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第八十四話 パリィ
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旅はかなりハードな気がした。
勇者といえど、女性にはしんどい日々だった。
森での野宿などトイレは茂みの中でだし、船に乗れば女子トイレなどないから、
男子と一緒の場所を使う。
ボットン便所なので、臭いが酷かった。
男の椎名や天野でさえ鼻を摘む程だった。
「昔のトイレって感じだよな~」
「昔って…俺は洋式しか使った事ないぞ?」
「椎名くん、それ嫌味?俺の小さい頃はこんなのが主流よ?」
天野とはさほど年は離れていないはずだが、昔の度合いが少しずれているよう
だった。
大陸を渡ると、もう後戻りはできない。
ただひたすら前へ進むと決意したのだった。
いつしかカエデと天野との連携も上手く行くようになってきた。
椎名を中心にタゲの受け渡しや、プレイスタイルも変化した。
一番変わったのは椎名が丸い小楯を持った事だった。
剣一本で戦ってきたスタイルだったが、パリィを覚えると、凄まじく強く感
じた。
敵の攻撃を弾き、それでいて隙を作ると言うのは非常に効率がいい。
最近覚えたスキルの中では一番いいスキルだった。
しかしこれも大型の魔物や、真っ芯で攻撃してくる単純な魔物だけに通じる
事だった。
稀に狼系の魔物には全く通じなかった。
そこで丸盾で初撃を受けると無防備になった腹に剣を突き立てる。
うめき声を上げて絶命するのを確認してから魔石を剥ぎ取った。
「新たなのがきたわよ!」
カエデの声に二人が反応する。
索敵にはカエデの方が優れたスキルを持っていた。
「索敵スキルいいな~」
文句をいう天野にカエデは笑ってみせた。
索敵スキルはそう簡単に身につくものではなかった。
繰り返しマップとの睨めっこをした挙句に今まで無かったところに魔力反応
を感知して見ている地図に表記した。
敵の位置や、動きも逐一見える為、囲い込みや奇襲には最適だった。
「次、左から2体!そのあと真っ正面から一体!」
カエデの声に合わせるように椎名と天野が構える。
左の2体を倒すと前を向くと警戒する。
一際大きな体をした魔物が突進してきていた。
「今日の晩飯に食べ応えがありそうだ!」
「じゃ~しっかり細切れにしないとなっ!」
真っ正面に構えるとギリギリで左右に避けると横から攻撃を同時に加えて
いく。
怯んだところをカエデが上から降りてきて首もとを狙って串刺しにする。
貫通するが、一気に暴れ出すので捕まっているにも必死だ。
スキル発動すると肉が飛び散るが完全に首を落とせなかったらしい。
舌打ちするかのように飛び退くカエデと入れ替わるように椎名が剣を振り下
ろす。
そして右足には天野の矢がサクッと刺さると爆発して吹き飛ぶ。
完全に首が切り落とされ地面に転がると、魔物の身体はそのまま大きな音と
振動で倒れて行った。
「やったね!ちょっと擦り傷程度で倒しちゃったよ~」
「よし、強くなってる!」
強くなっている実感を感じながら天野もカエデも魔物を解体し始めた。
辺りは倒した魔物だらけで肉を取るとイベントリに入れていく。
魔石も確保して街で売る用だ。
旅にはやっぱり馬車が欲しいところで、次の街では馬と馬車を買おうとみんな
で話し合っていた。
「少し値が張ってもいいやつがいいですわ~」
「いやいや、荷物ようでいいでしょ?」
「そんな事ありませんわ~、魔石を売ればそれなりの物は手に入りますし~」
「ダメダメ、食料買い足したいし、装備だってメンテに出したいし」
聖女とカエデとで譲れない戦いが始まっていた。
「椎名くんはどうなのさ!」
