僕の好きは、君とは違う!

秋元智也

文字の大きさ
39 / 55

第九話 昔の思い出

しおりを挟む
いつも側にいた人間がいなくなるとこんなに広く感じるのかと部屋の
中を眺めた。

ここで、ずっと一人で暮らすと思うと自分でも信じられないくらいに
耐えられそうになかった。

「俺ってこんなに一人がダメだったっけ?」

いつも友人という友人は荒太くらいで、それ以外はただ話しかけてくる
だけの存在だと思っていた。

何をするにもいつも横にいるのは荒太で、思っている事は大体察してく
れるし、嫌がりそうな事は絶対にしなかった。
どんな言葉を言っても、嬉しそうに聞いてくれたし、恵がいなくなって
ポッカリ空いていたはずの穴もいつのまにか忘れるほど楽しく過ごして
いた。

夜を一人で過ごすのはもう、嫌だ…。

「どうしてこんな時にいないんだよ…いなくなるなよ」

ピンポーン。

インターホンの音でハッとなるとすぐに玄関へと向かった。
ドアを開けるとすぐに抱きしめていた。

「俊くーん、苦しいんだけど~」
「…恵?」
「こんなところを荒太くんに見られたら誤解ってだけじゃ済まないよ~」
「ご、ごめん。」
「いいって。それでどうなの?仲直りのできた?連絡返さないから心配
 になってきちゃったよ~」

俊は話しを聞いてほしいと言うと部屋に招き入れた。

「僕がいていいの?」
「あぁ、荒太はもう…いないから…」
「ん?一体何があったのさ?」

あの日に恵に相談して仲直りをしようと帰った時にはもう居なかった事。
そして携帯もメールも既読がつかない事。

大学に行ったが、今も会えていない事などを話した。

「それで諦めちゃうの?」
「嫌だ…あいつを手放したく無い」
「ふ~ん、僕の時と違ってそう思っちゃうわけだ~」
「あの頃とは違うだろ?」
「まぁ~ね。でも、そうやって思えるって事はいい関係だったんだね~」
「…そうだったのかな?俺は最近まであいつの好きなものも知らなかった
 んだよ…ずっと紅茶が好きだって思ってて、ケーキはショートケーキで
 って思ってた。」

俊が情けないような顔で話し出すと、恵が笑い出していた。

「あははははっ、傑作じゃん!それ僕の好みだね!荒太は違うでしょ、紅茶
 は苦手そうにしてたよ。当時もね」
「えっ…それは…」
「見ていなかったんだね!僕だけを見てくれてたのは嬉しいけど、今付き合
 ってる相手の事もちゃんと見てあげなきゃ嫌われちゃうよ?」
「…それがこの結果なのかもな…」

恵は部屋の中をゴソゴソと物色しながら見て回った。
するとガムテープでぐるぐる巻きの箱を見つけた。

「この箱なに?」
「箱?なんだこれ?…俺のじゃ無いな~」
「開けてみよっか?」

好奇心で恵が言うと俊は承諾した。
何重にも貼られているせいかなかなか取れない。
そこまで厳重にしたい理由はなんなのだろうとおもうと余計に気になった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...