アリスちゃんねる 〜もっと淫れさせて〜

秋元智也

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75話

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長谷部が完全に怒っている気がするのは、多分
間違いではない気がする。
黙ったまま、車を走らせている。

疲れているせいか優はまだ眠ったままだった。

助手席でシートベルトをはめたまま眠っている
姿は普通に寝ているだけのように見えるが、後
ろ手は背中に回され縛られている。

よっぽど怒っているようだ。
逃げた事になのか、それとも客を取ったという
事にか…。
どちらにせよ、帰ったらただじゃ済まない気が
した。

「そんなに大事なら自分のものにすればいいだ
 ろ?」
「家族にそんな事が出来るわけがないだろ…」
「だったら中途半端に連れ帰るなよっ…余計に
 辛いだろ?」
「矢崎くん、君はもう少し賢い子だ思ったんだ
 がね…」
「お守りはクビか?まぁいいけどさ…」
「…働く場所は探してあげるよ。でもね、もう
 優には近づかせない」

大事だと思っているのは伝わってくるのに、頑
なに認めない。
優自身の気持ちすら気づけないなら…いっそ俺
のものになればよかったのに…

矢崎は何度も優に言った言葉を心の中で唱えた。


長谷部は昼には一回仕事場に戻らなければなら
ない。
結局昨日は一睡もできなかった。

隣でぐっすりと眠りについている優を眺めると
腹が立つ。

何が不満なのかと。

養子にしてからあまりお互い話していなかった
のかもしれない。
きっと不満もあるだろう。

若いのだし性欲もあるだろう。
家の中にいては女性を知る機会さえないだろう。
せめて学歴を取らせてから出会いの場に連れて
いこいと考えていた。

普通の出会いに、普通の恋愛。
心踊るような青春をちゃんと送らせてやりたい。

親に捨てられた子供がたどる末路なんて、まとも
じゃなかった。
性的な趣向を持つ主人に飼われるか、そういう店
で一生過ごすかだ。

仕事がら幾つものそういったものを見て来たが、
その中でもアリスは目を引いた。

この子を欲しいと思ってしまった。

性的な対象にはしたくなくていつも話すだけに
とどめた。

が、彼は自ら自分を曝け出していた。

お金の為ならどんなリクエストにも答えた。
いきなり姿を消して、見つけた時には身体には、
ロープ一つで緊縛された姿だった。

ガラス越しに見えた男に犯される姿は見るに耐え
なかった。
電気をかけられ悶える姿を見て、興奮している
自分に気付かされた。

「違うっ…そんな事考えちゃダメだ」

彼を助けた後は自分の家に招いた。
通信制で高校資格を取るために勉強も教えた。

何が不服だったのだろう。
わがままも何も言わない。
だからこそ、何を考えているのかが、わからな
かったのだった。

家に着くと、矢崎には部屋から出ないように言
い渡すと外から鍵をかけた。

もちろん逃げるのは簡単だ。
窓からでも逃げれる。

ただし、優には別の部屋に入ってもらう。

家に着いた時には眠たそうな声が聞こえて来た。

「起きたかい?優…私達の家に着いたよ。」
「…!誠…さん?」
「探したじゃないか…なぜ出て行ったんだい?まぁ、
 いい。そろそろ仕事なんだ、後で話をしよう。そ
 れまで待っていてくれるね?」
「えっ…あっ…あれ?誠さん、腕が…」
「あぁ、また居なくなっては困るからね」

縛ったまま。助手席の方に回り込むとドアを開け
て優を抱えた。

部屋には行かず風呂場へと向かった。
そこは外から鍵をかけられるからだ。

中に暖房だけ入れて温度を一定に設定した。

「ご飯は少し我慢しなさい。水はここに出してお
 くよ。トレイはそのまましなさい」

言われた言葉の意味を察すると真っ赤になって抗
議しようとした。
閉じられた扉の奥にはまだ長谷部がいる。
横に置かれた毛布の上に寝転がると半裸のまま目
を閉じた。
仕事がある長谷部は、すぐに出ていくだろう。

優はただ長谷部の帰りを待つ事しかさせて貰えな
かったのだった。

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