「天野さん!どうなのですの!」
二人に聞かれると椎名は安くても丈夫であればいいと言うと、天野は乗りやす
さも大事かなと消えいるような声で言った。
街に着くまではこの口論が続くらしい。
「どっちでもいいだろ?そこまでこだわる理由はないだろ?」
「載っているとお尻が痛くなるんですのよ!それに長時間だと疲れてしまいま
すわ」
「回復かければいいだろ?それしかできないんだから。」
椎名がいえば、カエデも納得したように頷いた。
「それはちょっと言い過ぎじゃないか?旅の仲間なんだよ?」
天野は必死に聖女を庇うが、それはあながち間違いではない。
全員勇者というパーティにいるが、全員が徐々回復を手にした今、聖女の役目
はヒールで回復量を増やす事だけだった。
勇者には毒も効かないので解毒魔法も必要ない。
呪術も効かないし、本当に便利な耐性だった。
毒があっても平気で食べれるし、問題はない。
井戸水も汚染されていても飲んだ瞬間に綺麗な聖水へと変わる。
そんな人達に囲まれて劣等感を抱かない人はいないだろう。
人々に崇められて育った聖女にとってこの旅は予想外の出来事ばかりだった。
聖女が眠りにつくと、焚き火を囲んで何か話していた。
耳を済ますと聖女という単語が聞こえてきて、余計に眠れなくなった。
「そういえばさ~聖女のヒールってどのくらいの回復量なの?ポーションより上?」
「一気に全快だぞ!」
カエデの質問に天野が答えるが、椎名がすぐに否定した。
「体力なら1000くらいだな。空間全体にヒールを持続的にかけると850づつを連続っ
て感じだったかな?」
「へーそうなんだ~。HPも増えたし全快させるならポーションのが効率良くない?」
「それはそうだろう。」
「やっぱりね~、そろそろ魔王城までの距離を考えると聖女にはこの辺で待ってて貰
う方がいいんじゃないかなって思うんだ。」
「それは…なんでだよ。俺は…最後まで一緒に…」
天野は反対するが、カエデは続けた。
勇者といえど、女性にはしんどい日々だった。
森での野宿などトイレは茂みの中でだし、船に乗れば女子トイレなどないから、
男子と一緒の場所を使う。
ボットン便所なので、臭いが酷かった。
男の椎名や天野でさえ鼻を摘む程だった。
「昔のトイレって感じだよな~」
「昔って…俺は洋式しか使った事ないぞ?」
「椎名くん、それ嫌味?俺の小さい頃はこんなのが主流よ?」
天野とはさほど年は離れていないはずだが、昔の度合いが少しずれているよう
だった。
大陸を渡ると、もう後戻りはできない。
ただひたすら前へ進むと決意したのだった。
いつしかカエデと天野との連携も上手く行くようになってきた。
椎名を中心にタゲの受け渡しや、プレイスタイルも変化した。
一番変わったのは椎名が丸い小楯を持った事だった。
剣一本で戦ってきたスタイルだったが、パリィを覚えると、凄まじく強く感
じた。
敵の攻撃を弾き、それでいて隙を作ると言うのは非常に効率がいい。
最近覚えたスキルの中では一番いいスキルだった。
しかしこれも大型の魔物や、真っ芯で攻撃してくる単純な魔物だけに通じる
事だった。
稀に狼系の魔物には全く通じなかった。
そこで丸盾で初撃を受けると無防備になった腹に剣を突き立てる。
うめき声を上げて絶命するのを確認してから魔石を剥ぎ取った。
「新たなのがきたわよ!」
カエデの声に二人が反応する。
索敵にはカエデの方が優れたスキルを持っていた。
「索敵スキルいいな~」
文句をいう天野にカエデは笑ってみせた。
索敵スキルはそう簡単に身につくものではなかった。
繰り返しマップとの睨めっこをした挙句に今まで無かったところに魔力反応
を感知して見ている地図に表記した。
敵の位置や、動きも逐一見える為、囲い込みや奇襲には最適だった。
