禁断の扉を開けたのは!?

秋元智也

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「ここで一体何をしていたんですか?」
いの一番に聞かれた台詞は後ろで奇声を発しながら暴れる杉下の母の事を指している。
「何のつもりかは知りませんが、母に近づいて有利になるような事はありませんよ?」
「・・・」
そのまま通り過ぎようとすると今度は杉下の方が呼び止めてきた。
「そうそう、うちの原が君をいたく気に入ってね。今度来るときは是非とも一日空けといて欲しいそうだよ?まぁ、帰れるかどうかは君の返事次第になるだろうけどね。」
まるで次来たら帰れない覚悟をしろとでもいうような言い方だった。
「そうだ、こっちも話があるんだった。比奈子ちゃんの行方は分かったのかよ?」
遼の言葉に一瞬で顔色を替えると掴みかかってきた。
それを吉野が間に入って止めにかかる。
「止めてください。暴力は良くないです!」
「どこでそれを聞いた?話によってはこのまま付き合ってもらうが?」
代わりに吉野を掴み上げると遼の方を睨みつけてきた。
「へー大事なんだ?だったら探すの手伝ってやろうか?どうせ母親からは何も聞けてないんだろう?明日には元父親の居場所も割れてるはずだし着いてこいよ。」
生意気な遼の態度にイラつきを感じながらも杉下は納得がいかないまま車で待機の原に連絡を入れて一緒に行くことにしたようだった。

次の日の朝早くに原と共に杉下が遼達の別荘へと訪れていた。
原には吉野達の車に乗ってもらい遼だけが杉下の運転する車に乗った。
最後まで原が羨ましそうにしていたが誰にも聞かれたくないことだった為に無理矢理命令したのだ。
「二人っきりだと不安かね?」
杉下の何気ない質問に後部座席に座り窓の外を眺めながら平然と答える。
「別に。それとも俺とヤりたくなった?」
「君はそういうことが好きなのか?」
「嫌いだよ。あんたやさっきの男なんかは御免だね。それより聞かせてやろうか?妹のこと。」
ルームミラーからチラチラと視線が走り先程から気になっている様子だったので話題を振ってみた。
「妹ということも分かっているのか?戸籍には妹の存在はないはずだが?どこで調べた?」
「それは企業秘密ってね。でも、母親は選択したんだよ。妹よりあんたを・・・。」
「どういうことだ?」
「それはこれから会う男が知ってるよ!どうなったかも。知りたいんだろう?」
「・・・もし、比奈子の居場所が分かれば割符はすぐにでも渡してやるよ。それと、組ごとくれてやる。」
「そりゃどうも、でもそこはあんたが責任もって仕切れよ。それにこっちが望んでるのは共存。用は兄弟みたいな関係にしたいって事だしな!」
「それは八雲綾孝の意見か?」
「あぁ、そう言うことだ。」
遼の言葉にくっくっくっ。と笑い出すといきなり車を青信号で止めた。
後ろを振り向くと高角をつり上げて一言放った。
「いいだろう。ただし、もし何も分からなかったらお前自身で責任を取ってもらう。一生外の空気は吸えないと思えよ!」
後ろの車から何度もクラクションを鳴らされると一気に車を発進させた。
一瞬心臓を鷲掴みにされたような殺気に固まっていたが、ゆっくりと息を吐いて自分を落ち着かせた。
ーただのサラリーマン風だと思ってたけど・・・ヤクザ、なんだよな・・・ー
今でもドキドキと心臓が高鳴っていた。
拳銃を突き付けられた時のような恐怖が走ったのだ。
それからは何も会話することもなく目的地に到着した。

メモの通りの細い通路を行くと遼が昔住んでいたようなボロボロのアパートが見えてきた。
書かれていた住所に行きインターホンを押すが何も鳴らなかった。
電池が切れているのか無音であった為、ドアを叩くことにした。
何度か叩くと部屋のなかで物音がした。
「すいませーん。宅配便でーす。」
そう言って遼が叫ぶとガチャ。っと音がしてドアが開いた。
すかさずドアを掴むとこじ開けた。
さすがに杉下のボディーガード、何とも心強い。
呆気に取られているとこちらを見て微笑みかけてきた。
顔をひきつらせながら吉野の後ろに隠れると出てきた男に視線を戻した。
「おいおい、何なんだお前らは?」
「杉下正志さんですね?」
「あぁ?そうだが、何のようだ!」
酒を飲んでいるのか起こりっぽいようだった。
「彼が話したいそうですよ?杉下徹夫さん!」
そう言って後ろにいた息子に話題を振った。
いきなり言われて驚いていたが何年ぶりかの父親を見て怒りを露にしていた。
「おおー徹夫かぁ~懐かしいな・・・元気だったか?心配してたんだ。」
何も感じないのか懐かしさをアピールすると息子に近づこうとするがそれをさっきの原に遮られていた。
「何だね君は?退きなさい。」
「相変わらずですね・・・貴方は昔と全く変わらない。最低な男だ。」
「何を言ってるんだ、せっかく息子が訪ねて来たんだ、ゆっくりと話でもどうだ?」
杉下徹夫は睨み付けると拳を震わせていた。
「そんなことより比奈子はどうしたんだ!貴様が売り飛ばした妹だ!」
「・・・」
一瞬沈黙すると次には何事もなかったかのように笑いながら話しかけてきた。
「そんな昔の事など、どうでもいいじゃないか。さぁ、入ってくれ!」
そんなやり取りをしているなかで遼がポツリと言葉を発した。
「自分の娘じゃないから引き渡したってか?」
「・・・」
いきなりの言葉に杉下徹夫も正志も同時に振り返った。
「それは、どういう・・・」
「あぁ、聞いたのか?ならいうが比奈子は俺の子供じゃない。だから金と交換したんだ!」
いきなりの告白に徹夫は父親に掴みかかった。
「貴様がぁー言える立場か!毎日飲んだくれて妹を売っただと?ふざけんな!!」
「しかたねーだろう?いい金になったんだ。お前もそれで生活してきたんだからな?今更いいこぶるなよ。今度は親孝行として金を貸してくれよ~育ててやっただろう?」
ギリッと噛み締めると拳を振り上げて殴り飛ばした。
それをじっと眺めていた遼はそっと黒服に命じて父親を取り押さえさせた。
感情が高ぶっていた方が読みやすいので二人を付き合わせたのだ。
そっと父親に触れるとゆっくりと同化を試みる。
杉下には何をやっているのかは分からなかったが今はそれどころではなく、父親への怒りが込み上げていた。
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