僕の好きは、君とは違う!

秋元智也

文字の大きさ
17 / 55

第十七話 やりたいこと

しおりを挟む
荒太の誕生日を祝うつもりで行ったはずだったのが、怪我させてちゃ
意味がない。

本人も言わないから全然気づかなかった。
いつからマメができていた?
そういえば最初始めた時は俊もマメを作って痛いからと暫くは数時間
しかやらなかった事を今更思い出した。

「どうしようか~」
「この近くに釣り堀りあるんだって~行ってみる?」
「それって、荒太が行きたいのか?」
「えっ…う、うん。行きたいよ?なんで?」

今言われたのも、荒太にとっては初めてだろう。
俊が好きでよく行ったとか話しているのを恵と一緒に聞いていた筈だ。

なら、なんで今更そんな事を言い出すのか分からなかった。

「俺に遠慮してるのか?」
「そんな事…ねーって」
「なら、なんで荒太のしたい事を言わないんだ?怒ってるわけじゃないか
 ら…俺は荒太のしたい事や好きな物を全然知らないからさー、誕生日な
 のに、何もやってあげられねーのか?恋人だろ?」

俊が言うと、少し戸惑ったような目で見上げてきた。
荒太から付き合おうと言い出したのに、俊がいうと意外そうな目で見てき
たのだった。

「俺たち付き合ってるんだぞ?荒太の事、もっと教えてよ…」
「それは…」

(恵が見つかるまでの期限付きなんだろ?)

荒太は言葉を飲み込むとただ黙って俯いた。

「行きたいところないのか?ないなら帰るか!」

『帰って寮に用意しておいたケーキでも食べるか?』と言いかけるとシャツの後
 ろがピンッと引っ張られた。

「行きたいところ…あるから…」
「どこ?」
「…がいい。俊と…に行きたい…/////」

小さな声だったが、確かに聞き取れた言葉は俊にはちょっと意外だった。

「本当にそれでいいのか?」
「うん」

頷く荒太は恥ずかしそうに目線を逸らした。
言われたのはラブホに行ってみたいと言う事だった。
俊は女子と行ったことがあるのでそこまで感動もなければ期待もない。
恵とは家だったから同性同士で入るのは初めてだった。

「でもさ~ここきてやることって…」
「俊と…最後までシたい…」

荒太の初めての本音で、初めて言った我儘だった。

「それは…」
「できないなら、帰る…」

ホテルの前まで来ると俊の乗り気でないのを感じ取ったのかUターンする。

「待てって…」

荒太の腕を掴むと引き寄せて抱きしめた。

「本当に後悔しないんだな?」
「…うん。俺じゃ勃たない?」

不安そうに見上げて来ると今更にドキッとする。
散々裸の付き合いをしてきた仲だが、本番は今日が初めてだと思うと少し
不安になる。

恵と違って、荒太は本当に初めての体験になるのだ。
覚悟を決めるとホテルに入って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

藤吉めぐみ
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

処理中です...