僕の好きは、君とは違う!

秋元智也

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温泉旅行 3 完

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気持ちのいい朝だった。

晴れた天気に、美味しい朝食。
昨日の激しい夜が嘘のように清々しい。

夜は隣の部屋からも声が漏れていて、恥ずかしいなんていっていられなかった。
負けじと俊が頑張ったせいで、今は声が枯れている。

「昨日は何を張り合ったのかな~」
「いや…だって…」
「だってなに?俺を殺したいの?今日どこにも行けないようにでもしたい訳?
 俺は俊といろんなところが回れるって楽しみにしてたのにな~?」
「ごめんって、機嫌直して?」

見上げる俊は怒られてしょげる子犬のようだった。

「まったく…。」

ため息を漏らすとチェックアウトして街へと繰り出した。歴史的な資料館や、
現代風のモニュメントが数多く点在していた。
車で回るには道が細いので自転車を借りて回った。

買い食いしたり、ちょっと休みながら歩き販売のアイスバーを買って食べた。

東京では味わえない事ばかりで存分に楽しむと夕方には帰路に着いた。
家に帰る頃には暗くなっていて、帰りのパーキングエリアで買った夕飯を一緒
に頬張った。

「このまま夜景を見に行こう?」
「今、帰ってきたばっかだぞ?」
「いい、スポットがあるんだ」
「お前運転で疲れてるだろ?明日じゃダメなのか?」
「明日はゆっくりしたいだろ?だから片付けは後にして行こう」

無理矢理誘うように引っ張られた。


横浜の工場夜景は確かに誰が見ても綺麗だった。

「確かに綺麗だな…」
「うん。ここの停まってる車の中ってみんなシてるんだって…」
「はぁ?」

一瞬何を言っているのか分からなかったが、横のレバーを倒され後ろに背もたれ
が倒された事で理解した。

「シート買ってあるのか?」
「うん、もちろん」

ダッシュボードの中から出てきた時は後戻りが出来ない事を察した。

不規則に揺れる車内で月明かりだけを頼りに手探り状態が続いていた。

「明かり付けていい?」
「言い訳ないだろ!外から丸見えにする気か!ばか!」
「だって見えないんだぞ?」
「だからやめとけって言ったんだよ。はぁ~手を貸せ」

ガイドをする様に俊の手を握ると誘い入れたのだった。



終わった後で思ったのが、『二度としない、車の中では絶対にシない!』と
いう事だった。

狭くて何度頭をぶつけたか分からないし、足を持ち上げられた時もいろいろと
ぶつけまくったからである。
それに月明かりしかないので後処理も大変だった。
レンタカーは返す前に掃除をしてから返すハメになったのだった。
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