「次、左から2体!そのあと真っ正面から一体!」
カエデの声に合わせるように椎名と天野が構える。
左の2体を倒すと前を向くと警戒する。
一際大きな体をした魔物が突進してきていた。
「今日の晩飯に食べ応えがありそうだ!」
「じゃ~しっかり細切れにしないとなっ!」
真っ正面に構えるとギリギリで左右に避けると横から攻撃を同時に加えて
いく。
怯んだところをカエデが上から降りてきて首もとを狙って串刺しにする。
貫通するが、一気に暴れ出すので捕まっているにも必死だ。
スキル発動すると肉が飛び散るが完全に首を落とせなかったらしい。
舌打ちするかのように飛び退くカエデと入れ替わるように椎名が剣を振り下
ろす。
そして右足には天野の矢がサクッと刺さると爆発して吹き飛ぶ。
完全に首が切り落とされ地面に転がると、魔物の身体はそのまま大きな音と
振動で倒れて行った。
「やったね!ちょっと擦り傷程度で倒しちゃったよ~」
「よし、強くなってる!」
強くなっている実感を感じながら天野もカエデも魔物を解体し始めた。
辺りは倒した魔物だらけで肉を取るとイベントリに入れていく。
魔石も確保して街で売る用だ。
旅にはやっぱり馬車が欲しいところで、次の街では馬と馬車を買おうとみんな
で話し合っていた。
「少し値が張ってもいいやつがいいですわ~」
「いやいや、荷物ようでいいでしょ?」
「そんな事ありませんわ~、魔石を売ればそれなりの物は手に入りますし~」
「ダメダメ、食料買い足したいし、装備だってメンテに出したいし」
聖女とカエデとで譲れない戦いが始まっていた。
「椎名くんはどうなのさ!」
「天野さん!どうなのですの!」
二人に聞かれると椎名は安くても丈夫であればいいと言うと、天野は乗りやす
さも大事かなと消えいるような声で言った。
街に着くまではこの口論が続くらしい。
「どっちでもいいだろ?そこまでこだわる理由はないだろ?」
「載っているとお尻が痛くなるんですのよ!それに長時間だと疲れてしまいま
すわ」
「回復かければいいだろ?それしかできないんだから。」
椎名がいえば、カエデも納得したように頷いた。
「それはちょっと言い過ぎじゃないか?旅の仲間なんだよ?」
天野は必死に聖女を庇うが、それはあながち間違いではない。
全員勇者というパーティにいるが、全員が徐々回復を手にした今、聖女の役目
はヒールで回復量を増やす事だけだった。
勇者には毒も効かないので解毒魔法も必要ない。
呪術も効かないし、本当に便利な耐性だった。
毒があっても平気で食べれるし、問題はない。
井戸水も汚染されていても飲んだ瞬間に綺麗な聖水へと変わる。
そんな人達に囲まれて劣等感を抱かない人はいないだろう。
人々に崇められて育った聖女にとってこの旅は予想外の出来事ばかりだった。
聖女が眠りにつくと、焚き火を囲んで何か話していた。
耳を済ますと聖女という単語が聞こえてきて、余計に眠れなくなった。
「そういえばさ~聖女のヒールってどのくらいの回復量なの?ポーションより上?」
「一気に全快だぞ!」
カエデの質問に天野が答えるが、椎名がすぐに否定した。
「体力なら1000くらいだな。空間全体にヒールを持続的にかけると850づつを連続っ
て感じだったかな?」
「へーそうなんだ~。HPも増えたし全快させるならポーションのが効率良くない?」
「それはそうだろう。」
「やっぱりね~、そろそろ魔王城までの距離を考えると聖女にはこの辺で待ってて貰
う方がいいんじゃないかなって思うんだ。」
「それは…なんでだよ。俺は…最後まで一緒に…」
天野は反対するが、カエデは続けた。
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