禁断の扉を開けたのは!?

秋元智也

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妹の行方

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酔って足元も覚束ない父親に対して徹夫はしっかりとした足取りで近づき見下ろした。
杉下正志は取り押さえられ地面にひれ伏している。
「もう一度聞く。比奈子は何処へやったんだ!」
「忘れちまったなぁ~どこにいるかを調べてら金を貸してくれるなら思い出すかもなぁ~」
「くっ・・・どこまでもクズだなっ・・・」
「へへへっ・・・物分かりが良くて助かるぜ。」
薄ら笑いを浮かべる父親に向かって腹を蹴り上げた。
「ぐ・・・がはっ・・なにを・・?」
「思い出すかも知れないと思ったが?」
「なっ・・・」
「まだ、思い出さないようだな?原、締め上げろ!」
「おう、こういうのは得意なんだよ。」
原が黒服から奪い取るとギリギリと締め上げる。
もがくが振りほどけず手足をばたつかせていた。
「わっ・・・分かった。思い出したっ・・・!やめっ・・・かはっ」
顔を真っ青にし降参するように手を上げてきた。
「もう一度聞く。比奈子はどこだ?」
「あいつは・・・今は沖縄にいる。石垣島のかりゆし病院だ。あそこの院長に売り飛ばしたんだ。ほら、言っただろうが!離せっ・・・」
徹夫からの指示で原が手を離すと家の中へと逃げようとするのを遼の指示で取り押さえられていた。
「何なんだ!お前らは!」
怒りで真っ赤になりながら今度は遼の方を睨み付けてきた。
「いやね、かなり遠くへと売り飛ばしたんだなぁ~って。」
「・・・?」
「違うよね?本当は自分の子供じゃないから、だから売り飛ばしたんだよね?自分の妻を強姦させて儲けてたんだよね?」
遼の発言に徹夫も驚いたように父親を見返した。
それ以上に驚いていたのは本人であった。
誰にも知られていない事実だからだ。
「あいつが話したのか?狂ってたんじゃないのか?」
「やっぱり、そう言う事なんですね?だったら、尚更もっと身近な人間ですよね?そう、例えば養女を何人も抱える事が出来る身分の人間とか?」
遼の言葉が紡がれる毎に顔色を変える正志に徹夫ですら寒気を感じた。
ーこの子は・・・いや、八雲会の秘蔵の愛人とはこの洞察力と推理力も含まれるのか?つくづく欲しい人材を持っているのもだなー
問い詰める遼の言葉にしどろもどろの正志。
言い逃れなど出来ずだんだんと嘘が剥がれていく。
「お前は何なんだ!どうしてそこまで・・・っ」
「隠しとおせるとでも思ったのか?罪は一生消えないんだ。反省しろよっ。」

問い詰められて吐いたのは政治家の秘書に自分の妻を強姦させていたこと。
そして、そこには子供が出来なかったので比奈子は養女として出す代わりに毎月金を受け取っていたことだった。
金を取りに行くときに比奈子の様子は見ていたようだった。
しかし、そこに厄介なことが起きたのだ。
秘書は今では政治家になり数人の女を囲うようになりそれに嫌気が差した本妻は家をでて行きはめをはずすようになったのだ。
乱交は当然の事ながら子供にも性的暴行を加えるようになったのだ。
その話になると徹夫はプルプルと拳を震わせていた。
それからは家を訪れても見かけることはなかったという。
正志は比奈子のことは忘れるように努め妻にも忘れるように何度も酷い扱いをした。
時には泣き止まないと殴り付け、比奈子の名前を出せば何度も水をはった水面に顔を押し付けた。
そのうちに気が触れて施設へと預けたのだ。
徹夫は早々に家を出たためそこまでの事は知らなかった。
ただ、わかっているのは母が施設に預けられた時に父は消息を絶っていて支払いが滞っている事だった。
見にいってみれば自分の事すらままならない状態だったのだ。
勿論徹夫が息子である事も分からないでいた。
「こんなヤツのせいで母は、そして・・・比奈子もっ」
苦しげに眉を寄せると近くの壁を殴り付けていた。
政治家の家はそう、離れている訳でわなく、そのあと車で向かうことになった。

だだ、車内では沈黙だった徹夫からポツリと言葉が漏れた。
「ありがとう。君のおかげだ。」
後部座席に座る遼への感謝の言葉だった。 
「なら、最後まで探してやれよ。待ってるぜ、きっとさ。」
「そうだなっ・・比奈子を探すためにこの業界に入ったんだ・・・しかし、こういう探しかたが出来るならもっと早く出会いたかったな、君に。」
視線を向けると無言で窓の外を眺める遼が映った。
「知るかよ。俺には関係ねーし。約束さえ守って貰えれば・・・」
「そうだったな。帰ったら早急に送ろう、そして再びこちらから挨拶に向かわせて貰う。それでいいかね?」
「あぁ。分かった。」
まだ幼さの残る顔にはいつの間にか笑みが浮かんでいた。
ー末恐ろしい子だ。・・・比奈子、今から助けに行くからな!ー 
決意を固めると議員の家へと向かった。
今は留守にしているらしくメイドが挨拶に出てきていた。
「ここに比奈子さんはいませんか?」
徹夫の言葉を受けてメイドは動揺を見せた。
その表情に遼は嫌な予感を感じて彼女の手を掴んだ。
「比奈子さんはどこにいるんだ!知ってるんだろう?」
「し、知りません。そんなメイドはいません。」
いきなり掴まれた手を振りほどくように慌てて逃げるように奥へと入っていった。
残された徹夫はまだ聞きたいことがあったのにとこちらを睨み付けてきた。 
「そう、急かすなって。この屋敷にいることが分かったんだからいいじゃん?」
「そんなことは・・・ん?この屋敷にいるだと?」
「あぁ、さっきの彼女が教えてくれたって訳。出直すとしますか?それとも強引に突入するか?」
憎めない表情を浮かべる遼に徹夫は溜め息を吐くと後日の訪問を検討することにしたのだった。
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