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優未

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討伐

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我々討伐隊は魔王の核があるとされる場所にむかった。

そこには、どす黒い瘴気をまとう人間がいた。

「ようやく来たか」

その声には聞き覚えがあった。

「派遣された先で行方不明になったって」

魔王の核にいたのは、失踪した幼馴染だった。

「教会の人間はわかっていたんだろう、魔導士」

名指しされた魔導士は淡々と答える。

「魔王討伐隊の候補は、幼き頃より教育を受けるだろう。
 それぞれの役目ごとにしか伝えられていないこともある。
 しかも、魔導士は討伐隊に選ばれたものにのみ伝えられることがある」

「魔王の本当の復活方法だな」

「本当の?」

「俺は剣士候補ではなくて、魔王候補だったんだろう?」

「何を言っているの」

「そうだ。正確には途中で魔王候補に変わったわけだが。
 教会は平和の維持のために定期的に魔王を意図的に生み出している。
 聖女候補である彼女に思いを寄せていたお前に目をつけて、核とすることに決めた。
 お前は候補に名をつられながらも、実力からして選ばれることはない。
 そして何より勘が鋭く座学の成績も優秀だった。自分の置かれた状況をよく認識していた。
 その焦りや嫉妬心が民の怨念を吸収していくんだ」

「お前たちが俺に使ったものは魔法じゃないな?
 この体を蝕んでいく不快感は何だ」

「呪いだ」

「聖女の力は浄化ではなくて解呪というわけか」

「人々の負の感情が勝手に力を持って呪いになるが、それを解くことができる人間は限られるから困ったものだ」

「ならば何故聖女に婚約者がいない。
 勇者と聖女は血筋が大事なはずだ。
 封印の剣を扱えるのは王族のみ。聖女の解呪の力は突然降ってわいてくるものではない。
 これだけ仕組みを整えておいて聖女の血筋をつなぐことだけ忘れているなんておかしいだろ。
 剣士は腕っぷしがよければ最悪誰でもなれるし、別に1人に限る必要もない。
 魔導士も魔力さえあればあとは鍛錬あるのみ。
 あえて聖女の数を減らし、聖女に懸想した候補者を魔王の候補にしてきたんじゃないか」

「聖女に選ばれなかった悔しさから嫉妬心を抑えきれず魔王化した聖女候補もいたらしいぞ」

それに、と魔導士は続ける。

「聖女の力に血筋は関係ない」

「私の家は聖女の家系のはずよ」

「それは偶然だ。聖女の力は本人の性格に由来し、時とともに損なわれやすいんだ」

「損なわれる?」

「人間の醜い心が呪いとなる。それを浄化するのに必要なのは清らかな心だ」

「魔王候補の選定よりよっぽど大変ってわけだ」

「私は聖女に選ばれたわ」

「そうだ。聖女に選ばれて地位や対価を得ようという野心もなく、
 厳しい修行も決まりだからと熱心に取り組み、
 幼馴染が失踪すれば心から心配し、
 魔王となってしまった今でも自分にできることを探している」

「私が浄化の力を使えば終わるの?」

「そういえば勇者はどうした」

「こんなに早い段階での討伐は我々の代が初めてらしい。封印の剣が必要なのかの実験も兼ねている。
 負担は少しでも軽くしたいからな」

「ふざけやがって」

怒りの感情からか、彼の纏う瘴気が少しだけ濃くなる。

魔導士の言う通りならば、一刻も早く浄化すべきだろう。

この瘴気さえ取り払えれば彼の命も助かるはずだ。

「あなたを死なせはしない。ずっとずっとそばにいるわ」

瘴気に包まれた男の手を取り、祈りを捧げる。

まばゆい光が世界を包み込んだ。
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