禁断の扉を開けたのは!?

秋元智也

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過去の真実

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綾音は千崎が案内した別荘を見てから意気消沈していた。
相沢はアナルが裂けて酷いことになっていたはずである。
それに加えてあの男は中には入れていないと言っていたが信じられる筈はない。
かわりにアナルビーズを入れたと言い出したのだ。
それは、入れたと言うんだ!っと言ってやりたかった。
それ以上の言い訳は聞きたくなかった。
部下に命じて処分させるように指示した。
連れていかれると綾音は取り残されたようにそこに座り込んだ。
明らかに一人のモノとは思えない精液が散乱している。
ここに繋がれていたのなら今は一体何処へいったのか? 
不安にかられながら新宿に戻ると街をぶらついていた。
小雨が降りだし、段々と本降りになってきた。
自分があんなところに入れたせいだ。
本当はそんな事をしたい訳じゃないのに・・・。
自分を思い出してくれない彼に腹が立っての嫌がらせのつもりだった。
それが取り返しのつかないことになってしまったのだ。
「ごめん、なさい。・・・ごめんなさい。」
涙が頬を伝い流れ落ちるのをぬぐいもせず路地に座り込んだ。
とても寒かった。
震えるように肩を抱き締めると上から影ができ、雨が止んだ。
「ねぇ、大丈夫?」
聞いてきた女性は心配してくれているようだが今の綾音には相手をしている余裕などなかった。
立ち上がると、そのまま立ち去ろうとした。
「綾孝くん?・・・ごめんなさいね。なんだか面影が似てたもんだから」
「・・・えっ!」
昔の名前を呼ばれて振り向くと、どこか懐かしい人にであった。

彼女のアパートに入るとタオルと着替えを貸してもらった。
「あの~ありがとうございます。」
「いいって、それよりビックリだわ!あの綾孝君が今は綾音ちゃんでいいんだよね?」
「はい。」
「そっか、可愛いと思ってたけど、こうして見てると女の子にしか見えないわね? 」
まじまじと見つめると心底感心していた。
「今は元気でやってる・・・訳じゃ無さそうね?」
「・・・」
「ごめんね?呼び止めて。うちの弟に連絡が取れなくなってね?あのバカ何をやってんだか知らないけど約束位守れって言うのよ。」
「約束?」
彼女は入江美紀いりえみき。
相沢貴史の姉である。
姓は引き取られた父方の方を名乗っていた。
「あぁ、父の命日なのよ。だから会う約束してたのに連絡も寄越さないで、まったくどこをほっつき歩いてんだか・・・」
そう言うと心配そうに俯いた。
原因の一端を担っているだけに何も言えなかった。
「ごめんね。貴史のやつこーんなかわいい綾音ちゃん見てもきっと分からないんだろうなぁ~」
苦笑いを浮かべながら美紀は遠い目をした。
「どういうことですか?」
「あぁ、そうだね。貴史の事、気にしてたもんね?わざわざ通学路を遠回りしてまでね?」
全て、わかっていたらしい。
「知ってたんですか?」
「当然よ。女ですから!」
そう言って笑うと美紀は両親が離婚してからの事を語ってくれた。
「あれから母はまた変な男と一緒にいるようになってね、たまに暴力を振るわれていたみたいなの。それを止めに入った貴史が逆上した男に鉄パイプで殴られてね・・・生死をさ迷ったあげく助かったのはいいんだけど・・・記憶が失われていたの。父のことはおろか友達の事も皆ね。」
「・・・そんなっ・・・ 」
聞いていた綾音は口を覆った。
そんな事があったなんて・・・では見ても分からなかったのも仕方がないことだった。
「私・・・酷いことをしてしまったかも・・・」
美紀は何を言っているかは知らなかったがそれでも傷ついているだろう綾音をぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫よ。貴史は女の子には激甘だから!」
そう言って笑ってくれた。
それから暫く世間話をすると家へと戻った。
すると涼風からLINEが入っていたことに気付いた。
「何かしら?」
開くとそこには相沢が見つかったと書いてあった。今は倉庫にいるとも・・・。
すぐに着替えると部下に車を出させ向かった。

倉庫では千崎が恐怖から逃げようとした時、相沢は自分を押さえつけていた黒服の腰に着けていたナイフを奪いなりふり構わず振り回した。
切れ味のよいナイフは運よく男の腕をバッサリと切り裂いていた。
「わぁぁぁっ。・・・っ・・・このっ~」
逆上した黒服の男に馬乗りにされ押さえつけられるが、それでも抵抗をやめなかった。
お金で雇われている男は何度も切りつけようとする相沢に苛立ちを感じたのか、いきなり首を閉めにかかる。
片方の手は血がベットリとついていたがもう片方は健全で並みの人間よりは強い方だ。
ましてやさっきまで犯されボロボロの体の相沢に比べたら、当然である。
抵抗をやめない相沢の手を掴むと脅しのつもりで相沢自身にナイフを突き付け黙らせようとした。
涼風の制止の声を聞きながら力を込める。
すると一気に相沢が力を抜いたのを止めることは出来なかった。
「ぐはっ・・・ぁ・・っ・・・・」
一気に肉に刺さる刃物の感触。
目の前で吹き出る血飛沫。
涼風の叫び声が辺りにこだました。
黒服の男から力が抜けて下に横たわる相沢の体を見下ろした。
ピクリとも動かなくなった彼は最後に何かをいいかけたが、聞き取ることは出来なかった。
いつのまにか降りだした雨が外で強くなっていく。
心臓に刺さったナイフは最後の時を刻むように小刻みに上下していた。
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