僕の好きは、君とは違う!

秋元智也

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第十六話 休日

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コンコンッ。コンコンッ。

「はーい」
「結局聞けたのか?」
「あっ…」
「はぁ~、俊くんはさ~結局のところ何も考えつかないのか?いつから荒太と
 一緒にいるんだよ~」
「いつからって小学校から…だな」
「おい、そんなに長い時間一緒にいて、恋人の欲しい物すら分からねぇ~のか
 よ、ある意味何も見てないんだな?」

最近知り合ったやつに言われたくはないセリフだった。
こっちだって必死に考えているとふくれっ面をすると呆れられた。

「俊くんってさ~本当に荒太が好きで付き合ってるの?これじゃ~荒太が可哀
 想だよ。もういいや。適当に見繕うよ。じゃーな!」
「…」

言われたままは悔しいが、それもまた事実なので何もいえなかった。

子供の頃は何を渡したっけ?
小さい時はただおめでとうと言ってあげただけだし、小学校の時は俊の持って
いる玩具が欲しいと言われて渡したっけ。
その後も、俊のお古のジャンパーが欲しいと言われた事もあった。

買った物はほとんど嬉しがらなかったし、一度渡した事はあるけど、作り笑い
でお礼を言われた気がする。
なんで俊の持ってる物が欲しいのかは分からないけど、あまりに喜ぶので、まぁ
それでもいいかなと深くも考えなかった。



結局何もプレゼントを考えつかないまま当日を迎えた。

「荒太、行くぞ~」
「おう!」
「今日の場所は俺がよく使ってる場所でさ~結構設備がいいんだよ。」
「そうなんだ~、ならおすすめのコース教えてよ?」
「いいぜ、やった経験は?」
「初めてかな…」
「ならこっちだな~、今日は俺も一緒のところやるから」

来てよかったと思う。
すごく楽しそうにしている荒太を見るのは久しぶりだと思う。
最近は勉強に追われる毎日で、勉強についていけていない荒太には必死
だったので羽根を伸ばすつもりで楽しんでいると思っていた。

2時間もすると、流石に疲れたのか休憩をしながら座り込んだ。

俊はいつものように無糖の紅茶を買うと荒太に渡す。

「さんきゅ。」
「結構キツかった?」
「まぁ~俺が運動不足ってだけかな~」
「手、見せて。マッサージしてあげるよ」

俊が言うと荒太は躊躇いながら俊の手を掴んだ。

使わない場所を使ったせいでマメができて潰れていた。

「痛くないのか?」
「あっ、そういえば…気づかなかった…」
「今日はもうやめよう。また来ればいいから…ね?」
「う、うん。俊はもう少しやってきていいよ。俺はここで休んでるから…」

遠慮がちに言う荒太に俊は立ち上がると荷物をまとめて出ようと言い出し
たのだった。
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