が襲う。
ズザザと、地面に打ち付けられたカルタはゆっくりと立ち上がってトウを見て言った。
「なるほど、あなたも「呪い」をもっているのですね。どうやら今の私では、まともにやっていたら勝てなそうですね。」
トウは、カルタが負けを認めたのだと思った。息子を返してくれるのだと。シータが帰ってくると。
が、カルタはこう続けた。
「しかし、そうは言っても私はこんなところで負けられないのです。」
そう言って目を細め、不気味な笑みを浮かべた。
トウはゾッとして身構え、目の前のカルタに全神経を集中させた。
が、背後から気配を感じた。振り返った時にはもう遅かった。目の前のカルタに集中しすぎて、後ろの的に気づくのが遅れたのだ。トウの配下の者だろうか。黒いローブを纏っている。しかし普通の動きじゃない。こいつも身体強化系の「呪い」か!いやしかし彼の目は光っていなかった。
普通の動きではないが、カルタ以下だった。何とか目の前の男の攻撃を避け、逆に蹴りを入れて返り討ちにした。
しかし、次の瞬間、トウの意識は遠のいた。カルタの部下の様な男を倒して油断していた。後ろからカルタがトウに一撃をくらわせていた。
トウはドサッとその場に倒れた。気づいた時にはもうその場には、カルタ含めて、誰もいなかった。
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