49 / 55
第十九話 俺が好きなのは
しおりを挟む
ドアの向こうで聞いていた俊が勢いよく入ってきた。
「俺が愛しているのは池上荒太なんだ…」
はっきりと今度は聞こえる様に言った。
「嘘はいいよ。俺は俊にとってただのセフレだろ?それでもいいって俺が
思ってるんだからいいよ。俊には恵と幸せになって欲しい。俺が願える
のはそれだけだから…」
「違うんだ!本当に好きなんだ。何度も荒太に言ったけど…その度に初め
て聞いたって言って朝には忘れていたよな?」
「えっ、………!あれって俺が見た夢だろ?毎回俊に告白される夢を見る
ようになって…俺の願望だって…」
赤くなると俯いてしまった。
「ねぇ~お互い誤解があると思うんだ。ちゃんと話し合おうよ!」
恵が言うとしばらくして荒太も頷いたのだった。
事情を知ると何の事もないのだが隠されていたせいで荒太は自分は捨てられ
ると思ってしまい、言われる前に自分からいなくなろうと決意したのだ。
その際に泣き腫らしたところを山村教授が現れて人のいないところへとホテ
ルへと連れ込まれたのだった。
その時の荒太は自暴自棄になっていたのもあって山村教授を誘ったのは事実
だった。
しかし山村教授は乗ってこなかった。
傷ついてボロボロの荒太には一切手を出さなかったのだ。
後日揶揄われたのだが、余裕のなかった荒太にはストレスが溜まってたせい
か過呼吸を起こして運ばれたというのが実際の理由だった。
そのあとは恵と俊のやりとりを聞いて納得した。
「ちゃんと僕の事は荒太くんに言ってよって言ったんだよ!」
「言える訳ないだろ?荒太が出て行ったらどーするんだよ?」
「むしろ、言わないから出ていかれたんじゃん!」
恵の指摘が正しかった。
「そう言えばさ~荒太くんって俊くんからちゃんと誕生日祝ってもらってた?
すっごく気になったんだよね~」
「物は貰わないようにしてたかな…お揃いとかは…別れた時に辛いから…だか
ら…で祝って貰ってた…」
荒太の言葉に恵が怒りを露わにして俊を睨みつけてきた。
「ホテルでセックスってどーゆー事!?」
怒鳴る恵に言い訳でもするように俊が言葉を言おうとしたが、その前に捲し立
てられた。
「それは…」
「煩い!喋るな!変態!強姦魔!そもそも丸一日もしてたら痛くなるでしょ!
受け側の負担はそんな軽くないんだからね!分かってる!?」
「はい…でも…」
「言い訳はしない!」
ぴしりと話を打ち切った。
そんな久しぶりの会話に荒太は少しホッとしたような気分になったのだった。
「俺が愛しているのは池上荒太なんだ…」
はっきりと今度は聞こえる様に言った。
「嘘はいいよ。俺は俊にとってただのセフレだろ?それでもいいって俺が
思ってるんだからいいよ。俊には恵と幸せになって欲しい。俺が願える
のはそれだけだから…」
「違うんだ!本当に好きなんだ。何度も荒太に言ったけど…その度に初め
て聞いたって言って朝には忘れていたよな?」
「えっ、………!あれって俺が見た夢だろ?毎回俊に告白される夢を見る
ようになって…俺の願望だって…」
赤くなると俯いてしまった。
「ねぇ~お互い誤解があると思うんだ。ちゃんと話し合おうよ!」
恵が言うとしばらくして荒太も頷いたのだった。
事情を知ると何の事もないのだが隠されていたせいで荒太は自分は捨てられ
ると思ってしまい、言われる前に自分からいなくなろうと決意したのだ。
その際に泣き腫らしたところを山村教授が現れて人のいないところへとホテ
ルへと連れ込まれたのだった。
その時の荒太は自暴自棄になっていたのもあって山村教授を誘ったのは事実
だった。
しかし山村教授は乗ってこなかった。
傷ついてボロボロの荒太には一切手を出さなかったのだ。
後日揶揄われたのだが、余裕のなかった荒太にはストレスが溜まってたせい
か過呼吸を起こして運ばれたというのが実際の理由だった。
そのあとは恵と俊のやりとりを聞いて納得した。
「ちゃんと僕の事は荒太くんに言ってよって言ったんだよ!」
「言える訳ないだろ?荒太が出て行ったらどーするんだよ?」
「むしろ、言わないから出ていかれたんじゃん!」
恵の指摘が正しかった。
「そう言えばさ~荒太くんって俊くんからちゃんと誕生日祝ってもらってた?
すっごく気になったんだよね~」
「物は貰わないようにしてたかな…お揃いとかは…別れた時に辛いから…だか
ら…で祝って貰ってた…」
荒太の言葉に恵が怒りを露わにして俊を睨みつけてきた。
「ホテルでセックスってどーゆー事!?」
怒鳴る恵に言い訳でもするように俊が言葉を言おうとしたが、その前に捲し立
てられた。
「それは…」
「煩い!喋るな!変態!強姦魔!そもそも丸一日もしてたら痛くなるでしょ!
受け側の負担はそんな軽くないんだからね!分かってる!?」
「はい…でも…」
「言い訳はしない!」
ぴしりと話を打ち切った。
そんな久しぶりの会話に荒太は少しホッとしたような気分になったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
藤吉めぐみ
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる