僕の好きは、君とは違う!

秋元智也

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第十五話 薄れる意識の中で

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苦しくてもがくも、びくともしない。
驚いたような恵の声が聞こえたが、今はそれどころではない。

やっと離れると息を思いっきり吸い込んだ。
頭がくらくらする。

そのまま雪崩れ込むようにベッドに倒れ込むと俊と目があった。
その瞬間、背筋がゾワっとした。

逃げようとしたがすぐに捕まり服を引っぺがされる。
暴れたせいか、腕を強く握られ痛みで悲鳴を上げていた。
抱かれるという行為はここまで乱暴になるのかと思うくらいに痛みしかな
かった。
身体中をもがいた分だけ噛まれ痛みに悲鳴を漏らした。

恵の止めるような悲鳴が聞こえたが途中からは意識すら曖昧になっていた。

(いっそ、このまま死ねたらいいのに…痛いのは嫌なんだけどな…)

無理矢理開かされた場所は動く度に痛みしか与えてくれなかった。
泣き叫び過ぎたせいか声も枯れていく、カラカラに枯れた声で必死に助けを
求めたが、助けてくれる相手はここには居なかった。

目が覚めた時には身体を拭かれて気持ち悪くはないが、腕に違和感があった。
裸のままベッドに寝かされているが、それ以上に腕と足がガムテープで止め
られていたのだ。

「なっ…んで…」
「あ、荒太起きた?ご飯食べる?」
「…ひぃっ…や…ぁ…」

動けない手足で必死にもがくと後ずさる。

「逃げないようにしたかったんだが、ごめん?すぐに外すよ!」

俊は荒太の腕に嵌められたガムテープを剥がすと足はそのままに抱きかか
えた。
キッチンのテーブル前に座らせると食事をだした。
味噌汁と焼き魚、漬物とだし巻き卵と和風テイストで統一した。

「食べないの?」
「…ど…んだ?お…ど…だよ?」

声が枯れて上手く話せない。
俊は荒太に手を伸ばすと喉を掴んで口を開けさせた。
無理矢理開かせると喉の奥を覗き込んだ。

「んっ…んんっ!」

苦しいと訴えるとすぐに離した。

「早く食べて?冷めるだろ?それとも食べさせて欲しいのか?」

どれを食べても全く味がしなかった。
食べ終わると今度はロープで腕を縛ると口にタオルを噛ませた。
バスローブを着せると風呂場に繋いだ。

「ちょっと出かけてくるからそれまでここに居て。トイレはそのまま
 ここで出していいから。」

縛られたままで何もできない様にしておいて放置すると漏らしてもいい
などと言うのだった。


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