15 / 55
第十五話 何も知らない
しおりを挟む
誕生日も過ぎ、再びクリスマスがやってきた。
それでも、荒太がそばで祝ってくれるし、『イベントは楽しまなきゃな!』
と言って、ふざけながら友人を集めて祝ってくれる。
俊は自分から友人を作る気にはなれなかった。
が、いつの間にか荒太を中心に友人の中にいる。
そんな事が居心地が良くなってきていた。
「俊くん、聞いてる?明日はどうするのかな?」
「明日って?何かあったっけ?」
「おいおい、荒太の誕生日だろ?覚えてねーの?去年はどーしたのさ?」
言われて初めて気づいた。
荒太の誕生日を祝ったのっていつ以来だっけ?
恵がいた時はちゃんと祝っていた気がする。
でも、寮に入ってからは記憶になかった。
「薄情だな~、付き合い長いんだろ?」
薄情だと言われてみればその通りだったかもしれない。
荒太はいつも俊を中心に考えてくれたし、何が欲しいかも、何が嫌いかも
理解してくれていた。
「そうだな、何か用意しとくよ」
「そういえばさ~荒太って何が好きなの?本人に聞くのもさ~?俊くん?」
「あぁ、何だったかな~、ちょっと考えとくよ」
「考えるって、明日だよ?本当に親友なの?いや、恋人だっけ?」
晴翔は隣の部屋の住人だ。
毎晩の行為を誤解しているようだが、弁解するつもりもない。
恵を好きな気持ちは今でも変わらなくて。そばにいる荒太に最後までするつ
もりは全くなかった。
男同士でも、弁明できるギリギリまでしか手を出していない。
もし、これ以上超える事が有れば…きっと戻れなくなりそうで…。
(俺はまだ…恵が好きなんだ、それでもいいって荒太が言うから…そう、荒太が
どうしてもって言うからそれで…)
自分へと言い訳をしながら部屋の中をぐるぐる回る。
すると荒太が戻ってくると元気よく抱きついてきた。
「ただいま~、何?立ったままで…何かあったのか?」
「ん~、そういえばさ~何か欲しいものあるか?」
「…?ないよ…どうして?」
「ならやりたい事とか、行きたいところってあるか?」
とにかく本人に聞こうと言うと少し悩んでから何かを思いつくかのように言った。
「海かな~、釣り行きたい!俊は昔父さんと一緒に何度か釣り行ってうちにも魚持
ってきてくれたじゃん?」
「いや、すぐには無理だろ?釣りは俺の趣味だしな…、荒太やった事あったっけ?」
「ないよ、だからやりたいの!」
「他にはないのか?」
「他に~?なんだろう?そうだっ、休みの日に暇ならボルダリング行かない?」
「いいな~それ!行くか?」
「うん♪」
嬉しそうな荒太に頷くと俊がたまに一人でいくボルダリングができる場所の予約をとった。
荒太が風呂へと行っているうちに隣から晴翔が声をかけてきた。
それでも、荒太がそばで祝ってくれるし、『イベントは楽しまなきゃな!』
と言って、ふざけながら友人を集めて祝ってくれる。
俊は自分から友人を作る気にはなれなかった。
が、いつの間にか荒太を中心に友人の中にいる。
そんな事が居心地が良くなってきていた。
「俊くん、聞いてる?明日はどうするのかな?」
「明日って?何かあったっけ?」
「おいおい、荒太の誕生日だろ?覚えてねーの?去年はどーしたのさ?」
言われて初めて気づいた。
荒太の誕生日を祝ったのっていつ以来だっけ?
恵がいた時はちゃんと祝っていた気がする。
でも、寮に入ってからは記憶になかった。
「薄情だな~、付き合い長いんだろ?」
薄情だと言われてみればその通りだったかもしれない。
荒太はいつも俊を中心に考えてくれたし、何が欲しいかも、何が嫌いかも
理解してくれていた。
「そうだな、何か用意しとくよ」
「そういえばさ~荒太って何が好きなの?本人に聞くのもさ~?俊くん?」
「あぁ、何だったかな~、ちょっと考えとくよ」
「考えるって、明日だよ?本当に親友なの?いや、恋人だっけ?」
晴翔は隣の部屋の住人だ。
毎晩の行為を誤解しているようだが、弁解するつもりもない。
恵を好きな気持ちは今でも変わらなくて。そばにいる荒太に最後までするつ
もりは全くなかった。
男同士でも、弁明できるギリギリまでしか手を出していない。
もし、これ以上超える事が有れば…きっと戻れなくなりそうで…。
(俺はまだ…恵が好きなんだ、それでもいいって荒太が言うから…そう、荒太が
どうしてもって言うからそれで…)
自分へと言い訳をしながら部屋の中をぐるぐる回る。
すると荒太が戻ってくると元気よく抱きついてきた。
「ただいま~、何?立ったままで…何かあったのか?」
「ん~、そういえばさ~何か欲しいものあるか?」
「…?ないよ…どうして?」
「ならやりたい事とか、行きたいところってあるか?」
とにかく本人に聞こうと言うと少し悩んでから何かを思いつくかのように言った。
「海かな~、釣り行きたい!俊は昔父さんと一緒に何度か釣り行ってうちにも魚持
ってきてくれたじゃん?」
「いや、すぐには無理だろ?釣りは俺の趣味だしな…、荒太やった事あったっけ?」
「ないよ、だからやりたいの!」
「他にはないのか?」
「他に~?なんだろう?そうだっ、休みの日に暇ならボルダリング行かない?」
「いいな~それ!行くか?」
「うん♪」
嬉しそうな荒太に頷くと俊がたまに一人でいくボルダリングができる場所の予約をとった。
荒太が風呂へと行っているうちに隣から晴翔が声をかけてきた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる